マックスマーラやドルチェ&ガッバーナなど、Precious.jpでも人気の海外トップブランドのプレスを歴任してきたロイ・明美さんによる連載企画。
結婚を機に英国へ渡りロンドンで暮らし、2014年からはスコットランドへと住まいを移した彼女の素敵なカントリーライフを、自然、食、インテリアなどさまざまな側面からお伝えします。
今回ご紹介するのは、最近始めたという「金継ぎ」と、焼き菓子などを作る「ベーキング」について。「金継ぎ」とは、欠けたりヒビが入ってしまったりした陶器やガラス製品を蘇らせる日本の伝統技術です。料理上手なロイさんならではの、手軽で美味しい「ベーキング」レシピも公開します!
外出の機会が減り、おうちでできる何か新しいことを…とお探しの方は、参考にしてみてはいかがでしょうか?
お気に入りを蘇らせ、さらに愛着が増す「金継ぎ」の魅力
日もだんだんと長くなって、スコットランドでは3月の最終日曜日の午前1時にサマータイムに変わります。冬は日照時間が短いので、春がすぐそこまでというこの時期はワクワクします。
最初のロックダウンから、あっという間に一年が過ぎましたが、英国はまだまだコロナ禍の中。今では、おうちで楽しみながらできることも増えてきました。
その中でも、以前から興味のあったのが「金継ぎ」。下処理から、接着、乾燥、削って磨いて、漆を塗って、金粉を蒔いたり、同じ工程を何度か繰り返したり…。でき上がりまでに、3週間から6週間かかる作業です。さらに温度や湿度によって、乾かす時間も変わってきます。
でこぼこだったり、塗り方がいびつだったりで、反省点はたくさんありますが、割れ目や欠けをあえて隠さず、そんな修復箇所が美しく思えたりもします。
買ったばかりなのに欠けてしまった、お気に入りの蕾の形をしたガラスの花瓶も、ゴールドが加わって華やかになりました。手間と時間をかけたぶん、修復したお気に入りの食器や花瓶は、この世でたったひとつの自分だけのアイテムになって、よりいっそう愛着が湧きます。
私が使った金継ぎの材料は、ネットで購入した金継初心者セット(写真左)と友人がプレゼントしてくれたセット(右)。必要なものが全て揃っていて、とてもわかりやすい内容になっています。
さらに初心者でも使いやすく、本漆の質感にも近い、かぶれない新うるしを買い足しました。カラーバリエーションもいろいろあって、模様を描いたりもできるので、何色か揃えています。
金継ぎの作業は、「焦らずゆっくり丁寧に」が大切だなぁと実感。物の修復と同時に、心もほんわか癒してくれます。そして、作業が終わった後は、ホッと一息お茶の時間。
美味しいだけじゃない!セラピー効果もある「ベーキング」
私にとって、金継ぎと同じようにセラピー効果があるのは、ベーキングです。材料を吟味して選んで、美味しく焼き上がったときは、ほんわか気分になります。
とりわけ最近我が家で人気なのは、オートケーキとバジルペースト。作り方も簡単です。
オートケーキは、朝食、ランチ、おやつ、夜のスナックにもぴったりな万能選手。バジルペーストの他に、チーズ、フムス、ジャムやバターなど、その時の気分によって合わせるものを変えて美味しくいただけます。
■バジルペーストの作り方
バジルペーストは、パルメジャンチーズは入れないで、さっぱり味に仕上げるのが我が家のレシピです。
【材料】
1. バジル…3カップ
2. 松の実…1/3カップ
3. ガーリック…2片
4. マルドンシーソルト&ブラックペッパー…味を確認しながらお好みの量で
5. レモンジュース…小さじ1杯程度
6. オリーブオイル…1/3カップ (私はマイルドな味を選んでいます)
1から5の材料をフードプロセッサーに入れて、よく混ざったらオイルを少しずつ追加し、好みのペースト状にします。保存するときは、表面を覆うようにオイルを少々入れてからラップまたは蓋をして、冷蔵庫で5日間を消費期限にしています。
■オートケーキの作り方
オートケーキは、100%オーツで、ブラックペッパーを多めに入れてちょっとピリッとした味わいに。
【材料(18~20枚分)】
1. ポリッジオーツ…200グラム(フードプレセッサーでお好みに細かさにしておく)
2. マルドンシーソルト…大さじ1杯分
3. ブラックペッパー…大さじ1.5杯分
4. エキストラバージンオリーブオイル…50ml
5. 熱湯…大さじ2〜3杯ほど
材料1〜4を混ぜてから、熱湯を少しずつ入れて、手につかなくなるまで30秒ほど優しくこねます。まとまったらボール状に丸めて、めん棒で3〜4ミリほどに伸ばします。好きな型でカットして、温めておいた160度のオーブンで約15分。焼き色がついたらでき上がりです。
ハンドメイドで、楽しく美味しく。自粛生活による日々の変化の中で出合えた、新しい発見に感謝です。
今日のおすすめ「なごみワンコ」は… 村のファームホテルで生まれたジョンボーイ
村のファームホテルのブラックラブラドールが子犬を9匹生んで、そのうちの1匹をロンドンに住む友人が譲り受けることに。
生後3か月になったところで、スコットランドから電車で5時間かけて友人のもとへ届けに行ったのですが、電車の中では一度も鳴かずに、とってもいい子のジョンボーイでした。
以上、スコットランド在住のロイ明美さんの連載第8回をお届けしました。
ささやかだけれど丁寧で、センスのよさが随所に感じられる「リアル・ラグジュアリー」なライフスタイル。次回はどんなエピソードが届くのか、ぜひお楽しみに!
- TEXT :
- ロイ明美さん
- PHOTO :
- COLIN ROY