ダークスーツを選ぶ上で決して忘れてはならないのは、あくまでその最大の魅力が「上品さ」にあるということだ。ただお洒落に見せたいからといって、奇抜なデザインに走るのは本末転倒。徹頭徹尾こだわるべきは、エレガントなシルエットとディテールなのである。
若さと威厳の両立がダークスーツの美学!
そんな観点に立てば、やはり肩ひじ張らない軽やかな仕立てと、若々しいコンパクトなシルエットは必須。かつてはモードブランドにしかなかったすそ幅19.5cmのパンツは、もはや王道と呼んでも差し支えない。そしてもともとスリムシルエットのパンツを好んでいたイタリア伊達男たちの間では、もはやすそ幅18cmの「スーパースリム」だって珍しくないのだ!
しかしコンパクトなサイズ感は、行きすぎると子供っぽく見えてしまう。よってジャケットの着丈はヒップが隠れる程度のほどよい短丈具合をキープするとともに、男らしさを最もアピールできるポイント、ラペル幅は広めのものを選びたい。
そう、若々しいサイズ感と大人の威厳あるディテールとの組み合わせこそ、ダークスーツを着る上で最善のバランスなのである。
ジャケットの見極めポイント
1.男らしい幅広ラペル
2.グラマラスなウエストシェイプ
3.気どらないアンコンショルダー
4.エレガントな段返りラペル
5.軽快なショート丈
パンツの見極めポイント
1.精悍なほどよいローライズ
2.美しきシェイプされたひざ幅
3.若々しい極細パンツ
モダンなダークスーツをつくっているのが、ラルディーニだ。すそ幅19cmと軽快かつカジュアルタイトなシルエットをベースにしながらも、ラペル幅などのディテールで大人の男としての品格は堅持している。着ればだれもが格好よく見えると評判だ。8つのポイントを抑えつつダークスーツ選びの参考にしてほしい。
- TEXT :
- 山下英介 MEN'S Preciousファッションディレクター
- BY :
- MEN'S Precious2013年秋号 ダークスーツの、 完璧なるバランス美学に刮目せよ!より
- クレジット :
- 撮影/小池紀行(静物/パイルドライバー) スタイリスト/村上忠正 ヘア&メーク/MASAYUKI (the VOICE) モデル/Cuba 構成/山下英介(本誌)