いい町鮨とは、価格設定に制限のある中で手間や工夫によっておいしさを追求する店であり、なかでもdancyu編集長・植野広生氏が太鼓判を押すのが、新田真治氏が営む初台の「宗達」だ。そこで、町鮨の楽しみ方をはじめ、その魅力を存分に語ってもらったので紹介する。
植野氏が教授する町鮨の楽しみ方三か条
予約の取れない高級鮨と、コスパが売りの回転鮨。今の鮨界隈はすっかり二極化が進んでしまっています。しかし、鮨の楽しみ方をイチから知ることができるのは、実はその間。鮨屋の原点である町場のお店です。慣れないうちから高級店に行くのは、小学生が大学の授業を受けるようなもの。
タネの産地も旬も、食べる流れもよくわからないまま、ただ高価なおまかせコースを食べるだけでは、鮨の素晴らしさを深く理解することはできません。いっぽう回転鮨は先生のいない塾のようなもの。だれもあなたに、鮨をよりおいしく食べる方法を教えてはくれません。町鮨の魅力は、通えば通うほど鮨の楽しみ方を教えてくれる、素敵な先生たちがいることなのです。
一、 まずはひとりで訪ねてみよう
「町鮨を楽しむには、お店の人や常連さんたちとの会話が大切。そのためには、まずひとりで訪ねてみるのがおすすめです。カウンターから職人さんに『今日初めて来たんですよ』などと話しかけてみれば、いろいろとおすすめを教えてくれるはずです」
二、 おまかせでなくおこのみで
「高級店ではおまかせがあたりまえですが、町鮨はおこのみで好きなタネを注文できるのも魅力。何をどういう順序で頼むか迷ったら、これは食べたいというタネをいくつかと、合計何貫くらい食べたいかだけ伝え、あとはおまかせという方法もアリ」
三、 同じ店をリピートするべし
「ここはいいなと思ったら、あちこち浮気せず同じ店をリピートしましょう。何度も通うにつれて、いろいろなことに気づけるはずです。同じタネを食べても、時期によって味わいが変わることもわかるはず。そうやって旬を覚えていくのです」
まずは気になった町鮨をひとりで訪ねてみましょう。気軽に行ける近所だと理想的です。暖簾をくぐったら、ぜひカウンターへ。タネが入ったケースがよく見えるところが特等席です。品書きを見渡したら、おまかせではなく自分の食べたいものを注文してみましょう。たとえば「ウニとイカとマグロを」と伝えると、「ではまずイカからいきますね」となるでしょう。その後マグロ、ウニと続きます。そこで、鮨を味わう順序がわかるわけです。ケースの中に気になるタネがあったら、「これはなんですか?」と聞いてみる。喜んで教えてくれるはずです。
町鮨は比較的値頃なので、何度も通うことができます。すると、「今日はイクラの新物が入りましたよ」なんておすすめされることも。そういう経験を通じて、旬に詳しくなれるのです。
ときには常連さんの食べっぷりを観察してみてもいいでしょう。つまみばかり食べている人、いつも最初に決まったタネを注文する人など、それぞれの楽しみ方があるのに気づくはずです。
こうして経験を重ねていくと、どんどん鮨が楽しく、おいしくなってきます。高級鮨がなぜこれほど高いのか、おまかせはどうしてこの流れで出てくるのかも、よくわかるようになります。初めて入った鮨屋で、「今日は○○ありますか?」なんて旬のタネを頼めるようになれば怖いものなし。もしかしたらお店もこの人やるなと察知して、とっておきのタネを出してくれるかもしれません。
すし宗達
問い合わせ先
- すし宗達 TEL:03-3374-1650
- 住所/東京都渋谷区本町1-58-7
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- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
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- 談 :
- 植野広生(dancyu編集長)