丈夫で、手のぬくもりを感じるもの。経年変化を楽しめ、使うことで完成されるもの。歴史に裏打ちされたもの。これらは私が服を選ぶ際の基準にしていることですが、そんな価値観にぴったりと合致するのが小鹿田焼でした。
食器洗いも楽しくなる経年変化の魅力
大分県日田市に江戸時代から伝わる伝統的な陶器で、重要無形文化財にも指定されています。窯元は一子相伝の家族経営によって継承されていて、現在ではわずかに残るのみ。失われゆくクラフツマンシップを堅持しているという点では、海外のスーツや靴などと同様の愛着を感じられるでしょう。
伝説の英国人陶芸家がテーマ
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小鹿田焼伝統の「飛び鉋」模様が魅力的
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一輪挿しとして使っても粋な水差し
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小鹿田焼の装飾はとてもシンプル。派手な主張がないので、ほかの食器とコーディネートしやすいのも特徴ですが、より魅力を感じるのは使い込んでいく過程。経年変化により表面に貫入(模様のようなヒビ)が生まれてきたり、蛇の目(うつわを重ねて焼く際にできる輪のような模様)に油が染み込んで表情が変化していったりどんどん味が深まっていくのです。
手仕事ならではの温かみに癒される
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小鹿田焼を知ってから、洗い物が本当に楽しみ。お気に入りの靴を磨いている感覚に近いでしょうか。この感覚、クラシックな服が好きな方ならよくわかっていただけるはずです。
幾何学的な装飾が美しい湯吞み
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約300年の伝統と、妥協なき手仕事でつくられる小鹿田焼。労力を考えると、この価格は割に合わないのではと感じることすらあります。だからこそ、職人さんの良心に応えて、大切に育てていきたくなるのです。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
- BY :
- MEN'S Precious2020年秋号より
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- 談 :
- 大岡靖治(ビームスF サービスマスター)