ビスポークスーツのブームとともに、脚光を浴びているアクセサリー、ブレイシーズ(サスペンダー)。面白いことに、本場の英国紳士が愛用するボタン式の幅広タイプを、イタリア紳士が使うことはほとんどない。いったいなぜ?

その理由を、クリップ式のサスペンダーをトレードマークとするフィレンツェきっての伊達男、シモーネ・リーギさんに伺ってみた。「なぜ私がいつもブレイシーズをしているかって?

自然なエレガンスを愛するフィレンツェ紳士

地元民に愛されるセレクトショップ「FRASI」を経営する、フィレンツェきっての伊達男、シモーネ・リーギさん。アーティスト気質で自由を愛する彼のスタイルに、絶対欠かせないのがクリップ式のブレイシーズだ。すべて自身のショップで扱うオリジナルで、写真の25㎜幅のほかに、18㎜幅の極細タイプも展開しているという。
地元民に愛されるセレクトショップ「FRASI」を経営する、フィレンツェきっての伊達男、シモーネ・リーギさん。アーティスト気質で自由を愛する彼のスタイルに、絶対欠かせないのがクリップ式のブレイシーズだ。すべて自身のショップで扱うオリジナルで、写真の25mm幅のほかに、18mm幅の極細タイプも展開しているという。

子供の頃からベルトが好きじゃないんだ。締め付けられる感覚もいやだし、シャツがずり上がって、いちいち化粧室で直さなくてはならないのが気に食わない。そもそもベルトなんて、体に合わない服を着て働く港や農村の男たちが使っていた布や革製のひもがルーツ。フィットした服を着なくてはならない紳士的な装いにとっては、無用の長物なんだ」

英国で主流となっている幅広のボタン式ブレイシーズについては?

「あれは立ち姿こそ美しいが、動いたときに美しさを欠くし、ヒップ周りが窮屈。私にとっては野暮ったく見えるシロモノなんだ。だから個人的には、25mm幅のボタンのない細身ブレイシーズが好み。体を締め付けられず自由でいられるし、何よりシャツの着くずれがない。とても軽やかでエレガントなアクセサリーだと思っているよ」

英国で主流となっているブレイシーズ

 現在でもこのマダープリントを可能とする、英国生地メーカー「ロバート キート」社のファブリックを使用したブレイシーズは、極めて希少価値の高い一本である。ブレイシーズ(藤川貿易〈アルバート サーストン〉)参考商品 写真/島本一男(BAARL)

イタリア紳士は立ち止まった姿より、動きの中に美を見出す。すなわち彼らにとってのエレガンスとは、「軽やかさ」と同義なのである。 

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MEN'S Precious編集部 
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MEN'S Precious2018年秋号より
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