伝説的存在であり、ティファニーの専属ジュエリー・デザイナーとして、数々の名品を生み出したジャン・シュランバージェ。永遠の価値を宿した彼の芸術的なジュエリーは、今なお熱心なコレクターが存在するほど。燦然と輝く彼の功績とインスピレーションソースを振り返りながら、ティファニーの華麗なる歴史を彩った、4つの名品ジュエリーをご紹介します。

多くのセレブを魅了した伝説のジュエリー・デザイナー、ジャン・シュランバージェとは?

ジャン・シュランバージェ©Courtesy Tiffany & Co.
ジャン・シュランバージェ©Courtesy Tiffany & Co.

1950~70年代…アメリカの輝かしい時代を体現する天才として、フランス人のジャン・シュランバージェは、忘れてはならない存在です。1956年、ティファニーの専属ジュエリー・デザイナーに就任した彼には、専用の特別なサロンが用意され、以来、そこを訪れる多くのセレブリティとの間に、ジュエリーを巡る美しい物語を紡ぎ出しました。

彼が得意とするのは自然から着想を得たデザイン。その多くは自宅があったカリブ海の豊かな環境のなかで生み出され、エキゾチックな鳥や植物に「宝石」という生命を吹き込みました。当時の社交界は彼に熱狂し、現在もなお熱心なコレクターが存在するほど。彼の芸術的なジュエリーは、ティファニーの華麗なる歴史とともに、永遠の価値を宿しているのです。

■1:ナンシー・スリム・キースの「クロスブローチ」

ナンシー・スリム・キース© Getty Images, Horst P. Horst/courtesy of tiffany & co. archives
ナンシー・スリム・キース© Getty Images, Horst P. Horst/courtesy of tiffany & co. archives

ナンシー・スリム・キースは、1950年~60年代に活躍したアメリカ人ソーシャライト。世界を飛び回るジェットセッターの彼女がよく身につけていたのが、意匠を凝らしたクロスブローチです。カボションカットの4つのパープルの石はアメシスト。

■2:エリザベス・テイラーの「フラワーブローチ」

エリザベス・テイラー©Getty Images, Art Zelin/courtesy of tiffany & co. archives
エリザベス・テイラー©Getty Images, Art Zelin/courtesy of tiffany & co. archives

あの大女優、エリザベス・テイラーの襟元を飾るブローチは、『フルール ドゥ メール』(海の花)という名がついた、夫リチャード・バートンからの贈り物。紺碧の海を連想させるサファイアとダイヤモンドが、立体的なフォルムを形づくっています。

■3:ブルック・アスターの「スターフィッシュブローチ」

ブルック・アスター©Getty Images, New York Daily News Archives/courtesy of tiffany & co. archives
ブルック・アスター©Getty Images, New York Daily News Archives/courtesy of tiffany & co. archives

メトロポリタン美術館、セントラルパーク動物園など、N.Y.市の施設への寄付で有名になった大富豪、ブルック・アスター。彼女は、1973年にシュランバージェにオーダーした『スターフィッシュ』(ヒトデ)のブローチを、日常のシーンでも愛用していました。

■4:ジャクリーン・ケネディ・オナシスの「エナメルバングル」

ジャクリーン・ケネディ・オナシス©Aflo, PictureLux/courtesy of tiffany & co.
ジャクリーン・ケネディ・オナシス©Aflo, PictureLux/courtesy of tiffany & co.

大統領夫人の時代から、シュランバージェの顧客として名を連ねていたジャッキー。彼女がお気に入りだった、鮮やかな発色が際立つエナメルバングルは、今も続くロングセラーアイテムです。

 

以上、伝説的ジュエリー・デザイナー、ジャン・シュランバージェが生み出した4つの名品ジュエリーをお届けしました。自然から着想を得た美しいデザインで、多くのセレブに愛された、シュランバージェによるティファニーのジュエリーは、今なお多くの人を惹きつけてやまないのです。

EDIT&WRITING :
竹市莉子(HATSU)、喜多容子(Precious)
RECONSTRUCT :
難波寛彦