スウェーデンのブランド『H&M』と日本のデザイナーズブランド『TOGA(トーガ)』のコラボレーションや、海外でも高い評価を受けている『sacai(サカイ)』のデザイナー阿部千登勢がフランス『Jean Paul Gaultier(ジャン=ポール・ゴルチエ)』のオートクチュールコレクションを手がけるなど、ワールドワイドなファッションシーンにおける日本人デザイナーの活躍がここ最近目立っている。
そんな中発表された、日本の『Hender Scheme(エンダースキーマ)』とイタリアの『Tod’s(トッズ)』とのコラボレーション。シューズやレザーグッズを得意とするブランド同士の邂逅は、クラフツマンシップを基調としながら、デザイナーの創造性が具現化されたユニークなコレクションを実現している。
「TOD’S⇄DOT’S」というコンセプトを形に
『エンダースキーマ』はデザイナー柏崎 亮が2010年にスタートしたブランド。構造化したジェンダーを超越した概念を念頭に、ものづくりを追求している。日本の靴づくりや革製品づくりに関する技術などをベースとした今日性あるプロダクトは人気があり、中でもマスターピースとして知られるさまざまなフットウェアをレザーシューズとしてリデザインした「マニュアル・インダストリアル・プロダクツ(通称オマージュライン)」は高く評価されていて、『アディダス』とのコラボレーションも実現している。
最近では革の可塑性を利用して「濡らして履いて成型し」足へのフィット感を実現する「フットキャスト」や縫製なしの「アッセンブル」シリーズのバッグやSLGなど、旧来のアイテム観を一新する発想で、ファッション界のみならず多方面から注目されている。
今回の『トッズ』と『エンダースキーマ』のコラボレーションは、『トッズ』が2018年以来取り組んでいるプロジェクト「トッズ ファクトリー」の一環で、それは「ラグジュアリーやクリエイティブの領域で活躍するデザイナーやアーティストとのコラボレーションにより、革新的で慣習にとらわれないプロジェクトを生み出すトッズのクリエイティブ ラボ(『トッズ』のプレスリリースより)」という。過去にはアレッサンドロ・デラクア、アルベール・エルバスそして昨年は『マメ クロゴウチ』の黒河内真衣子とコラボレーションを行なっていて、『エンダースキーマ』柏崎氏とのコラボは同プロジェクトの第4弾にあたる。
「TOD’S⇄DOT’S」という回文めいたコンセプトを起点とした今回のコラボレーション。「DOTS」とは、『トッズ』の代名詞的存在であるドライヴィングシューズ「ゴンミーニ」のソールに配された丸型のペブル(突起)を指している。
この「DOTS」モチーフは、拡大しより強調する形で、シューズのソール、そしてバッグ等のシルエットとしてリデザインされている。中でも大型の「マキシペブル」が印象的なシューズは、トレンドの厚底シューズにも通じるラウドなモード感が魅力。
その一方でソール底部の形状やペブルの配置といったディテールなどには、両者の靴づくりのノウハウが反映され、良好な着用感が実現されている。新型コロナウイルス流行下でのものづくりは、フェイス・トゥ・フェイスの対話が難しく、結果的にモノを介したコミュニケーションの密度が高まったと語る柏崎氏。その痕跡は、仕上がったアイテムの随所から感じられる。
さらに靴と併せて展開されるバッグやウェアなどのアイテムは、『エンダースキーマ』のデザイン性と『トッズ』の高いクオリティが組み合わされた存在感が魅力だ。
「DOTS」を表現した円形ボディのバッグには複数のストラップを配してさまざまな持ち方を実現する一方で、各ストラップの素材等を変えて、ラグジュアリーなレイヤード感をもたらしている。また、ショールやトラックスーツといったアイテムも、上質な素材を使用することで、各アイテムが備えている機能美がより際立っている。そして、男性と女性が共通して身につけられるアイテムで構成されていることも、今回のカプセルコレクションの大きな特徴である。
この「エンダースキーマ×トッズ」カプセルコレクションはミラノ・ファッション・ウィークで発表された後、日本国内では9月28日(火)より国内の厳選された『トッズ』 ストアとTods.com、『エンダースキーマ』の直営店であるスキマ 恵比寿 とオンラインストア、Dover Street Market Ginza などで展開されている。また10月6日(水)〜12日(火)で阪急メンズ大阪、10月20日(水)からは伊勢丹新宿店の本館とメンズ館でポップアップが予定されている。
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- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
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- WRITING :
- 菅原幸裕