4月に開催され、ラグジュアリーウォッチメゾンの多くが参加した「ウォッチズ&ワンダーズ」をはじめ、主にオンラインでの新作発表となった2021年。
雑誌『Precious』9月号では特集「『知性』と『品格』を宿す、新作ラグジュアリーウォッチ図鑑」を展開。続々と上陸した珠玉のニューモデルから、Precious目線で厳選したとっておきのタイムピースを一挙にお届けします!
特集のなかから、本記事では2021年注目の新作時計のトレンド・ニュースをまとめてご紹介します。
2021年新作時計、注目のTREND&NEWSをチェック!
世界的なパンデミックが、時計界にも大きな影響を与えた2020年。しかしどんな逆境においても、ラグジュアリーブランドがウォッチメイキングにかける情熱の炎は消えることなく、2021年は近年まれに見るほどの新たな秀作が出揃いました。それらのなかから、女性目線、Precious目線で、見逃せないトピックスをお届けします!
近年類を見ないほどレディスウォッチが大豊作!
2019年までは、主にスイスのジュネーブとバーゼルで開催される見本市で発表されてきた新作ウォッチですが、昨年から状況は大きく変化。ただ、4月の見本市が中止となったり、急遽オンラインでの発表となった昨年とは違い、各ブランドがパンデミックの影響を少なからず受けながらも、綿密な計画のもと、それぞれ渾身の新作をリリースしました。
結果からいうと、2021年のラグジュアリーウォッチは、近年まれに見るほどの「当たり年」でした!
通常、時計の新作の開発は数年がかりで行われており、今年発表されたニューモデルの多くは、パンデミック前からプロジェクトがスタートしていたと推察されます。しかし昨年は予想もしなかった事態に直面し、先行きが不透明な状況下で、当初発表する予定だったモデルのリリースを一旦保留。
それらが2021年の新作としてやっと世に送り出されたというケースも多々あり、結果、今年、多くの魅力的な新作が生まれることとなったのです。
Topic1:メンズウォッチを席巻した潮流がレディスウォッチにも到達!【グリーンダイヤル】
●パテック フィリップ『Twenty〜4(R)』
2018年に誕生した、「パテック フィリップ」のレディスウォッチを代表する『Twenty~4(R)』のラウンド形モデル。新作はステンレススティールに映える、大人ニュアンスのオリーブ・グリーンダイヤルを採用し、モダンでクールな表情に。
●ブライトリング『スーパーオーシャン ヘリテージ’57 パステル パラダイス』
近年、女性ファンを増やし続けている「ブライトリング」から登場した、ダイバーズウォッチのカプセルコレクションにも、フレッシュなミントグリーンのモデルが!
最大100mという高い防水性を誇り、リゾートに連れて行きたい1本に。
Topic2:働く手元に寄り添う、程よいリッチバランス【ステンレススティール&ダイヤベゼルベゼル】
●ティファニー『ティファニー 1837 メイカーズ ウォッチ』
左/タイムレスな魅力を放つ、ホワイト・マザー・オブ・パールのダイヤル。
右/「ティファニーブルー」を連想させるターコイズダイヤル。
『ティファニー 1837 メイカーズ ウォッチ』コレクションにも、ステンレススティールモデルが幅広くラインナップ! ステンレススティールのクール感と、華奢なフォルムから生まれるフェミニンな雰囲気が、絶妙な甘辛バランスを奏でて。
レディスモデルも「裏スケ」が当たり前に!
春先から続々と上陸してきた新作の取材を進めていくにつれ、「女性のための機械式時計」の多さと、それらの完成度の高さにつど、感服せずにはいられませんでした。新作時計のラインナップを見ると、サファイアクリスタルのケースバックで、ムーブメントの美しさを堪能できるモデルがいかに多いか、一目瞭然です。
また、ムーブメントそのものがデザインの主役を演じるスケルトンウォッチといった、これまで男性時計マニアのためだった意匠を、ジュエリーや色味でフェミニン&エレガントに昇華させたタイムピースも増え、機械式時計の魅力に開眼した女性たちの選択肢がさらなる広がりを見せました。
Topic3:自身をエンパワメントしてくれるような色彩の魔法【レインボーカラー】
●シャネル『J12 エレクトロ ドリーム』
1990年代のエレクトロミュージックのカルチャーを、色とりどりのサファイアで表現したカプセルコレクション。46色ものバゲットカット・サファイアが描く虹色のグラデーションが、ピュアなホワイトセラミックに映える。
Topic4:アラウンド40mmのケースサイズが、レディスモデルでもベーシックに!【ジェンダーニュートラル】
●ウブロ『ビッグ・バン ベージュ ダイヤモンド』
数々のラグジュアリースポーツウォッチを擁する「ウブロ」のコレクションのなかでも、最もアイコニックな『ビッグ・バン』から、ニュアンスのある色味のベージュが上品な、日本限定モデルがデビュー!
色、サイズ感——トレンドはやがて定番へ
シーズンごとにトレンドが移りゆくモードとは異なり、ラグジュアリーウォッチのトレンドは数年周期でゆったりと変わっていきます。2021年は、主にメンズウォッチで数年前から増え始めたグリーンダイヤル旋風が、レディスウォッチにも到達!
一見、ハードルが高そうと感じるかもしれませんが、意外なほどにさまざまな色、雰囲気の着こなしにマッチし、同時に個性も演出。トレンドから定番となったブルーに次いで、ゆくゆくはラグジュアリーウォッチの文字盤のベーシックカラーになっていく予感がします。
また、今年はステンレススティールにダイヤモンドをあしらった、働く女性の日常にリアルに寄り添うモデルが、さらにエレガンスを加速させて多く登場したのも見逃せないトピックスです。「カルティエ」、「シャネル」、「オメガ」など、ジュエラーからウォッチブランドまで、それぞれのアイコンに採用しました。
一方で絢爛たるハイジュエリーウォッチも、華麗な絵巻を展開! 今年、際立って多く見受けられたのは、カラーサファイアを駆使し虹色のグラデーションでベゼルを彩った、このうえなく華やかなジュエリーウォッチです。
「No Rain, No Rainbow」——そこには、まだ暗雲が晴れない世界への、希望のメッセージが込められているのかもしれません。
そして、レディス/メンズのボーダーを取り払ったジェンダーニュートラルなモデルはさらに勢いを増し、ケース径40mm前後のグラマラスなサイズも、特別なものではなくなりました。
トレンドから離れ、レディスウォッチの新作全般を俯瞰してみると、年々進化していくブランドのアイコンの強さを痛感します。ひと目でそれとわかるモチーフ、核となるデザインを大きく変えることなく歴史を重ねてきたアイコンたちには不変の価値と魅力が宿り、名品として愛され続けています。
さらなる洗練とエレガンスを追求するアイコンたちに、複雑機構を搭載したフェミニンなコンプリケーションが増え続けているのも数年来継続している傾向です。
ジュエリーウォッチからコンプリケーションまで、百花繚乱のラグジュアリーウォッチ。今こそ自由に、数多の選択肢のなかから自分を語る1本を選び、そのエレガンスを謳歌できる幸福な時代です!
Topic5:メゾンを象徴するモチーフが、さらなるエレガンスをまとって【進化するアイコン】
●ヴァン クリーフ&アーペル『アルハンブラ シークレット ペンダント ウォッチ』
世界的に熱烈な支持を集め続けている最強のアイコン『アルハンブラ』。今年はメゾン初のシークレット ペンダント ウォッチというアプローチで登場し、大きな話題に。鮮烈なカーネリアンのカバーをずらすと、時計のダイヤルが顔をのぞかせる。
Topic6:複雑機構を、華やかなデザインに昇華!【フェミニン・コンプリケーション】
●ピアジェ『ライムライト ステラ』
月齢を表示するムーンフェイズを、「ピアジェ」のエレガンスと技術力によって、フェミニン&ロマンティックな表情に仕上げた機械式時計。搭載されている薄型自動巻きムーブメントはもちろん自社製。複雑機構を搭載しながらも、9.9mmという薄くエレガントなケースを実現させた。
※文中の表記は、SS=ステンレススティール、PG=ピンクゴールド、RG=ローズゴールドを表します。
※掲載した商品は、すべて税込です。
問い合わせ先
- パテック フィリップ ジャパン・インフォメーションセンター TEL:03-3255-8109
- ブライトリング・ジャパン TEL:03-3436-0011
- ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク TEL:0120-488-712
- シャネル(カスタマーケア) TEL:0120-525-519
- LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン ウブロ TEL:03-5635-7055
- ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク TEL:0120-10-1906
- ピアジェ コンタクトセンター TEL:0120-73-1874
- PHOTO :
- 池田 敦(パイルドライバー)
- WRITING :
- 岡村佳代(ウォッチジャーナリスト)
- EDIT&WRITING :
- 岡村佳代、遠藤智子(Precious)