米倉 涼子 ~挑戦し続ける生き方~
10年続くドラマの主演として、舞台の主役として、シンガーとして…今最も魅力的な女性の「自分の超え方」とは?
『Precious』11月号では、女優・米倉涼子さんが初登場! 表紙ではラグジュアリーなコートを着こなしていただきました。今月から新シリーズが始まるテレビドラマ『ドクターX』で、大門未知子役が今年10年目を迎えることに。ニューヨークでブロードウェイミュージカルの舞台にも立ち、昨年独立。キャリアを積み重ねて輝きを増す米倉さんには、つねに新しいことに挑み続ける姿がありました!
今のままでいいと思ったことはない。いつも新しいことを探し続ける
ハイヒールに白衣をまとって「私、失敗しないので」という名ゼリフをはく孤高の医師、大門未知子役もこの秋で10年目。強い女、デキる女のイメージを、米倉さん自身に重ねる人は多いだろう。
「大門未知子はああ見えて、とてもまっとうに生きる女性。私と違うのは、ひとつのことだけをやり抜こうとするブレのない姿勢です。私はあれもしたい、これもしたいとブレブレ(笑)。そういう意味で、彼女はときどき私を軌道修正してくれる。目覚めさせてくれるんです。シンプルに生きることが、物にも心にも必要だと」
米倉さんがそう語るのには訳がある。昨年、独立して個人事務所を立ち上げたばかり。今は女優業のほかに、まず会社の主として、社会人として「人生初」に直面する日々を送っているのだ。
「小さな会社でもやるべきことがいっぱい。立場が変わって、細かな打ち合わせから参加するようになり、こんなに大人なのに、まるで幼稚園生のように新しく覚えることばかり。これまで社会のことを何も知らずに、のびのびと自由に育てられて、ひとりで社会の中に入っていくのが、こんなに大変なことなのだと改めて気付きました」
すでに十分なキャリアがあるのに、自分の未熟さをそんなふうに素直に捉えられるのも、米倉さんが愛され、成長を続ける理由だろう。一昨年は過労で体調を崩し、持病が再発した。だからこそ自分自身で体調を管理しながら、これまでできなかった仕事にも挑戦したい。そんな思いでつくった事務所は、スペイン語で「挑戦」を意味する「デサフィオ」と名付けられた。
「今のままでいいと思ったことがないんです。高みを目指したいというよりないものねだり。自分にその力があるかわからないけれど、いつも新しいことを探して、『火種』ができたら、ひたすら走る」
堅物な人にはなりたくない。夏生まれだから涼子。名前のように涼しげで、“風通しのいい人”でありたい
「モデルをやっていたのはもう何年も前だから、ポーズが古いのよ」と笑う米倉さん。もちろんそんなことはない。服の魅力をすぐに見抜いて、どんな服も自分のものにする表現力に見惚れてしまう。
ブロードウェイミュージカル『シカゴ』では、本場ニューヨークでの公演に3度立ったが、特に語学の習得には苦労した。
「セリフは言えても、舞台を降りたら英語が出てこないんです(笑)。でも私が皆さんにお見せするのは舞台の上だから、セリフさえクリアできればいいと思って」
そうこともなげに言う米倉さん。だが優雅に泳ぐ白鳥が、水面下で足をばたつかせているように、実はその裏で壮絶な努力を重ねたといわれている。その苦労を感じさせないほど完璧であることこそ、プロの仕事。こうして米倉さんは、ひとつずつ今の自分を超えていく。
仕事と休みの切り替えが簡単にできるほど器用ではない。ここ何年かは、仕事が一段落つくと年に2か月ほど海外で暮らし、体を休めながら、語学やダンスに打ち込むというリズムができていたけれど、今はそれもできないのが辛いところだとか。
「コロナ禍と独立の新たな一歩が重なったことは予想外でしたが、混迷が続く日々にあって、心にも体にも疲労がたまるのは、大変だけれど仕方がないこと」とも言う。
米倉さんの中にひそかに息づく大門未知子が、軌道を整えてくれる日は近いかもしれない。
※掲載した商品はすべて税込み価格です。
問い合わせ先
- PHOTO :
- 伊藤彰紀(aosora)
- STYLIST :
- 押田比呂美
- HAIR MAKE :
- KENICHI for sence of humour(eight peace/ヘア)、Sada Ito for NARS cosmetics(donna/メイク)
- NAIL :
- 菅 実加子(Salon de PIÈCE)
- MODEL :
- 米倉涼子
- COOPERATION :
- BACKGROUNDS FACTORY、PROPS NOW
- WRITING :
- 水田静子
- EDIT&WRITING :
- 藤田由美、古里典子(Precious)