フェラーリがまたまたサプライズを提供してくれた。今回は、ごくごく限られた数だけ製造される「デイトナSP3」。グラマラスという言葉が似合いそうなボディに、V12気筒をミドシップしたスペシャルだ。
「イコナ」シリーズの最新作
フェラーリは、そもそも、顧客むけに特別製のモデルを作ることを得意としてきた。欧州の高級車とは、だいたいにおいて、そういうもので、1970年代に入ると量産体制へと移行していくものの、ワンオフ(1台かぎり)や少数限定モデルの伝統が、フェラーリに残っているのは、クルマ好きにとって嬉しいかぎり。
F1の技術を応用したというカーボンコンポジットによるシャシーに、840CV(約617kW)の6.5リッターV型12気筒エンジンをキャビン背後に搭載。静止から時速100キロに加速するのに2.85秒。時速200キロには7.4秒で到達するそうだ。
デイトナSP3は、フェラーリが2018年に立ち上げた「イコナ Icona」シリーズに属する。当時発表されたのが「モンツァSP1」と「同SP2」。1950年代のレーシングプロトタイプ「750モンツァ」や「860モンツァ」をイメージの源泉としたとされたスペシャルで、2モデル合わせて499台の限定生産。価格は3億円超えともいわれた。
フェラーリでは、「イコナ」シリーズとして、「モンツァSP1およびSP2」なるスペシャルモデルを2018年に発表している。1950年代のレーシングプロトタイプ「750モンツァ」や「860モンツァ」をイメージの源泉としたとされ、2モデル合わせて499台の限定生産。価格は未公表だが、3億円超えだったとか。
デイトナを駆け抜けたスポーツプロトタイプへのオマージュ
「イコナ・シリーズはフェラーリの歴史を讃えるべく立ち上げた一つのプログラム」とはフェラーリ。「最もアイコニックな歴代フェラーリ・モデルをモチーフとしつつ、時代を超越したそれらのスタイリングが現代の感覚に合うよう大胆に再解釈されたもの」。
デイトナSP3は、車名でも表現されているとおり、1967年のデイトナ24時間レースに出走して、1位から3位までを独占した「330 P3/4」330 P4」「 412 P 」というレースカーがイメージの源泉なのだそう。
「モーター スポーツにおける比類ない地位をフェラーリが獲得する上で貢献したスポーツプロトタイプにオマージュを捧げています」とはプレスリリースの文言。
「歴史の特定の時点をインスピレーションにするというアイデアは、Iconaのコンセプトの中核を成していますが、単に過去のスタイリング要素を再利用するだけに留まりません。むしろ目標は、時代の真髄を抽出し、それを足掛かりに、未来のアイコンとなる独創的な新しいコンセプトを生み出すことです」
フェラーリによる上記の説明にあるとおり、すべてが凝りまくったモデルだ。カーボン複合素材を使い手作業こみで作りあげられた高強度シャシー、最新の空力技術を用いて設計された車体、専用のチューニングのエンジン、専用のピレリ製タイヤ、それにラップアラウンド型ウインドシールドや固定式シートなど、列挙にいとまがない。
あいにくというか、一般に発表された時点で、予定生産台数はすべて売り切れてしまったようだ。これもまた、フェラーリの底力と感心させれられる。
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- TEXT :
- 小川フミオ ライフスタイルジャーナリスト