雑誌『Precious』1月号で発表した「第4回 Precious WATCH AWARD 2021」から、今回は「WATCH AWARD Special Story」と題して、スマートフォン全盛の時代にあっても、私たちが時計に心惹かれる理由とは…？ 人の叡智や夢、想像力、ロマン、愛…？ 時計の魅力をストーリー仕立てのビジュアルとともにお届けします。
なぜこんなにも私たちは時計に心惹かれるのだろう？ 夢のような“時の世界”を漂って
スマートフォンひとつあれば事足りる時代にあってなお、私たちが時計を手にする理由。それは時を告げるという本来の役割以上の価値を、そこに見出すからにほかなりません。人の叡智や夢、想像力、ロマン、愛、あるいはもっと神秘的な何か別のもの…。時計という小さな箱の中に息づく、夢のような“時の世界”を感じるからなのです。
耳を澄ますと確かに聞こえてくる、小さな箱の中で脈打つ“鼓動” 甘美な、生への誘惑のような音
わずか数cmほどの箱の中に詰め込まれた、大きさも形も多様な数百の部品。それらが複雑に噛み合うことで初めて、さまざまな種類や長さの時間を刻むことができる。だからこそ私たちは、機械式時計に息づく、それをつくる人の叡智や夢を感じずにはいられません。
そして耳を澄ますと聞こえてくる、チッチッチ…という小さくも力強いその音は、無味乾燥な機械仕掛けの道具が出すものなどではなく、むしろ脈打つ“鼓動”そのもの。満たされたこの時代に、その甘美な、生への誘惑のような音が、ひときわ魅力的に聞こえるのです。
美しい夜空を見上げてみる、そこは悠久の時が流れる天空世界。心は、想像を巡る旅に出る
1日とは昼と夜が繰り返す周期の1単位で、それは地球の自転によって生じるもの。太古より使われている日時計のように、より細かい時刻を知るには、太陽の動きを利用する。このように時計自体が、天体の動きを腕元に刻んだものです。
機械式時計の中では、月齢を表示するムーンフェイズ機構などがよく知られています。だからこそ私たちは、腕元を“見上げる”だけで、138億年ともいわれる宇宙の歴史を感じることもできるし、同じ月を眺める大切な人を想うこともできる。いつどこにいても、心は、想像を巡る旅に出ることができるのです。
情熱を注ぎ挑戦を続けることで、無限の想像力を形にしてきた。それは、イノベーションの歴史
時間という概念を可視化した時計の発明は人類の偉業でした。そして、その歩みは決して止まることなく、機械式時計は今なお進化を続けています。
さらなる精度の追求に始まり、なかには信じられないほどの緻密さや大胆さを備えたものもある。実用的な機能の洗練、または美観との両立。宝石のセッティングや彫金といった職人技ひとつとっても、時計史とはまさにイノベーションの歴史でもあります。そしてそれは、無限の想像力を形にするために情熱を注ぎ挑戦する人間の、無限の可能性を示しているのです。
重なって離れて、また近づく。時計の針のようなふたりの関係。その愛しさと尊さを指し示す
長い時間を共に過ごす、お気に入りの時計。そして、その針が指し示す瞬間に一喜一憂する。楽しいときも苦しいときも共に分かち合う、時計とはまさに伴侶のような存在。そして時間を大切にすることは、人生を真剣に生きることでもある。時計とはそんなかけがえのない「時」をもたらす。暮らしも価値観も一変した社会が、それを改めて教えてくれたはず。
またたく間に過ぎ去る日常を、もっと愛おしむ。すると、大切なものが見えてくる。重なって離れて、また近づく、時計の針のようなふたりの関係もきっとそのひとつ。
※2021年「Precious Watch Award」「MEN'S Precious WATCH AWARD」受賞ウォッチと、今年一番輝いた時を過ごした「時の人」も選出！詳しくはこちら
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- 押田比呂美（レディス）、菊池龍之介（メンズ）
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- 川原文洋（UM／レディス）、竹井温（＆'s management／メンズ）
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- 立野リカ（Precious）、DAISUKE
- EDIT&WRITING ：
- 岡村佳代、安部毅、安村徹、佐藤友貴絵（Precious）
