「ジョンロブ」は、ブランドの創業者であるジョン・ロブ氏が、ゴールドラッシュの時代に坑夫たちが採掘した金塊を隠せるよう、ヒールが空洞になったブーツを作ったことがそのルーツ。その後、卓越した靴作りの技術が認められ、英国王室御用達に任命されるとロンドンのリージェントストリートに初のビスポークブティックをオープン。1899年に出店したパリ1号店を経て、1976年にはエルメスグループの傘下となり、1982年に満を持して既製靴のコレクションを発表。現在では、世界19か国に店舗を展開し、世界中の紳士・淑女の足元を飾っている。
ウィンザー公のオーダーによって製作されたストーリー性溢れる1足
今でこそ多くのブランドが展開するダブルモンクストラップシューズだが、その源流を辿ると稀代のウェルドレッサー、ウィンザー公へと行き着く。1945年にウィンザー公が「ジョンロブ」にビスポークの依頼をしたことがきっかけで生まれたシューズであり、その特徴的なデザインはアビエイターブーツが着想源といわれている。その後、1982年にようやく既製履としての販売をスタート。ちなみに『ウイリアム』というモデル名は、誕生当時にテーラーの責任者であった2代目のウィリアム・ロブ氏の名を冠したものである。
アッパーを覆う2本のストラップと共にデザイン的な特徴として挙げられるのが、ストレートチップの意匠。このフォーマルを象徴するディテールが、高いデザイン性に品格をプラス。また、品の良さでいえば、変色や腐食を抑える美しいパラジウム仕上げのバックルもひと役買っている。素材には最高品質のフルグレインレザーを採用。同素材は靴の内側全体にも用いられており、フルライニング仕様にすることで柔らかな足当たりや優れた吸湿性を実現する。
『ウィリアム』シリーズのラスト“9795”によるふくよかなラウンドトウや、ステッチがコバを全周するオールアラウンドグッドイヤー製法、さらにカントリーシューズを出自に持つダブルソールなど、ドレスシューズでは珍しいつくりも、エレガンスだけに終始しないカジュアルな一面を後押しする。端正なスーツスタイルに華やかなアクセントを添えたかと思えば、肩の力が抜けたエフォートレスな装いをキリリと引き締める。合わせるファッションによって、全く異なる表情を見せてくれる『ウィリアム』こそ、オンオフを網羅する万能な1足であることは間違いない。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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- MEN'S Precious編集部
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- STYLIST :
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- WRITING :
- 佐藤哲也