創刊18周年を迎え幸せに思うことは、これまでPreciousで紹介してきた数あま多たの逸品が、今も女性たちの愛用品として現役で活躍していることです。名作バッグに刻まれた傷も、飴色に変化した革靴も、古びて見えるどころかむしろそれぞれの個性が際立ち、輝きが増してラグジュアリー!
使って、使って、使い倒してはじめてわかるものの価値…。愛用品が紡ぐ物語はこれからも、私たち女性ひとりひとりの心を豊かにする、揺るぎない存在であり続けてくれると信じています。
スタイルある女性たちが行き着いた自分らしさ、「愛用品」との付き合い方。生き方が凛と美しい人々は、どんなものを、どのように慈しんできたのでしょうか。手に入れた経緯から、愛用品への育み方まで、4人の女性が、自らの人生論と共に語り下ろします。
今回はテニスプレーヤーである伊達公子さんにインタビュー。愛用品は、カルティエの腕時計『パンテール ドゥ カルティエ』です。
カルティエの腕時計|伊達公子さん(テニスプレーヤー)
「エレガントな人生を歩みたい。そう決意した記憶がよみがえります」
弾けるような笑顔がまぶしい。オールホワイトのコーディネートに少し焼けた肌、そこにカルティエの『パンテール ドゥ カルティエ』をのぞかせる。ゴールドのブレスレットウォッチをここまでヘルシーにつけこなす人は、ほかにいないだろう。
「腕時計、好きなんです。19歳でプロデビューして以来、大金星を挙げたり、名だたる大会で優勝したり、世界ランキングを上げたり…現役生活の節目節目で少しずつ手に入れてきました。20代のことですから、最初はもちろんドキドキ。でも『頑張ったもん! いいよね、エイヤッ』と。
全身全霊を傾けてエネルギーを注いだその記憶を、時計に刻むといえばいいのでしょうか。ある時代の音楽を聴くと、甘酸っぱい記憶が思い出されること、ありますよね。そんなイメージで、時計を見ると、努力して、泣いて笑って、戦い尽くした記憶が鮮やかによみがえってくる。歴史を刻むように、自分と時計を重ね合わせて、ひとつひとつ大切に迎え入れてきました」
1990年代、テニス選手のジュエリー使いは華やかだった。ダイヤモンドのピアスにネックレス、テニスブレスレット。伊達さんはそこに頑丈なロレックスを重ねることもあった。そして1996年、マディソンスクエアガーデンの試合を最後に、現役を退くことを決意する。
「試合を終え、ニューヨークのカルティエブティックを訪れたとき、目に飛び込んできたのが、『パンテール ドゥ カルティエ』でした。ずっと憧れていた、でもまだ早いと遠くから眺めていた、その時計が今目の前にある。華奢なシルエット、ゴージャスなオーラ、エレガントな存在感、今までもっていた時計とは真逆のキャラクターに強烈に惹かれました。
私はアスリートを卒業する。強くあれと律して生きてきたけど、明日からは少し柔らかな人生を歩みたい…その決意と共に、清々しい気持ちで手に入れた、メモリアルな逸品なのです」
以来、スーツやドレス、ときにデニムと合わせ、伊達さんの人生を彩ってきた。
「一時期、『アップルウォッチ』に傾倒したこともあったのですが、一日の歩数を稼ぐため、夜ベッドの上で懸命に腕を振る自分がばかばかしくなって(笑)。またこの『パンテール』をオーバーホールに出したとき、この年代のモデルは貴重と聞いて、さらに愛着を深めているところです。
私は大切に手に入れたものこそ、日常使いするタイプ。時計やジュエリーのほか、食器やグラス、カトラリーもそう。なぜかというと、好きなものに囲まれて生きていたいから。好きなものに囲まれると、自然にポジティブになります。
今なお続けているテニスも同様。好きなことにエネルギーを注いでいれば、気持ちが健やかになり、同じ意志をもつ人々が集まってくる。今こそ愛用品がもたらすハッピームードのなかで暮らしていきたい。そう願ってやまないのです」
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
問い合わせ先
- カルティエ カスタマー サービスセンター TEL:0120-301-757
- チェルキ TEL:03-6418-6779
- カシミカ MAIL:contact@cashmika.com
- PHOTO :
- 久富裕史(N°2)
- STYLIST :
- カドワキジュン子(impress+)
- HAIR MAKE :
- hiro TSUKUI(Perle/ヘア)、三澤公幸(Perle/メイク)
- NAIL :
- 中島理恵(uka)
- WRITING :
- 本庄真穂
- EDIT&WRITING :
- 兼信実加子、喜多容子(Precious)