創刊18周年を迎え幸せに思うことは、これまでPreciousで紹介してきた数あま多たの逸品が、今も女性たちの愛用品として現役で活躍していることです。名作バッグに刻まれた傷も、飴色に変化した革靴も、古びて見えるどころかむしろそれぞれの個性が際立ち、輝きが増してラグジュアリー!
使って、使って、使い倒してはじめてわかるものの価値…。愛用品が紡ぐ物語はこれからも、私たち女性ひとりひとりの心を豊かにする、揺るぎない存在であり続けてくれると信じています。
スタイルある女性たちが行き着いた自分らしさ、「愛用品」との付き合い方。生き方が凛と美しい人々は、どんなものを、どのように慈しんできたのでしょうか。手に入れた経緯から、愛用品への育み方まで、4人の女性が、自らの人生論と共に語り下ろします。
今回は、ファッションデザイナーである芦田多恵さんにインタビュー。愛用品は「ブルガリ」のジュエリーです。
「ブルガリ」のジュエリー|芦田多恵さん(ファッションデザイナー)
TAE ASHIDA 公式サイト
「日常の装いで慈しむ。その麗しい月日が“真の愛用品”を育むのです」
「『いいものを選びなさい。一生使えるものを買いなさい』。これが父の教えでした。『ジュエリーは長く付き合うものだから、そのときの価値観で選ぶのではなく、先を見なさい。少しぐらいトゥーマッチでもいい。身の丈に合っているかな、背伸びしていないかなと思っても、時が経てばそれがしっくりなじむようになる』と。
母への贈り物はもちろん父が選び、私の買い物も、アドバイスしてくれるほどのジュエリー好き。自分では『今はこのあたりかな…』となりがちで、それを『いや、こちらがいいね』と導いてくれる。その審美眼はさすが、確かなものでした」
日本を代表するファッションデザイナーである父、芦田淳氏と母をはじめ、高校時代をスイスで過ごした芦田さんは、ジュエリーをさらりと日常使いする友人たちにも影響を受けた。
「当時の日本とは感覚が違って、ジュエラーによる遊び心溢れる本物を日々さりげなくつける。その文化と心意気に刺激されたのです」
幼少の頃から自然と“本物を見極める目”“日常になじませる術”を養ってきた。20代に入ると、自分に似合うものを少しずつ揃える楽しさに目覚め始める。さらに、気に入ったものは同じブランド、同じシリーズでグレードアップさせ、レイヤードするようにコレクションするのが芦田さん流。
「ブルガリのコインネックレス『モネーテ』は、1点1点表情の違うアンティークコインに魅せられ、お守りのような気持ちで選びました。20代後半に主人からプレゼントされて以来、飛行機に乗る際は必ず身につけています。今回胸元を飾っているのは、10年ほど前に改めて出合ったもの。その細工の美しさはため息が出るほどで、神は細部に宿ることを体感できる逸品だと思います」
同じブルガリの『セルペンティ』シリーズは、スキンジュエリーのような存在。
「見た目のインパクトとは裏腹に、しなやかにくるりと手首に巻き付き、装着のストレスがいっさいありません。長く愛用し、ヘビーローテーションしているステンレス×ブラックセラミックのクールなタイプに加え、今回つけているゴールドのタイプも折に触れて登場。リングも揃えています」
イタリア、そしてブルガリの、時代を超越した美意識に、恋をしてきたと語る。
「2017年、世界で活躍する女性を支援する“ブルガリ アウローラ アワード”をいただき、片思いの相手にようやく認められたようで胸が熱くなり、激励された気分になりました。私自身、昨年11月に30周年を迎えました。実は大きな目標を掲げるのが苦手で、壮大な理想を語るより、今日の一歩を大切に歩いてきました。
時代の変容に寄り添うことが大切とされる今、日々のハードルを丁寧に越える先に、素敵な未来が待っているのだと思う。これまで私を守ってくれた愛用品に感謝しながら、これからも一歩一歩、着実に進んでいきたいと考えています」
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
問い合わせ先
- PHOTO :
- 久富裕史(N°2)
- HAIR MAKE :
- hiro TSUKUI(Perle/ヘア)、三澤公幸(Perle/メイク)
- WRITING :
- 本庄真穂
- EDIT&WRITING :
- 兼信実加子、喜多容子(Precious)