創刊18周年を迎え幸せに思うことは、これまでPreciousで紹介してきた数あま多たの逸品が、今も女性たちの愛用品として現役で活躍していることです。名作バッグに刻まれた傷も、飴色に変化した革靴も、古びて見えるどころかむしろそれぞれの個性が際立ち、輝きが増してラグジュアリー!

使って、使って、使い倒してはじめてわかるものの価値…。愛用品が紡ぐ物語はこれからも、私たち女性ひとりひとりの心を豊かにする、揺るぎない存在であり続けてくれると信じています。

スタイルある女性たちが行き着いた自分らしさ、「愛用品」との付き合い方。生き方が凛と美しい人々は、どんなものを、どのように慈しんできたのでしょうか。手に入れた経緯から、愛用品への育み方まで、4人の女性が、自らの人生論と共に語り下ろします。

今回は、ファッションデザイナーである芦田多恵さんにインタビュー。愛用品は「ブルガリ」のジュエリーです。

「ブルガリ」のジュエリー|芦田多恵さん(ファッションデザイナー)

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『モネーテ』は、古代コインをモダンに仕立てたブルガリらしいネックレス。カーキトップスにホワイトデニムスカートというカジュアルな装いがクラスアップされる。ニット¥82,500・スカート¥74,800(ジュン アシダ〈TAE ASHIDA〉)、その他/私物
芦田 多恵さん
ファッションデザイナー
(あしだ たえ)1964年東京都生まれ。スイスのル・ローゼイ高校を卒業後、アメリカのロードアイランド造形大学アパレルデザイン科を卒業、芸術学士号を取得。1991年コレクションデビュー。2012年、“TAE ASHIDA”を発表。同年秋、FECJ特別賞受賞。皇室、政財界、女優などの顧客も多く、日本を代表するデザイナーとして活躍中。
TAE ASHIDA 公式サイト

「日常の装いで慈しむ。その麗しい月日が“真の愛用品”を育むのです」

「『いいものを選びなさい。一生使えるものを買いなさい』。これが父の教えでした。『ジュエリーは長く付き合うものだから、そのときの価値観で選ぶのではなく、先を見なさい。少しぐらいトゥーマッチでもいい。身の丈に合っているかな、背伸びしていないかなと思っても、時が経てばそれがしっくりなじむようになる』と。

母への贈り物はもちろん父が選び、私の買い物も、アドバイスしてくれるほどのジュエリー好き。自分では『今はこのあたりかな…』となりがちで、それを『いや、こちらがいいね』と導いてくれる。その審美眼はさすが、確かなものでした」

日本を代表するファッションデザイナーである父、芦田淳氏と母をはじめ、高校時代をスイスで過ごした芦田さんは、ジュエリーをさらりと日常使いする友人たちにも影響を受けた。

「当時の日本とは感覚が違って、ジュエラーによる遊び心溢れる本物を日々さりげなくつける。その文化と心意気に刺激されたのです」

幼少の頃から自然と“本物を見極める目”“日常になじませる術”を養ってきた。20代に入ると、自分に似合うものを少しずつ揃える楽しさに目覚め始める。さらに、気に入ったものは同じブランド、同じシリーズでグレードアップさせ、レイヤードするようにコレクションするのが芦田さん流。

「ブルガリのコインネックレス『モネーテ』は、1点1点表情の違うアンティークコインに魅せられ、お守りのような気持ちで選びました。20代後半に主人からプレゼントされて以来、飛行機に乗る際は必ず身につけています。今回胸元を飾っているのは、10年ほど前に改めて出合ったもの。その細工の美しさはため息が出るほどで、神は細部に宿ることを体感できる逸品だと思います」

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ヘビの流麗な姿を彷彿とさせる官能的な曲線が美しい『セルペンティ トゥボガス』。「この世でいちばん苦手なのがヘビなのに、なぜか心惹かれて。ダイヤモンドセッティングにブラックフェイスというコントラストが、大人の手元を妖艶なムードへと導きます」

同じブルガリの『セルペンティ』シリーズは、スキンジュエリーのような存在。

「見た目のインパクトとは裏腹に、しなやかにくるりと手首に巻き付き、装着のストレスがいっさいありません。長く愛用し、ヘビーローテーションしているステンレス×ブラックセラミックのクールなタイプに加え、今回つけているゴールドのタイプも折に触れて登場。リングも揃えています」

イタリア、そしてブルガリの、時代を超越した美意識に、恋をしてきたと語る。

「2017年、世界で活躍する女性を支援する“ブルガリ アウローラ アワード”をいただき、片思いの相手にようやく認められたようで胸が熱くなり、激励された気分になりました。私自身、昨年11月に30周年を迎えました。実は大きな目標を掲げるのが苦手で、壮大な理想を語るより、今日の一歩を大切に歩いてきました。

時代の変容に寄り添うことが大切とされる今、日々のハードルを丁寧に越える先に、素敵な未来が待っているのだと思う。これまで私を守ってくれた愛用品に感謝しながら、これからも一歩一歩、着実に進んでいきたいと考えています」

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

問い合わせ先

ジュン アシダ

TEL:03-3463-8631

PHOTO :
久富裕史(N°2)
HAIR MAKE :
hiro TSUKUI(Perle/ヘア)、三澤公幸(Perle/メイク)
WRITING :
本庄真穂
EDIT&WRITING :
兼信実加子、喜多容子(Precious)