メンズウエアのカジュアル化は、新型コロナウイルスの流行によるリモートワークの普及などにより、ここ数年で一気に広がったように見える。カジュアルフライデーやクールビズなどと言わずとも、いまやTシャツやポロシャツ、デニムパンツそしてスニーカーは、快適なワーキングスタイルとして定着している。
その一方で、これまでオフタイムの服装だったものがオンタイムも含めた広義の「日常着」として着られるようになったことで、単にリラックスした、楽ちんな服というだけでは物足りなくなっている。快適さを感じさせながら、センスや美意識、または個性をどう盛り込んでいくか。そのために、従来のスーツ中心のスタイル以上に、アイテム選びは吟味する必要がありそうだ。
ビスポークと同様の製法を採用したオーダースニーカー
中でもスニーカーは、クラシックかつ簡素なコットンキャンバス素材のものから、リアルスポーツのスペックをデザインに反映したもの、またはそれら従来のスニーカーをモードの視点から再構築したものなど、実に多岐にわたっている。ただ、その中で、革靴に代わる存在感、使い勝手を備えたスニーカーとなると、頭を悩ませる人も多いのではないだろうか。
日本における、ビスポーク(オーダーメイド)のシューメーカーの第一人者として知られる柳町弘之氏。彼のブランド「HIRO YANAGIMACHI」の靴は、その緻密な靴づくリで国内に止まらず海外にも広く知られている。そんな柳町氏が昨年11月に発表したのが、メイド・トゥ・オーダーのスニーカー「LS1」だ。
スニーカーのクラシックなデザインを見直し、再構築したというそのスタイルは、往年のトレーナーシューズによく見られる内羽根式の7アイレット。靴づくりのベースとなる木型には、長年のビスポークの靴づくりで培われた知見をもとに、このスニーカー専用のラストを開発した。さらにアッパー素材には「HIRO YANAGIMACHI」の革靴と同様の、ハイクオリティなヨーロッパ産スエードを採用している。
そして大きな特徴はその製法。多くのスニーカーでは、アッパーはストローベルという中底素材(生地)とともに縫製されて、その下にミッドソールそしてアウトソールが接着される。一方、この「LS1」ではビスポークの革靴同様のハンドソーンウェルテッドを採用し、アッパーと革製のインソールは職人の手作業で縫製される。ラバーのアウトソールはウェルトやインソールに接着されている形で、磨耗したソールは取り替えてリペアすることが可能だ。
職人の手作業でつくられる、現代のニーズに応えるフットウエア
展開アッパーの色は、ウォームカラーのSand Beige/Khaki/Golden Brown、クールカラーのMoss Green/Navy/Blackの全6色。さらにウォームカラーにはBeige/Brick、クールカラーにはBlack/Gray の各2色のソールが用意されていて、好みや用途等にあわせて選ぶことができる。また、ソック(中敷き)もハーフソック/フルソック/フルソック+フルクッションの3種から、好みのフィッティングや履き心地で選択可能だ。
オーダーの方法は、東京・千駄ヶ谷の「HIRO YANAGIMACHI」にてサンプルシューズを履いてサイズを選び、ソックの仕様やアッパーカラー、ソールカラーなどを決める。完成したスニーカーの納期はおよそ3か月で、受注している数量によっては多少伸びる可能性もある。
ハンドメイドの革靴づくりを起点に構想され、開発されたこのスニーカー。革靴が持つクラシックな雰囲気や上品さ、そして堅牢性を備えながら、よりエフォートレスな使い勝手を追求した、現代的でハイブリッドなフットウエアといえそうだ。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
問い合わせ先
※新型コロナウイルスの影響により一部情報が変更となる可能性があります。最新情報は公式HPなどでご確認ください。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
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