1879年、木製の暗箱カメラに使う感光材料メーカーとして「イルフォード」はロンドン郊外で創業した。フィルムメーカーとしても有名だが、わずか3種しかつくらなかったカメラの人気は、時代が変わっても不動のものである。なかでもここに紹介する『アドボケイト』は、白眉と称される名機だ。
プロのカメラマン絶賛のモノクロフィルム専業メーカーが作り出した唯一無二のフィルムカメラ
他のカメラと一線を画す「白い貴婦人」
目を引くのは、象牙色のエナメルで仕上げられた外観である。このような意匠は古今東西のカメラで他に例を見ず、ドイツ製品より洗練され、フランス製品ほど華美ではない。このたたずまいに英国を感じる。
カメラの要であるレンズは、写真の発生とほぼ時を同じくして事業を開始した英国の名門「ダルメイヤー」の品を採用している。うっすらと青く光るレンズ表面と本体色との組み合わせが美しく、鑑賞すべき物品としての価値も高いが、フィルムを入れて撮影してみれば驚くほどシャープな写真が撮れる。このことこそ「名品」たる所以なのである。
※2012年夏号取材時の情報です。※価格は税込みです。
- TEXT :
- MEN'S Precious編集部
Faceboook へのリンク
Twitter へのリンク
- PHOTO :
- パイルドライバー