1879年、木製の暗箱カメラに使う感光材料メーカーとして「イルフォード」はロンドン郊外で創業した。フィルムメーカーとしても有名だが、わずか3種しかつくらなかったカメラの人気は、時代が変わっても不動のものである。なかでもここに紹介する『アドボケイト』は、白眉と称される名機だ。

プロのカメラマン絶賛のモノクロフィルム専業メーカーが作り出した唯一無二のフィルムカメラ

他のカメラと一線を画す「白い貴婦人」

モノクロフィルムに特化した老舗メーカーから、50年代に誕生した、カメラ界の度肝を抜いた逸品。「白い貴婦人」と称えられた美白の外観は、ドイツや日本製のメカニカルな名機とはだれが見ても対照的なたたずまい。しかし、正真正銘の本格レンズを搭載した35㎜フィルムカメラなのだ。ヴィンテージ市場でも特別視される逸品。※参考商品
モノクロフィルムに特化した老舗メーカーから、50年代に誕生した、カメラ界の度肝を抜いた逸品。「白い貴婦人」と称えられた美白の外観は、ドイツや日本製のメカニカルな名機とはだれが見ても対照的なたたずまい。しかし、正真正銘の本格レンズを搭載した35㎜フィルムカメラなのだ。ヴィンテージ市場でも特別視される逸品。※参考商品
内部はいたってシンプル! カメラのふたを開けフィルムをセットする作業は、デジカメ時代の今だからこそ新鮮
内部はいたってシンプル! カメラのふたを開けフィルムをセットする作業は、デジカメ時代の今だからこそ新鮮

目を引くのは、象牙色のエナメルで仕上げられた外観である。このような意匠は古今東西のカメラで他に例を見ず、ドイツ製品より洗練され、フランス製品ほど華美ではない。このたたずまいに英国を感じる。

カメラの要であるレンズは、写真の発生とほぼ時を同じくして事業を開始した英国の名門「ダルメイヤー」の品を採用している。うっすらと青く光るレンズ表面と本体色との組み合わせが美しく、鑑賞すべき物品としての価値も高いが、フィルムを入れて撮影してみれば驚くほどシャープな写真が撮れる。このことこそ「名品」たる所以なのである。

※2012年夏号取材時の情報です。※価格は税込みです。

この記事の執筆者
名品の魅力を伝える「モノ語りマガジン」を手がける編集者集団です。メンズ・ラグジュアリーのモノ・コト・知識情報、服装のHow toや選ぶべきクルマ、味わうべき美食などの情報を提供します。
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パイルドライバー