かつて名匠と謳われた靴職人 アンソニー・チャーチがノーザンプトンに工房を構えた1617年を起点とし、そこから約2世紀を経た1873年にトーマス・チャーチと息子のウィリアムらによって「チャーチ」は設立される。その後、ウイリアムによって世界で初めて左右に区別のある“アダプタブル(結合)”というコンセプトを採用した靴や、それまでになかったハーフサイズの展開を始めるなど、現代に繋がる画期的な靴作りを発明し、飛躍的な成長を遂げる。1900年代以降は積極的に海外へと進出し、伝統と革新を兼備するものづくりは世界中で評価を獲得。時は流れて1999年にプラダ・グループの傘下に入ると、これまで培ってきたクラフツマンシップにコンテンポラリーな感性を加えることで、ウィメンズを含めたより幅広い層の支持を集めるなど、英国を代表するシューメーカーとして確固たる地位を築いている。
ポリッシュドバインダーカーフが創出する艶のある美しい光沢
改めて、『バーウッド』について説明しよう。トウや履き口、ヒールなど全体に美しい穴飾りを施した内羽根のフルブローグ仕様。元々は、雨の多い地域を移動する際に、靴の中に侵入した水を外部に放出するために考えられたディテールが、今や美しいデザインへと昇華している。また、エッグトウに象徴される「チャーチ」特有のぽってりとした愛嬌のあるフォルムが、繊細なブローグを引き立てると共に、ドレッシーに振りすぎない汎用性の高さへと結びついている。
とは言え、カーフレザーに表面加工を施したハイシャイン仕上げによる美しい光沢感がしっかりと気品を担保。デザインにばかり目を奪われがちだが、素材が有する撥水性とラバーヒール付きダブルソールで、雨の日に履けるのも大切なポイントと言えよう。
高い実用性がありながらエレガンスで、なおかつカントリーライクな趣深さも備えるなど、1足で多面的な顔を見せてくれる。クラシックなスーツスタイルを仕上げるだけでなく、リジットデニムやコットンパンツを使ったカジュアルな装いを品よく格上げするなど、1足あれば2足、3足分の活躍を約束してくれるはずだ。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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- MEN'S Precious編集部
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- PHOTO :
- 島本一男(BAARL)
- STYLIST :
- 河又雅俊
- WRITING :
- 佐藤哲也