時代を超えて示唆に富むセレブリティたちのスナップ。その確かな審美眼とスタイルを通して、価値あるものの選び方、使い方を探ると同時に、本誌アーカイブのなかからこれからも使い続けたい「愛用品」を見つけました。

今回はライフスタイルを美しく彩る「愛用品」の魅力に迫ります。

日常生活の「愛用品」としてふさわしい、「ピエール・ジャンヌレ」のアームチェア『PH29』、「ルイスポールセン」のフロアライト『PH80』、「ヴェニーニ」のフラワーベース、「ゴヤール」の愛犬グッズ、「エルメス」のブランケットを本誌アーカイブから取り上げます。

ライフスタイルを美しく彩る「愛用品」

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オナシスと婚姻関係にあった1970年前後、カプリ島でのジャクリーン・ケネディ・オナシス。ひと夏を地中海で過ごし、カジュアルなジャッキースタイルが確立された。(C)Getty Images

常にパパラッチに追われていたジャクリーン・ケネディ・オナシスとそのファミリー。自宅のあったニューヨークや、週末を過ごすハンプトン、バカンスに訪れたカプリやサンモリッツでのスナップからは、彼らの優雅でありながら、シンプルで気負いのない暮らしぶりが浮かび上がります。

セレブリティの旅先でのスナップや、街中での犬の散歩風景。日常を切り取ったそんな無防備な姿は示唆に富んでいて、そのライフスタイルをかいま見ながら「くつろいでいるときにこそ、美しくあること」がいかにエレガントであるかと気付かされるのです。

ジョン・F・ケネディJr.と妻のキャロリン
飛行機事故で亡くなったジョン・F・ケネディJr.とファッションアイコンとして記憶に残る妻のキャロリン。散歩に出るたび、センスのいい着こなしがキャッチされた。(C)Getty Images

生活環境や暮らし方は、着こなしや佇まいにもオーラのように表れるもの。家がすっきりと整っていることは大切ですが、むしろ自らの審美眼を通して選んだ“好き”の集積がもたらす心地よさや、カオスのなかにある統一感などは、その人らしさ、スタイルでもあります。

さらに美しく散らかすことにいたっては、高度な芸術的なセンスも必要です。

まずは服やバッグ同様、つくり手の技と情熱が息づくものや、デザインに力のあるもののなかから、自分の感性に合う“好き”なものだけを身の回りに置く暮らしを続けてみること。インテリアにも流行はありますが、そのときどきに大切に愛用した記憶は、心豊かに人生を彩ります。

■1:「ピエール・ジャンヌレ」のアームチェア『PH29』

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2019年8月号掲載 撮影/唐澤光也(RED POINT)

半世紀以上を経て蘇るヴィンテージ。「愛用品」の未来に注目したい!

ル・コルビュジエと共同で建築事務所を開き、彼の影となって活躍した建築家 ピエール・ジャンヌレの家具が、今世紀初頭からパリのギャラリーで収集が始まり、クリエイターを中心に急激に注目されるようになった。

いたずらな好奇心をぐっと抑えて、偉大な建築家の意匠と伝統工芸を次の世代へとつなぐ再生プロジェクトを見守っていきたい。

■2:「ルイスポールセン」のフロアライト『PH80』

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2022年2月号掲載 撮影/川田有二

一日の終わりは、フロアライトの名品で心安らいで

北欧ブームがひと息ついても、長く愛される名品には感動がある。

デザインしたポール・ヘニングセンは、デンマークのチボリ公園の設計主任も務めた建築家。1920年代から「ルイスポールセン」社と共に3枚のシェードによる照明器具を開発。生涯を通じてグレア(=不快な眩しさ)がなく、必要な箇所に明るい光を届け、柔らかな影をつくり出すことを追求した人。

その考え方が美しい形となって、1世紀にわたる愛用品を生み出して。

■3:「ヴェニーニ」のフラワーベース

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2019年12月号掲載 撮影/新垣隆太(パイルドライバー)

ヴェネチアングラスが映し出す、優しいグレージュの影にうっとり…

美しい細工を凝らしたガラス器は、昼は窓辺の日差しに煌めき、夜は間接照明のうす灯りにも柔らかな影を映す。フラワーベースは花を入れても入れなくても、オブジェとして美しいものを選びたい。

写真は125色もの彩りが楽しめる伝統的ヴェネチアングラス工房「ヴェニーニ」のもの。金属網で包んで吹いたガラスはグレージュの格子柄が洗練されて。

■4:「ゴヤール」の愛犬グッズ

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2017年11月号掲載 撮影/小池紀行(パイルドライバー)

飼い主とお揃いのキャリーバッグで、一緒に旅へ

コロナ禍以降、高級ホテルでもペットを連れて宿泊できるところが一気に増えた。海外では旅客機内に犬を持ち込むことができるので、飼い主とお揃いの象徴的な「ゴヤールディンキャンバス」を使用した愛犬グッズは人気。

ほとんどの航空会社のペット機内持ち込み用荷物サイズの規定を満たしている。トランクと同じ製法でつくられる丈夫でシックなフードボウルも!

■5:「エルメス」のブランケット

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2022年2月号掲載 撮影/池田 敦(パイルドライバー)

くつろぎの場所でこそ、いちばんのお気に入りを愛用

カシミアの柔らかな手触りと、白く浮かび上がる「H」、丁寧なサドルステッチ、そして発色の美しい織りと染色でつくられるという「プレード(=格子柄)」。

部屋の特等席で愛でたいブランケット類は、読者にも愛用者が多く、家族それぞれに色柄違いで揃えたり、適度に地厚なので愛犬によるキズ避けのソファカバーにしたりという贅沢も!

※掲載した商品は、過去の『Precious』で掲載した記事からの転載なため、現在は買えないものも含まれています。ブランドへのお問い合わせはご遠慮ください。

PHOTO :
Getty Images、唐澤光也(RED POINT)、川田有二、新垣隆太・小池紀行・池田 敦(パイルドライバー)
EDIT&WRITING :
藤田由美、兼信実加子、喜多容子(Precious)