ビスポーク顔負けの既成靴。「ガジアーノ&ガーリング」の計算し尽くされたデザインに思わず感嘆の息が漏れる

ビジネスシーンで活躍する特別な逸品を紹介する本企画。今回は、イギリスのシューメーカー「ガジアーノ&ガーリング」のキャップトウをピックアップ。スーツであろうと革靴であろうと、自分の好みや趣味嗜好、ぴったりのフィッティングを求めるのであればオーダーメイドやビスポークに行き着く。しかし、既製品であってもまるで自分のためにあつらえたような履き心地や凝ったデザインで人気を博しているのが、本稿で紹介する「ガジアーノ&ガーリング」のレザーシューズである。

「ガジアーノ&ガーリング」は、共にビスポークシューズの世界で名を馳せるトニー・ガジアーノとディーン・ガーリングによって2006年に創業。ビスポークの要素を既成靴に取り入れた稀有なブランドとして、圧倒的な評価を博している。イギリス・ケタリングの自社工場で生産された靴は、2014年にロンドンのサヴィル・ロウにオープンした直営店をはじめ、世界の名だたるショップで展開され、世界中の洒落者を魅了し続けている。

スクエアトウとブローグの黄金比的なバランスが生み出すダイヤモンドキャップ

靴￥220,000（トレーディングポスト青山本店〈ガジアーノ＆ガーリング〉）

こちらの『サヴォイ』は「ガジアーノ&ガーリング」を代表するシグネチャーモデル。つま先をノミで削ぎ落としたような形から“チゼルトウ”とも呼ばれる鋭角なトウデザインが特徴。逆V字型のステッチとの組み合わせから“ダイヤモンドキャップ”と名付けられたつま先のディテールは、キャップとウィングの中間に位置するもので、ビスポークでは普遍的な意匠の一つ。加えて、先端に配した羊の角を模したメダリオンがエレガントなムードを後押しする。素材には最高品質のカーフを採用。シームのない小振りなヒールカップとくびれのあるウエストとの相乗効果でかかとをしっかりとホールドし、まるでビスポークのようなフィッテイングを享受する。クラシックな普遍性と優美なエレガンス。多面的な美しさを併せ持つ1足は、伝統を大切にしながら歩みを止めない英国紳士靴の現在地を教示してくれる。

※掲載商品の価格は、税込みです。