いつの時代も女性を魅了する、フランスブランドのお洋服やバッグ、ジュエリー。きっとお気に入りのブランドが思い浮かぶかと思います。では下着ブランドはいかがでしょうか? 「いい物を知っている大人女性にこそ、フレンチランジェリーを着けて欲しい」というのは、自身もフランスの下着と出会ったことで、ランジェリーライターの道を歩み始めたという川原好恵さん。

今回は「身に着けることで内面に自信をもたらす」というフレンチランジェリーについて、そしてフランス人女性の流儀を、改めて教えていただきましょう。

見えない部分へのこだわりから生まれる。フランス人女性の優雅な立ち振る舞いと色香

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レースの美しさを堪能するようなデザインは、フレンチランジェリーの象徴

私が初めてフレンチランジェリーを身に着けたのは、20代半ば。たしか輸入下着店で購入した「オーバドゥ」のブラジャーでした。それは、日本のブランドでは見たことのない華やかな色とデザインで、身に着けると、小ぶりのバストがコンプレックスだった自分のからだを肯定でき、少し好きになれたことを覚えています。

そして、ファッションと同じように、下着も自由におしゃれを楽しんでいいんだと知るきっかけとなりました。

年齢を重ねてもランジェリー選びに気を抜かないフランス人の女性たち

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フランス人女性のランジェリー選びは真剣そのもの

パリのランジェリーショップやデパートの下着売り場に行くと、さらに深い魅力を知ることに。大人の女性が真剣かつ楽しそうに下着を選ぶ姿や、販売員さんとコミュニケーションをとりながら、何枚もブラジャーを試着している光景は、下着がフランスの女性にとって、どれほど大切な存在かを教えられるようでした。

そして、フランス人女性のどこか自信あり気で優雅な立ち振る舞い、年齢を重ねた女性に漂う大人の色香、それらは、普段は人の目に触れることのない服の下のランジェリーにこれほどこだわっているから生まれるものだと確信したのです。

素敵な下着を身に着けているという自信が、心に余裕を与えてくれる

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パリのランジェリーブショップめぐりは、フランスの下着文化を知る絶好の機会

そんなフランス人女性の佇まいに憧れ、私はますますフレンチランジェリーに夢中に。お洋服やバッグ、ジュエリーは高価なブランド物でなくても、素敵な下着を身に着けているという自信が、常に背筋を伸ばし、心の余裕を与えてくれました。それがランジェリーの持つ力であり、その力を多くの方に伝えたいとの想いで、今もランジェリーライターの仕事を続けています。

日本でも試着して買える!フランスを代表するランジェリーブランド5選

数あるブランドの中から、川原さんが「フランスを代表する5ブランド」をセレクト。いずれも日本のデパートやランジェリーショップで販売されており、試着して購入することができるので安心です。

■1:歴史あるパターンメーキング技術と官能性で魅了する「オーバドゥ」

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ブラジャー¥25,300・タンガ¥13,200/オーバドゥ(マリアネリ青山店)

1958年にパリで誕生した「オーバドゥ(AUBADE)」。創業はそのずっと前で、1875年にベルナール医師が医療用コルセットを製造したことが始まり。コルセットメーカーをルーツとするだけあり、女性のからだを美しく魅せるそのパターンメーキングの技術には今も絶大な信頼が寄せられています。

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ナイティ¥37,400/オーバドゥ(マリアネリ青山店)

そして今では、世界のランジェリートレンドを牽引する存在に。パートナーとの「セダクティブ(誘惑)」を愉しむというブランドコンセプトがクリエイションの根底に流れ、ファッション性に富んだデザインの中に官能的なムードを含んでいるのも魅力。まさにフランス女性の色香を感じさせます。

■2:上質な素材で正統派のフレンチエレガンスを表現する「リズ シャルメル」

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左 ベビードール¥30,800 、右 ブラジャー¥26,400・ショーツ¥16,500/リズ シャルメル(リバコ)

高級シルクの産地として知られるリヨンで、1953年に創業した「リズ シャルメル(LISE CHARMEL)」。そのブランド名にある「CHARMEL」はフランス語で「魅力」を意味する「Charme」に由来する造語で、「LISE」は創業者が愛し、後に妻となった女性の名前。深い愛から生まれた、大人のフランス女性に愛されるブランドです。

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左 ブラジャー¥25,300〜・ショーツ¥18,700、右 ベビードール¥40,700/リズ シャルメル(リバコ)

シルクはもちろんのこと、繊細で上質なレースを使った正統派のフレンチエレガンスが、このブランドの真骨頂。今でも、ほとんどの商品を自社工場で作っているメイド・イン・フランスのランジェリーです。ときを経てもその輝きを失わない、タイムレスな美しさを堪能できます。

■3:ファッションとして楽しむモードランジェリー「シャンタル・トーマス」

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左 ブラジャー¥17,600・ショーツ¥9,900、右 ブラジャー¥17,600・ショーツ¥11,000/シャンタル・トーマス(アイ・ビー・エフ)

1975年のデビュー以来、下着の枠を超えたファッションとして楽しむランジェリーを提案し続ける「シャンタル・トーマス(CHANTAL THOMASS)」。その独創的でおしゃれなデザインは、服の下に隠してしまうのがもったいないほど。キャミソールやボディスーツはそのままアウターとして着用できるほど洗練されています。

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左 ボディスーツ ¥52.800、右 ブラジャー¥18,700・タンガ¥9,900/シャンタル・トーマス(アイ・ビー・エフ)

ブランドを創業したシャンタル・トーマスさんは2018年にブランドを離れ、そのデザインも変化が生じましたが、実はつい先日、2022年秋冬コレクションから復帰することが発表されました。「ランジェリー界の女王」と呼ばれる彼女のクリエイションがまた見られるのが、今から楽しみです。

■4:モダンなデザインと機能で現代の女性たちに寄り添う「メゾン ルジャビー」

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ブラジャー¥19,800・ショーツ¥14,300/メゾン ルジャビー(アイ・ビー・エフ)

1930年に創業し、それぞれの時代の女性達が求めるランジェリーを提案し続けてきた「メゾン ルジャビー(MAISON LEJABY)」。余計な装飾で飾り立てるのではなく、素材の良さやカッティングの美しさでモダンなランジェリーを提案。その一方で、常にフェミニンさを失わないところが、歴史あるこのブランドの実力です。

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左 ブラジャー¥20,900・ショーツ¥11,000、右 ブラジャー¥17,600・タンガ¥9,900/メゾン ルジャビー(アイ・ビー・エフ)

パリのショッピング街を歩いていると「メゾン ルジャビー」のショップが見つかり、店内では幅広い年齢層の女性達が買い物する姿が。モダンなカラーリングのランジェリーから補整力のあるシェイプウェアまで、あらゆる体型や好みに合わせた下着を展開する懐の深さが、その人気を支えています。

■5:大人の女性に似合う可愛らしさとカジュアル感が魅力の「プリンセス タム・タム」

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ブラジャー¥7,500・ショーツ¥4,500/プリンセス タム・タム(コントワー・デ・コトニエ ジャパン)

1985年に、2人姉妹によって創業された「プリンセス タム・タム(PRINCESSE TAM・TAM)」は、フランスでは祖母・母・娘と3代にわたって愛用する人もいるほどポビュラーなブランド。カラフルなプリントショーツやシックなレースランジェリーなど大人の女性に似合う可愛らしさとカジュアル感が魅力です。

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ブラジャー¥7,500・ショーツ¥4,500/プリンセス タム・タム(コントワー・デ・コトニエ ジャパン)

その中でも、ノンワイヤーやノンパッドのナチュラルなバストラインをつくるブラジャーが、このブランドの人気アイテム。日本では、銀座にある「ユニクロ トーキョー」のみでの販売ですが、その軽やかな着け心地は試してみる価値あり。パリジェンヌに愛される理由がきっとわかります。


美しい下着を着けるのは「体型を整えから」との声も、ときどき聞かれますが、美しい下着を身に着けると自分のからだが好きになって自信が湧き、自分磨きにも前向きになれると私は思います。まずは1着、お気に入りのフレンチランジェリーを見つけてみてはいかがですか?

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この記事の執筆者
文化服装学院卒業後、流通業界で販売促進、広報、店舗開発を約10年経験した後、フリーランスとして独立。下着通販カタログの商品企画などを経て、現在はランジェリーを中心に、雑誌、新聞、ウェブサイトなどで執筆・編集を行なう。モットーは「ラグジュアリーからプチプラまで」。国内外の展示会・店舗を幅広く取材する。
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PHOTO :
Getty Images(Image)
WRITING :
川原好恵
EDIT :
石原あや乃