温泉は五感で楽しむレクリエーション。とりわけ露天風呂においては、周囲の景観が旅情を盛り上げる重要なポイントです。息を呑むような大自然のスペクタクルの中、極上の湯に浸かるのは至福のひととき。ただのんびり眺めているだけで、心身の疲れが浄化されるのを実感できることでしょう。

そこで、全国2,500以上のスポットを巡った経験のある、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんから、絶景を堪能できる温泉宿6軒をピックアップしてもらいました。本記事でお届けするのは「里山十帖」。築150年の古民家をリノベーションしたお宿は建物自体が風情たっぷり。里山との一体感が得られる露天風呂で四季折々の情緒を堪能できる温泉宿の魅力をご紹介します。

 
植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の2500スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

東京駅から2時間弱!里山に囲まれた露天風呂で大自然を堪能

建築グッドデザイン賞も獲得した「里山十帖」
高いクオリティでまとめられたデザインやコンセプトが評価され、グッドデザイン賞も獲得した「里山十帖」

東京駅から上越新幹線と在来線を乗り継いで、およそ1時間40分でJR大沢駅に。そこから、さらに車で5分ほど行けば、築150年の古民家をリノベーションした湯宿「里山十帖」に到着します。首都圏から2時間弱ほどの場所ですが、周囲には里山の自然しかなく秘湯感たっぷり。そんな「里山十帖」は、都会の喧騒から離れた特別な時間を体感できるとしてリピーターが続出。2014年オープン以来、予約困難な状況が続いているほどだといいます。

里山との一体感を味わえる絶景温泉
里山との一体感を味わえる絶景温泉

「露天風呂『天の川』の素晴らしさは言葉では表し尽くせないほど。目の前には日本百名山・巻機山をはじめ、標高2,000メートル前後の山々が広がり、里山の景色と湯舟が一体化するような感覚を味わえます。まさしく里山インフィニティ温泉です。私が訪れた季節は冬で、初日はうっすら残雪が見える程度だったのですが、夜間にかなりの降雪があり、一夜にして景観が様変わりしたのにもひたすら感動…。ちょうど今の時期でしたら、新録が見どころではないでしょうか。

絶景もさることながら、美肌効果も推しポイントです。泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉で、いわゆる美人の湯と呼ばれるもの。実際に浸かってみると天然の石鹸のようにツルツルすべすべの浴感で、湯上りはさっぱり爽快感。しっとり保湿も叶い、つるんとむき卵肌になるのを実感できました」(植竹さん)

夜間には星空の下で湯浴みができる
夜間には星空の下で湯浴みができる
季節ならではの絶景を堪能
季節ならではの絶景を堪能

ちなみに、露天風呂の利用時間は15時から翌10時まで。昼、夕暮れ時、夜間、そして朝…と時間帯によって移り変わるパノラマ・ビューは心身の疲れを癒すとともに、日本の自然の美しさを再認識させてくれることでしょう。

空間美に食材…こだわりのお宿で真の贅沢を体感!

チェックイン・ロビー。太い梁や柱、高い天井が圧巻!
チェックイン・ロビー。太い梁や柱、高い天井が圧巻!

里山十帖のコンセプトは「Redefine Luxury. 体験と発見こそが、真の贅沢」。単なる温泉宿ではなく、ライフスタイル提案型複合施設として、宿全体にさまざまな趣向が散りばめられています。

建物は、今では手に入らない貴重な貴重な総欅(ケヤキ)造り。伝統とモダンが調和した外観も風情がありますが、中に入るとさらに壮観。高さ10メートルもの広大な吹き抜けに圧倒されます。縦横に走る太い梁と柱は長年の豪雪に耐えてきたもので、釘を使わず組み上げられているのだそう。

館内の家具も調度品も一流デザイナーのものばかり
館内の家具も調度品も一流デザイナーのものばかり

「こちらの宿はインテリアにも非常にこだわりがあり、家具も世界の著名デザイナーのものをさりげなく配置しています。例えば、椅子ひとつとっても、ダイニングに10種以上のチェアがあり、自分のお気に入りのものを選ぶことができるんです。スタッフの方々の程よい距離感も心地よく、大人の寛ぎ宿といった感があります」(植竹さん)

里山十帖のコンセプトは、もちろん料理にも現れています。

  • 体の内側からきれいになれそうなメニュー
    体の内側からきれいになれそうなメニュー
  • 少量ずつ自然の恵みをいただく
    少量ずつ自然の恵みをいただく

「ここの料理は、ミシュラン一つ星を獲得したことがあるほど。山菜をはじめ里山の食材を生かしたメニューは滋味に富みます。化学調味料を一切使わず、すべての調味料が無添加・天然醸造。キッチンの地下に発酵部屋があり、味噌や塩麹なども手作りというこだわりぶりで、素材本来の旨味や自然の恵みを舌でしみじみと感じることができます。例えば、にんじんなども天然の甘さにびっくり。お米も魚沼産コシヒカリの名産地だけあって格別の味わいでした」(植竹さん)


以上、「里山十帖」をご紹介しました。都会の喧騒を離れた大人の寛ぎ宿で、のんびりしっとりとリフレッシュしたい方は、次の旅先候補のひとつにぜひ加えてみてはいかがでしょうか?

※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。

問い合わせ先

  • 里山十帖
  • 住所/新潟県南魚沼市大沢1209-6
  • 客室数/全13室
  • 料金/1名 ¥29,260~(税込)
  • TEL:0570-001-810

WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生