ガブリエル・シャネルの回顧展「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode」が、東京・丸の内の三菱一号館美術館にて、2022年6月18日(土)から9月25日(日)まで開催されます。
ガブリエル・シャネルの仕事にフォーカスした回顧展「ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode」
“20世紀でもっとも影響の大きい女性デザイナー”と言われる、ガブリエル・シャネル。常に時代の空気を感じ取り、自身の描くヴィジョンに沿って創出した服やバッグ、ジュエリーの数々は、揺るぎないスタイルとなり、女性たちの自由を支えてきました。
そんなガブリエル・シャネルのこれまでの仕事にフォーカスした本展では、シャネルのスーツの原型となる1920年代の代表作品をはじめ、戦後に流行したシャネルのスーツ、リトル・ブラック・ドレス、イヴニング・ドレスなど、各時代を代表する服飾作品を集結。
さらには「シャネル N°5」の香水瓶やコスチュームジュエリー、シンボリックな「2.55」バッグにバイカラーシューズも展示されるなど、シャネルならではのシック・シンプル・エレガントな世界観を体感できる、貴重な展覧会となっています。
ここからは、本展で展示される一部をご紹介していきます。
■1922-1928年 ドレスとジャケットのアンサンブル
婦人用の帽子デザイナーとしてキャリアをスタートさせたガブリエル・シャネル。その後、上流階級の社交界から感じ取れる自由な精神に着想を得て、フランスの港町ドーヴィル(1912年)とピアリッツ(1915年)にブティックを構えました。
19世紀の装飾的で身体を締め付けるファッションに対し、シンプルで動きやすく、機能的でありながらエレガントというシャネルのエスプリは、初期のデザインからも感じ取れます。
■1966年春夏 リトル・ブラック・ドレス
世界中の女性のおしゃれを変えたと言っても過言ではない「シャネルの黒」。中でも、シャネルのリトル・ブラック・ドレスは代表的です。喪服を連想させる色だった黒を、究極にエレガントなモードカラーであることを世界中の女性たちに教えてくれた、まさにシンボリックなアイテムです。
■1923年 オートクチュールの刺繍技法を用いたシルクサテンのケープ
1930年代は、シルエットへの意識が最も強く表現された時期。会場には、優美なレースのガウンやイヴニングウェア、オートクチュールの装飾技法が光る羽やビーズを用いた作品も展示されます。彼女が取り入れたオートクチュールの装飾技法には、控えめな贅沢さが際立っており、“抑制されたラグジュアリー”を感じさせます。
■1971年春夏 テーラードのジャケットとスカート
15年間の活動休止の後、1954年にクチュール・ハウスを再開したシャネル。精巧に作り込まれた当時の“ニュールック”への反論として、芯地、ショルダーパッド、ダーツ、襟のない、その代わりにポケットが付いたストレートなラインの柔らかなテーラーメイドのスーツを発表しました。
写真の作品は、特別に織られたループ・ツイードをブレードで縁取ったもの。実用的なポケットから、ゴールドチェーンにいたるまで、フォルムとバランスが美しく調和した本作品は、女性が自由に動くことを叶えたものでもあります。
■1965年春夏 テーラードのジャケット、スカート、ブラウスとベルト
「シャネル」のアイコンとして、タイムレスに愛されつづけているツイードスーツ。動きやすさとシルエットの美しさを兼ね備えたツイードスーツは、世界中の女性が憧れる名品のひとつです。
会場には、ご紹介したスーツを含め、10着のスーツを展示。“現代の女性らしさ”というシャネルのマニフェストの本質に基づく、明確な特徴をベースとしながらも、それぞれのデザインにわずかに異なる点が見られるのも見どころです。
■1921年 「シャネル N°5」の香水瓶
シャネルが初めて世に送り出した香水「シャネル N°5」は、単なるフレグランスを超えた、まさに香りの歴史そのもの。 調香、ネーミングはもちろんのこと、その究極にシンプルでエレガントなデザインにおいても革新的な香水でした。
黒のラインで縁取り、サンセリフ体で品名を記した透明な四角いガラスボトルの「シャネル N°5」は、白いポール紙製の箱に収められており、瞬く間にメゾンの顔となり、世界で最も売れる香水となりました。
■1955-1971年 「2.55」バッグ
長さを調整できるストラップの付いたキルティングのフラップバッグ「2.55」を発表したのは、戦時下からの長いブランクを経て、ガブリエルが71歳でモード界に復帰した翌年の1955年。
回転式の留め具や、メタルチェーンストラップ、小さな内ポケットを備えるなど、実用性も重視された「2.55」は、自由な生き方まで感じさせてくれるからこそ、多くの女性たちに支持されてきました。
■1960-1962年頃 バイカラー・シューズの原型
1957年に発表されたバイカラー・シューズも、美しさと機能性を兼ね備えた逸品。非対称なストラップや、計算された理想的なヒールの高さが、履き心地の良さと動きやすさを叶えました。つま先はブラックレザーを用いることで摩耗しにくく、足を小さく見せる効果が。さらにベージュのレザーが脚を長く見せてくれます。
■1960年代 シャネルのクリエイション、ロべール・ゴッサンス製作によるブレスレット
本物のジュエリーにコスチュームジュエリー、パールやメタルを組み合わせて、自身がデザインしたシンプルな衣装に華やかさを添える、そんなジュエリーとコスチュームジュエリーのコントラストを楽しんでいたガブリエル。
メゾン・クリポワやロベール・ゴッサンスといった著名な宝飾工房や金細工師と協力することで、幅広いデザインのジュエリーを創出しました。このブレスレットは、ロべール・ゴッサンス製作によるもの。ベルメイユにガラスペースト技術が用いられています。
以上、ガブリエル・シャネルの回顧展より、展示作品の一部をご紹介しました。当時の作品ながら、いまでも抜群の鮮度を感じさせる洗練されたデザインに感嘆します。ガブリエルの研ぎ澄まされた美意識に触れることで、ますますシャネルファンになってしまう本展。ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
<展覧会詳細>
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ガブリエル・シャネル展 Manifeste de mode
日程:2022年6月18日(土)〜9月25日(日)
休館日:月曜休館/但し、祝日の場合、6/27(※)7/25(※)・8/15・8/29(※)は開館。(※)はトークフリーデー
開館時間:10〜18時/祝日を除く金曜と会期最終週平日、第2水曜日は21時まで。※入館は閉館の30分前まで
入館料:一般¥2,300、高校・大学生¥1,200、小・中学生無料
場所:三菱一号館美術館
TEL:050-5541-8860(ハローダイヤル)
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2
※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。
問い合わせ先
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- (C)Julien T. Hamon
- WRITING :
- 池尾園子