温泉旅行といえば、湯治だけでなくグルメもお楽しみのひとつ。ゆっくり極上の湯に浸かったあと、ご当地の食材をふんだんに使ったメニューに舌鼓! これぞ旅の醍醐味ですよね。

そこで、全国2,500以上のスポットを巡った経験のある、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんから、料理自慢の温泉宿をピックアップしてもらいました。本記事でお届けするのは、長野県松本市入山辺にある「扉温泉 明神館」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の2500スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

「椎茸ってこんなにおいしかった!?」一皿ごとに感動するナチュレフレンチ

地元野菜の恵みをいただく「ナチュレフレンチ菜」
地元野菜の恵みをいただく「ナチュレフレンチ菜」

長野県松本市街から車で30分。「扉温泉 明神館」は、標高1,050mの渓谷に佇むラグジュアリーな一軒宿。こちらの湯宿は有機栽培の自家農園を有し、信州の豊かな自然に育まれた地元野菜を使った料理が絶品です。

素材本来のおいしさを堪能できる品々
素材本来のおいしさを堪能できる品々

「明神館での食事は『ナチュレフレンチ菜』と『信州ダイニングTOBIRA』という2つの選択肢がありますが、私が推すのは『ナチュレフレンチ菜』。マクロビオティックを取り入れたナチュレフレンチは、こってりとしたトラディショナルなフレンチではなく、あくまで素材が主役の繊細な味わいです。

ソースも重くなく、シェフの技術力で素材の持ち味が引き出されており、一皿一皿いい意味で裏切られます。とりわけ印象に残っているのは、椎茸のテリーヌ。海苔との相性がよく、椎茸がまるでポルチーニのように香り高く感じられました。一皿ごとのポーションは控えめだけれど、品数が多く味に深みがあるせいか、お腹も心も満たされますし、これぞガストロノミーという美食体験が叶う大人のレストランです」(植竹さん)

植竹さんが感動した「椎茸のテリーヌ」
植竹さんが感動した「椎茸のテリーヌ」

大自然と一体化できる立ち湯で極楽気分を堪能

その昔、神様が湯治に訪れる場だったことが宿名の由来だという明神館。神々を癒した湯に実際に入ってみた植竹さんが感想をレポート!

まるで額物の絵のような「雪月花」からの景観
まるで額物の絵のような「雪月花」からの景観

「明神館には3種類の温泉がありますが、私が最も気分が上がったのは立ち湯『雪月花』。傾斜状で入口側の手前は浅く、奥に進むにつれて深くなっており、立った姿勢で腰上までつかることができます。

湯に景色が反射するほど間近に山林があり、温泉につかりながら森林浴気分を味わえるのが新鮮です。私は出会えなかったのですが、狸などの野生動物が横切ることもあるのだそう。春から夏にかけては鮮やかな緑、秋には黄葉・紅葉、そして冬には雪景色と、息を呑むような季節ごとの情緒を感じながらの湯浴みは心身をたっぷり癒してくれます。

湯温は38~40度のぬる湯。ぬる湯は副交感神経を優位にし、リラックス効果があるともいわれており、ずっとつかっていたくなるような心地よさです。実際に私もまずは奥に進んで立ち湯、しばらくしたら手前の浅いエリアに戻り座って休憩…と行ったり来たり、時間を忘れて長湯してしまいました。そして湯上がりは、強アルカリ性の湯のおかげでお肌がスベスベに。美人の湯としても大満足です」(植竹さん)

立ち湯「雪月花」のほか、露天風呂付き大浴場「白龍」は、野鳥の声や渓流のせせらぎなど自然の奏でる音に耳を傾けながら寛げる温泉。また、寝湯「空山」は、枕木に頭をのせて寝ころび、その名のとおり空と山を眺めながら入浴できます。都会の喧騒を離れて、自然の恵みから活力をチャージしたい人にうってつけの湯宿だといえるでしょう。

大浴場「白龍」
大浴場「白龍」
寝湯「空山」
寝湯「空山」

以上、「扉温泉 明神館」をご紹介しました。素材のおいしさを再認識できるナチュレフレンチと美肌効果も感じられる極上の湯で体の内外からきれいを目指したい人は、次の旅先候補のひとつにぜひ加えてみてはいかがでしょうか?

※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生