寒い季節に熱い湯というイメージの強い温泉ですが、夏には夏ならではの楽しみ方があります。とりわけ40度未満のぬる湯は、副交感神経を優位にする作用があるといわれており、猛暑の疲れを癒すのにぴったり。この夏のバケーションは、極上の湯で心身をリフレッシュしてみませんか?
そこで、全国2,500以上のスポットを巡った経験のある、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんから、夏こそ行きたい温泉宿をピックアップしてもらいました。本記事でお届けするのは、鹿児島県霧島市にある「おりはし旅館」です。
公式サイト
33度ほどのぬる湯が心地いい!「キズ湯」で夏の疲れを癒す
鹿児島空港から車で20分ほど。妙見(みょうけん)温泉郷に佇む「おりはし旅館」は、明治12年創業の老舗旅館。1万坪の広大な敷地内に本館、別館、離れの客室を有するこちらのお宿の名物は、別館の自噴泉「キズ湯」であると植竹さん。
「キズ湯は季節によって湯温が変動しますが、だいたい33度ほどのぬる湯。まさしく夏こそ入りたい温泉です。傷口の回復促進効果が期待できることがその名前の由来で、かつては西南戦争の負傷兵を癒したとも伝えられています。大きな湯の花が舞う、体温よりやや低めの湯は、浸かっているとろけそうになるというか、湯と一体化するかのような極楽気分に。さすが自噴泉だけあって湯の鮮度は抜群で、泡付きも見られます」(植竹さん)
「泉質は、ナトリウム・マグネシウム・カルシウム-炭酸水素塩温泉。炭酸水素塩泉は三大美人の湯のひとつで、美肌効果が期待できます。重曹成分を多く含み、古い角質や皮脂などの汚れを乳化して、優しく皮膚を洗浄してくれるので、なめらかなツルすべ肌に! しかも、ミネラルも豊富なためか、湯上り後、肌のトーンが明るくなったように感じました。まるでマルチコスメのような、お肌にとってうれしいことづくめな贅沢な湯です。
キズ湯のすぐ目の前には、43度ほどの竹の湯もあるので、夏バテを解消したい人はぜひ温冷交互浴を。あつ湯とぬる湯に交互に入ると血流が促進され、疲れの原因となる乳酸や体にたまった老廃物が効率よく除去され、疲労回復効果が得られといわれています」(植竹さん)
おりはし旅館では、キズ湯のほか、大露天風呂の「えのきの湯」も好評。42度ほどの心地よい湯温で、季節の移ろいを感じながら温泉を満喫できます。また、全13室の離れの客室は、いずれも源泉かけ流しの露天風呂・内風呂付き。誰にも邪魔されないプライベートな空間での湯浴みは、キズ湯や大露天風呂とは違った趣があり、入り比べを楽しむのも一興です。
大正2年建築の風情ある本館で鹿児島グルメを堪能
おりはし旅館の本館は、大正2年に建てられた歴史ある建物。その面影を残しつつ、2016年には全面改装が行われ、1階が個室のお食事処にリニューアルされました。地元鹿児島の食材をふんだんに用いた懐石料理のなかでも人気なのは、黒豚・黒牛をダブルで堪能できるしゃぶしゃぶ。また、夏には清流・天降川で育った鮎など、その土地・その季節ならではの恵みを存分に味わいます。土鍋で炊き上げたご飯も絶品!
朝食は、温泉旅館ならではの和の御膳。さつま揚げなど鹿児島らしさも取り入れつつ、基本に忠実なメニューで、ほっこりとお腹も心も満たされます。
以上、「おりはし旅館」をご紹介しました。33度ほどの極上ぬる湯で猛暑の疲れを癒したい人は、夏旅の候補地のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?
※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。
問い合わせ先
- おりはし旅館
- 住所/鹿児島県霧島市牧園町下中津川2233
- 客室数/全13室
- 料金/1名 ¥24,200~(税込)
- TEL:0995-77-2104
- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生