世界で活躍する女性のユニフォームは黒!|グローバルキャリアの「MY BLACK」サンナ・マリン(フィンランド首相)
各国のリーダーと対峙しても、決してひるまず、堂々と。ブラックスーツは首相であることの自信と誇りの象徴
新時代を切り拓く世界のリーダーと聞いて、この女性をイメージしない人は少ないのではないでしょうか。
サンナ・マリン。生みの母親とその同性パートナー、いわゆるレインボーファミリーとして育ち、自身は長年のパートナーとの間に授かった娘を出産、のちに結婚。お互いに育休を取得しながら、仕事とプライベートをボーダーレスに行き来する…ミレニアル世代の代表ともいえる存在です。
そんな彼女が愛してやまないのが、「黒」。それもユニフォームのように黒のスーツをまとう姿が印象的です。
これまで政治の世界でトップを極めた女性は、ダークスーツの男性陣に埋没することのないよう、どこか“華”を意識していたように思います。でも彼女は、迷うことなく、誇りをもって自ら「黒」を選んでいる。そこに政治的手腕への自信、自然に身につけたジェンダーレスの価値観、そして真の意味での男女平等に対する理解…それらを感じとることができるのです。
2020年、フィンランドのファッション誌『TRENDI』に掲載され話題を呼んだ、胸の谷間をハイジュエリーが飾る写真、そのとき素肌に羽織っていたのも黒のジャケットでした。
ロシアとの緊張関係が続くなか、NATOへの参加申請について強い意志で語ったときも、来日時に岸田首相と会談を行ったときも、やはり同様。シリアスな外交の場からモードなポートレート撮影まで、幅広い勝負シーンで彼女を支えてきた色といえます。
新時代のリーダーが、強さを誇示するためでなく、プレーンでフラット、平等を重んじる自分を表す色として「黒」を選ぶ。そんな新しい“黒の時代”が幕を開けていることに、驚きと喜びを隠すことができないのです。
- PHOTO :
- 新垣隆太(パイルドライバー)、Getty Images
- WRITING :
- 本庄真穂