豊富なキャリアをもつ人気スタイリストの犬走比佐乃さんに、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。第38回のテーマは旅の相棒アイテム。プライベートのほか、仕事でも地方や海外でのロケを数多くこなしてきた犬走さんが「何かと頼りになる!」とピックアップした5大アイテムをご紹介します。
旅慣れたスタイリストが選ぶアイテム、5つの「使える」理由とは?
公私にわたって国内外さまざまな土地を旅してきた犬走さん。今回は、ウェアから靴&バッグ、さらにはお役立ちグッズまで、豊かな経験によって導き出された5つの「使える」アイテムについて教えていただきました。新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いた後を思い描きながら、旅のワードローブを改めてチェックしてみてはいかがでしょう。
■1:ワンピース|オールシーズン活躍する素材&あえて鮮やかな色をセレクト
犬走さんが旅のワードローブについて重視しているのは、やはり機能性。軽いこと、シワになりにくいこと、動きやすいこと。寒暖差に対応しやすいこと。組み合わせやすくて着回し力が高いこと。そのうえで、自分らしい服であることと、着慣れているという点も重要だとか。
「わざわざ旅のために購入するよりも、普段のワードローブから旅に向いているものを選ぶほうが無駄がないですよね。自分らしいアイテムという意味で、私はシャツとジャケットを持っていくことが多いですね。格式の高いホテルやレストランでも気後れせずにすみますし、シワはホテルのアイロンを借りれば解決します」(犬走さん)
そんな犬走さんにとって、機能性と自分らしさをあわせもった「頼れる」1着が青のシルクワンピース。長袖ですが、薄手の生地なのでオールシーズン対応。ベルトにもなるスカーフ付きで、寒いときは首に巻いたり、シルエットにメリハリをつけたいときはウエストに巻いたりと、寒暖差に合わせつつスタイリングにも変化をつけることができます。
「無難な黒ではなく、あえて鮮やかな青を選んだのがポイント。ゆったりしたシルエットで開放感があるのでバカンスにもぴったりですし、ドレープがエレガントな印象なのできちんとしたレストランでも浮きません。結婚式にも着て行ったことがあります。ビビッドカラーなのでシワが目立ちにくいですし、薄手なのでスチーマーをかければシワもすぐに直ります」(犬走さん)
■2:バッグ|ドレスアップやフォーマルにも対応する、華やかで収納力のあるタイプが重宝
犬走さんが「旅の相棒」に選ぶのは、収納力があって、汚れや傷が目立ちにくくて、さまざまなシーンに対応してくれるバッグ。10年以上愛用しているビーズの「バゲット」は、そんな条件をすべてクリアした優れもの。
「このバッグは私の旅に欠かせない名品。まず、持ち運びしやすく型くずれしないのに、かちっとしたレザーバッグのようにかさばりません。なおかつ、マチと横幅があって収納力もしっかりあります。華やかなビーズは、ドレスアップやフォーマルにも対応できますし、汚れや傷が目立ちにくいメリットも。何色と言い切れない無地のニュアンスカラーで合わせる服を選ばない点も優秀です。再販をお願いしたいほど気に入っています(笑)」(犬走さん)
華やかなタイプはカジュアルダウンできても、例えば布製のエコバッグなどカジュアルなバッグをきちんとしたシーンに合わせるのは至難の業。ひとつに絞るのであれば、華やかなバッグを旅のお供にしたほうが活動する範囲やシーンが広がりそうですね。
■3:シューズ|安定感のある中ヒールで合わせやすいパンプスが大活躍!
以前は1週間の旅に4足ほどシューズを持っていくこともザラで、今よりもずっと荷物が多かったという犬走さん。現在は持ち物をできるだけ減らすようにしているそうで、厳選されたシューズだけが「旅の相棒」となっている模様。
なかでも「シーンも合わせる着こなしも選ばない、オールマイティーな1足!」と絶賛するのが、PVCとレザーを組み合わせた中ヒールのパンプス。3年前に旅先のハワイで購入したものだとか。
「きちんと感や上品さがありながら、透明なPVCの切り替えによって軽やかさやモード感も備えた使い勝手のいいパンプス。ドレスアップからカジュアルな着こなしにまでマッチしますし、パンツ、スカート、ワンピース、いずれも好相性。太めの中ヒールで安定感があるのも魅力ですね。持ち運びの際にPVCがへこんでしまった場合は、ドライヤーで温めると形を整えやすくなります」(犬走さん)
■4:パッキングポーチ|スーツケースの中をすっきり整理できる優秀アイテム
スーツケースのなかの整理に欠かせないパッキングポーチ。犬走さんが愛用しているのは、大中小の3サイズがセットになったコットン製のポーチで、片側がメッシュ素材になったタイプ。
「3サイズのセットなので持ち物を分けやすくて便利ですし、別々に買いそろえる必要がなくて楽ですね。主に大にはボトム、中にはトップス、小にはインナーや下着を収納しています。片側がメッシュ素材で通気性がよく、何が入っているかすぐにわかるのも魅力。自宅で洗濯できて、ナイロンよりも高級感があるコットン製なのも気に入っています」(犬走さん)
清潔感のあるホワイトをベースにしたシンプルなデザインと、ウイットがきいた英語のフレーズもポイント。無料で8文字まで刺繍できるので、自分の名前やイニシャルを入れてカスタマイズするのもおすすめです。
■5:香り付きシート|ホテルのクローゼットや旅のワードローブをリフレッシュ
最後にご紹介するのは、犬走さんならではのお役立ちグッズ。旅にどうしても必要なものではありませんが、あると豊かな気持ちになれるアイテムです。
「自宅では下着の収納スペースに使っているのですが、旅にも持っていくのが香り付きのドロワーシート。ホテルにチェックインしたら、まずはクローゼットや引き出しにドロワーシートを敷いて、スーツケースから服を移します。服がシワになるのを防いで、取り出しやすくするためにも欠かせないルーティンです。ホテルの部屋に少し苦手なにおいがするときも、クローゼットや服をお気に入りの香りにすることでリフレッシュできます」(犬走さん)
持ち運ぶ際は、スーツケースの片面に敷いておくのがおすすめだそう。収納スペースが節約できるうえ、スーツケースの中全体にお気に入りの香りが漂うという、一石二鳥のアイディアです。
人気スタイリストの犬走比佐乃さんから、大人の女性に必要なファッションについて指南いただく連載。第38回は、旅の相棒アイテムを教えていただきました。
公私ともに国内外を多く旅してきた犬走さんが選び抜いたアイテムたち。気兼ねなく旅を楽しめる日が早く訪れることを願いながら、犬走さんのレコメンドを参考に旅のワードローブを見直してみてはいかがでしょう。
- PHOTO :
- 黒石あみ(小学館)
- WRITING :
- 門前直子
- EDIT :
- 谷 花生