7月21日、ドイツ・フランクフルトで開催された政策会議後の記者会見で、2014年から約8年続いたマイナス金利政策を段階的に終了、11年ぶりの金利引き上げを発表した欧州中央銀行総裁、クリスティーヌ・ラガルド。弁護士や政治家として積んだ経験と手腕が試される大胆な政策を、自ら「歴史的瞬間」とコメントし話題を呼びました。フランス財務大臣、国際通貨基金(IMF)専務理事、そして2019年には現職の欧州中央銀行総裁と、女性初のポジションに次々と就任。2006年には米経済誌で世界最強の女性30に選出されるなど、そのパワフルなキャリアに注目が集まりますが、実はファッションコンシャスな一面も。
今回は、メゾンのランウェイをフロントロウで鑑賞するなど、おしゃれに敏感な彼女が最近愛用している「ツイードジャケット」にフォーカス。秋冬トレンド最先端のツイードをトップキャリアはどのように取り入れているのか、最新スタイルを紐解いていきましょう。
■1:インナーにも気配りを!グレーヘアを引き立てるブルーで颯爽と
2022年6月29日にポルトガルのシントラで開催された、欧州中央銀行フォーラム最終日の装いです。エメラルド、ネイビーなどブルートーンのツイードが、美しいグレーヘアを際立て、清々しく明るい日差しに映えています。
小さい襟と腰までの丈で軽快なデザインのジャケット。アイコニックなボタン並び、品格が光ります。登壇した際は、ボタンをすべて留めてきちんと感のある着こなしに。ほんの少し、襟元から覗くホワイトに清潔感が宿ります。ボトムはダークトーンのスリムなシルエットのセンタプリーツパンツとポインテッドトウでミニマルにまとめています。
ひと仕事終えてジャケットを脱ぎインナー一枚に。プレーンなTシャツではなく、中央にプリーツのあしらわれた上品なトップスをインに着用しているあたり、ファッションに対する高い意識を感じます。シンプルなネックラインでジャケットの襟とぶつからず、しかもジャケットを脱いでも華やかなムードをさりげなくキープしています。
■2:シャツとパールでクラスアップ!格別な洒落感漂う端正モノトーン
2022年6月8日、オランダ・アムステルダム国立美術館で開催された欧州中央銀行評議会の夕食会に、オランダのウィレム=アレクサンダー国王とマキシマ王妃と共に出席。ブラックとホワイトのシックなカラーリングながら、ジャケットを縁取るトリミングや裾のフリンジ、複雑な織目に浮かぶチェックなど、老舗メゾンならでは凝ったディテールに目を奪われる一着です。
ジャケットのインにはシャツを合わせて、フォーマルなシーンにふさわしい、凛とした佇まいに。ボトムはワイドパンツでフェミニンさを添えて。首元にはパールのチョーカーとダイヤのネックレスをレイヤードし、顔周りを優美に輝かせて。着席してしまうディナーの席では上半身が装いの鍵。ツイード&シャツのホワイトはレフ板効果で肌を美しく見せ、着映え力抜群のスタイリングです。
■3:華やかなシーンに!ゴージャスレッド&立体的な風合いがプレイフル
フランス・パリのオペラ ガルニエで開催された2021 DVF アワードでのスナップです。オペラ ガルニエの真紅の内装を思わせるような、ノーブルなレッドと長い毛足の糸で華やぎ感溢れる一着で登場しました。フロントの合わせのラインや、袖&裾のフリンジにも遊び心が光ります。パンツを合わせてももちろん素敵ですが、この日はタイトスカートにシアーなストッキングでフェミニンに。耳元には大粒のパールでまろやかな艶めきを添えて、存在感あるジャケットを品よくまとめています。
10代のころはアーティスティックスイミングの選手として、フランスのナショナルチームに所属していたこともある欧州中央銀行総裁、クリスティーヌ・ラガルド。均整のとれた溌剌とした長身を活かし、スタイリッシュに着こなす洗練されたファッションは、有名モード誌で特集が組まれるほどです。エレガンスとパワフルさが彼女らしいツイードジャケットの着こなしも、ぜひ参考にしてみてくださいね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- Getty Images
- WRITING :
- 神田 朝子