70年もの間、英国に尽くし続けた英国国王・エリザベス女王(エリザベス2世)の崩御は、イギリスだけでなく世界中に衝撃と深い悲しみをもたらしました。あらためて女王の人生や功績が振り返られるとともに、ファッショニスタでもあったその装いにも注目が集まっています。
エリザベス女王、最後のポートレート
英国王室は国葬に先立ち、エリザベス女王の新しい最後のポートレートを公開。パウダーブルーのスーツを着用し笑顔を浮かべた女王の姿は、柔らかでもあり、チャーミングでもあります。胸元に輝くのは、「ブシュロン(BOUCHERON)」のブローチ。
終戦記念日に、コロナ禍に苦しむ国民にメッセージを届けたエリザベス女王
女王の演説動画が放送された2020年5月は、新型コロナウイルスの感染拡大により、全国で厳しい外出規制が敷かれていた頃。終戦75年という節目を迎え、本来であれば式典やパレードなどが行われ大々的に祝われるはずでした。
そんななか、エリザベス女王は国民に向けた演説をテレビで公開。放送時間は、女王の父であるジョージ6世が75年前に行ったラジオ演説とちょうど同じ時間だったそう。
演説を通してコロナ禍に苦しむ国民への理解と思いやりを示し、「決して諦めないで。決して絶望しないで」と伝えたエリザベス女王。その胸元には、アクアマリンとダイヤモンドが煌めく「ブシュロン」のブローチが輝いていました。
「諦めないで」アクアマリンとダイヤモンドのブローチに託した願いと祈り
女王が身に着けていたブローチは、1937年に女王の叔父であるケント公爵によってロンドンで購入され、両親であるジョージ6世と王妃より、エリザベス女王の18歳の誕生日(1944年)に贈られたもの。オーバル、バゲット、ラウンドカットのダイヤモンドとアクアマリンがセットされた2つのピースから成る、アールデコスタイルの作品です。
アクアマリンは勇気をもって夢を持ち続けることを、ダイヤモンドは自分が望む未来の実現を象徴する石。女王は「諦めずにいれば、必ず乗り越えられる」という国民へのメッセージを、身に着けたブローチにも託していたのかもしれません。
イギリスと国民のために歩み続け、「イギリスの母」として愛されたエリザベス女王。国民を思いやる気持ちは、行動、言葉、装い…そのすべてに息づいていたのだと改めて感じます。
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- Precious.jp編集部
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- Getty Images(エリザベス女王)