冬の味覚の王様といえば「蟹」。プリプリの蟹の身や濃厚な蟹味噌に舌鼓を打ち、そのあとは温泉でゆるりと心身を癒す…。そんな極上の旅時間を過ごすには、何と言っても宿選びが肝となります。

そこで、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんから、蟹尽くし料理が絶品の湯宿をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、島根県安来市にある「さぎの湯温泉 さぎの湯荘」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の2500スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

料理人のさりげないセンスが光る蟹会席コースに大満足

至福の蟹づくしコース
至福の蟹尽くしコース

島根県の東端、安来市にある「さぎの湯温泉」。日本庭園で名高い足立美術館のあるところ…というと、温泉地に詳しくなくてもピンとくる人が多いかもしれません。今回ご紹介する「さぎの湯荘」は、その足立美術館から徒歩1分。さぎの湯温泉にて最も長い歴史を誇る老舗で、味にも湯にも格別のこだわりがある名宿です。

どの料理も蟹、蟹、蟹…
どの料理も蟹、蟹、蟹…

「さぎの湯荘は蟹のプランが複数あり、比較的リーズナブルに堪能したい人から、活松葉蟹をリッチに味わいたい人まで満足できるグルメな宿。当主が代々料理人を務めるならわしとなっており、現当主も大阪の割烹での修業経験があるそうです。そうした背景があってか、こちらの蟹尽くしコースでは、どの料理も職人のインスピレーションやセンスが光ります」(植竹さん)

キャプション左
植竹さんイチ推しの蟹寿司
キャプション右
弾力のある蟹の身がたまらない

「蟹刺し、蟹寿司、茹で蟹、焼き蟹、甲羅焼き、蟹すき、蟹の天ぷら、蟹雑炊…とさまざまな調理法で冬の味覚を存分に満喫できるコースにおいて、とりわけ印象に残っているのは蟹寿司です。蟹自体、身がプリっとしておいしいのですが、酢飯のほどよい酸味で蟹の旨みがより一層引き出されているよう。ほかにも、蟹あんかけ、蟹雑炊なども、どのように調理すれば素材の魅力が最大限生かせるかと計算し尽くした感があり、クリエイティブなおもてなし料理にお腹だけでなく心まで満たされました」(植竹さん)

湯量豊富な山陰の名湯で至福の時間を過ごす

自然の中で寛ぐ大浴場の露天風呂
自然の中で寛ぐ大浴場の露天風呂

鷺の湯温泉の源泉は、湧出量が毎分600リットルと湯量豊富。その地の利を生かして、さぎの湯荘ではチェックインから翌朝9時まで好きなだけ温泉の自然の恵みを享受することが可能です。

「泉質は含弱放射能-ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物温泉。硫酸塩泉は、美人の湯のひとつで、実際にさぎの湯荘で温泉に入ってみたところ、浸かっている最中からしっとり保水、保湿されていくような感覚があり、湯上りにはぷるんとしたハリ肌に。そして、放射能泉の恩恵で、肌のトーンもアップしたように感じられました」(植竹さん)

広々とした貸切内湯「白露」
広々とした貸切内湯「白露」
貸切露天風呂「岩露」
貸切露天風呂「岩露」

「複数ある湯処のなかで、私のお気に入りは貸切露天風呂の『岩露』。こぢんまりした浴槽に源泉が豪快にかけ流されて、お湯がとびきり新鮮なんです。源泉からの位置もいいのか、個人的にはここが湯のよさを最も感じられるスポットでした。ちょっと隠れ家的な雰囲気で、湯浴みしながらの庭園の眺めも素晴らしく、極上のリラックスタイムを過ごせること請け合いです」(植竹さん)

離れの客室では庭付きの露天風呂も…
離れの客室では庭付きの露天風呂も…

以上、「さぎの湯温泉 さぎの湯荘」をご紹介しました。日本海に育まれた蟹を贅沢に味わい、山陰の名湯で心身を癒す。そんな至福の休日を過ごしたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?

※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生