どんなによいスーツを着ていても、Vゾーンが決まっていなかったら、その着こなしは台無しだ。もちろんシャツとタイの色合わせも大切なのだが、それはあくまで、上質なものを選んだ上での話。「クラシコイタリア」のスーツには、やはりイタリア製の上質なシャツとネクタイを合わせたい。

手仕事から生まれる最高の着心地!【ルイジ ボレッリのシャツ】

襟や肩、アームホールなど、着心地にまつわる箇所を手縫いで縫製した、ナポリシャツを代表する名品。立体的な構造に加え、この『ルチアーノ』というモデルの襟は、上着のラペルにしっかり収まりネクタイを美しく見せてくれる、世界で最も美しいセミワイドカラーと名高い。¥33,000(バインド ピーアール〈ルイジ ボレッリ〉)

 では、いったいどんなものが上質なのかというと、シャツならば動きやすさが第一。それはゆったりしたサイズを選べということではなく、考え方はスーツと同じだ。動きやすいシャツとはアームホールが高い位置に設定されており、そではやや前向きに付けることで、スーツの中での動きやすさを確保できる。また、襟腰が身頃に対して立つように付いているシャツは、人体の構造に合っている証。ルイジ ボレッリに代表されるイタリアのシャツは、こういった人間の構造をよく研究した立体裁断だから動きやすく、スーツにもよくなじむのだ。

着こなしに美しい立体感を添える 【マリネッラのネクタイ】

1914年に創業し世界各国の首脳にも愛されている、ナポリが誇るネクタイメーカー。正方形のシルク生地を7つ折りにしてつくった「セッテピエゲ」と呼ばれるそのタイは、まるでスカーフを巻いたように優雅なドレープ感とふくらみを胸元に演出してくれる。趣味のよい小紋柄も、実にスーツに似合う。¥30,000(マリネッラナポリ 東京ミッドタウン)

 また、ネクタイのクオリティは、シルクの素材そのものと、カッティングが大切だ。よいシルクなら、ショップで握ってみればすぐにシワが取れ、もとどおりの形に復元する。それは糸の密度が濃いということだ。また、しっかりとバイアス(斜め45度)に裁断されたものならば、結び目が美しくきまって、乱れにくい。

 以上のような思想でつくれられた上質なシャツやタイこそが、「クラシコイタリア」のエレガンスの要である。単なるお洒落のパーツと考え、安価なもので済ませるのは愚の骨頂である。

※価格はすべて税抜です。※2017年春号掲載時の情報です。

この記事の執筆者
TEXT :
山下英介 MEN'S Preciousファッションディレクター
BY :
MEN'S Precious2016年春号 新しき「クラシコイタリア」スーツ伝説より
MEN'S Preciousファッションディレクター。幼少期からの洋服好き、雑誌好きが高じてファッション編集者の道へ。男性ファッション誌編集部員、フリーエディターを経て、現在は『MEN'S Precious』にてファッションディレクターを務める。趣味は買い物と昭和な喫茶店めぐり。
クレジット :
撮影/唐澤光也(パイルドライバー/静物)構成/山下英介