2022年の前半は『ロッキー・ホラー・ショー』、『るろうに剣心 京都編』と2本のミュージカルに続けて出演した、舞台でひっぱりだこの小池さん。7月には俳優デビュー20周年を記念したファンミーティングも開催して、アクティブに駆け抜ける勢いのまま、10月1日からは『キンキーブーツ』ともに体力勝負の日々がスタートしています。気になるルーティンから、一問一答形式でお聞きしました。

小池徹平さん
俳優
(こいけ・てっぺい)1986年大阪府出身。2001年に「JUNONスーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞。2002年に『天体観測』(フジテレビ)にてドラマデビュー。2005年にウエンツ瑛士さんと音楽ユニット「WaT」を結成して、2016年まで活動する。2013年に宮本亜門氏演出の舞台『メリリー・ウィー・ロール・アロング〜それでも僕らは前へ進む〜』でミュージカルに初出演。2016年には舞台『1789—バスティーユの恋人たち--』『キンキーブーツ』(ともに初演)での演技が評価されて第42回菊田一夫演劇賞にて演劇賞を受賞し、ミュージカル俳優としての地位を確立する。2022年には客席が360度回転する劇場で、ミュージカル『るろうに剣心 京都編』の緋村剣心役をアクロバティックに演じて話題となる。連続テレビ小説『あまちゃん』(13/NHK)、『リバース』(17/TBS)、『大恋愛〜僕を忘れる君と』(18/TBS)、『奪い愛、夏』(19/AbemaTV)、『青天を衝け』(21/NHK)、人気俳優×吉本タレント×クリエイターによる映画『半径1メートルの君〜上を向いて歩こう〜』(21/吉本興業)など、話題のドラマや映画に多数出演。プライベートでは2018年に結婚、男児の父としての顔ももつ。俳優生活20周年を迎えた今年、ミュージカル『キンキーブーツ』日本公演の再々上演が決定し、注目を集めている。

コミュニティアプリを通じて、ファンの方たちと会話するのが楽しくて

―ミュージカルは、ドラマや映画とは異なる大変さがあると思います。上演前に欠かさないルーティンがあったら教えてください。

「実は、最近ルーティンにはこだわらなくなりました。ウォーミングアップの一環としてストレッチをしたり、のどをあたためて筋肉をほぐす機械を軽く当てたりするくらいなんですよ。そんな僕も、昔はけっこうルーティンにこだわるところがありました。毎日定刻に楽屋入りして、同じ曲を流して、みたいに決めごとを守っていたのですが、あるときからそれをやめました。舞台ってけっこう日々様々なハプニングが起きたりするんですよ。たとえば稽古場で誰かがケガをしたから急に“来てください”と呼ばれたり、イレギュラーなことは茶飯事です。そんなときにルーティンを決めていると、“いつも通りにできなかった…”と、よけいな不安が出てきます。そうではなくって、ケガをしないためのアップさえできていれば、何が来たって大丈夫。今日はどんなステージになるんだろう?と、むしろわくわくを楽しむようにしています」

舞台キンキ―ブーツに出演している俳優の小池徹平さん
「どんなステージになるんだろう?とわくわくを楽しむようにしている」小池徹平さん

―9年前に、仕事の中にミュージカルというジャンルが加わったことで、何か変化はありましたか?

「これは大いにありました。ミュージカルをやるようになってからは常に、のどのケアを気にしながら生きるようになったんですよ(笑)。のどの筋肉って、けっこう衰えやすかったりするんです。だから歌の仕事が入っていない時期でもボイストレーニングに通いますし、録音したレッスンを聞きながら自分でコンディションを整えることも習慣にしています」

―今は俳優の方も多様なコンテンツで魅力をアピールする時代です。小池さんもTwitterやYouToubeチャンネル、Instagramと複数のSNSで発信をされていますが、今後何か新しい展開を考えていたりしますか?

「実は、僕はそもそもSNSってあんまり得意じゃない人間なんですよ。やりたかったことではあるのですが、毎日となると仕事っぽさが出てきて、しんどくなってしまうんです。私生活だったり考えていることをさらけだすことにも恥ずかしさを感じますし、不特定多数のみなさんに発信することに苦手意識もあったりします。

そんなわけで、今は趣味のゲーム実況を通じてファンの方とコミュニケーションをとるのが楽しかったりするんです。「OPENREC(オープンレック)」という、ゲーム実況が楽しめる動画コミュニティのプラットフォームで、『小池徹平105作業部屋』というコンテンツをもっています。参加してくれる方たちとは、Discord(ディスコード)というコミュニティアプリを通じて会話するんです。始めてみたら、自分はクローズドなコミュニティで仲間うちでしゃべるアットホームな感じが好きなんだとわかりました。これからも無理のない範囲で楽しんでいければと思います」

舞台キンキ―ブーツに出演している俳優の小池徹平さん
「クローズドなコミュニティで仲間うちでしゃべるアットホームな感じが好き」小池徹平さん

―俳優生活20周年、おめでとうございます! 今後目指しているところについて教えてください。

「ありがとうございます! 明確な答えは出せないかもしれないのですが…おかげさまで、これまでさまざまなアーティスト活動や俳優活動をしてきました。その中で、夏に20周年のファンミーティングをやらせてもらったんです。そのとき会場に足を運んで下さったみなさんの顔を見て、ふっと感じたことがありました。コロナ禍の影響から配信コンテンツが増えて、SNSでみなさんとの距離も縮まりました。そのおかげだと思いますが、応援してくれるファンのみなさんに対して“仲間”だという意識を感じたのです。

そんな大切なみなさんに対して、やっぱり生の舞台を届けたいと改めて感じました。かといって、コロナの状況次第で一瞬で公演がなくなってしまうご時世の中、オフラインだけでは厳しいものがあるとも思いました。従来の“舞台は会場で生で観なきゃ!”という固定概念は外して、柔軟に対応していかなければと思っています。今後、選択肢として舞台配信も進化していくでしょうし、番組視聴にしても、今は地上派も衛星放送もバラエティに富んでいます。有料コンテンツや映像作品も膨大にある中で、自分の仕事においては“来るもの拒まず”のスタンスで、今みんなが必要としているもの、これから必要とされると思うものに柔軟に目を向けたいと思っているんです」

舞台キンキ―ブーツに出演している俳優の小池徹平さん
「今みんなが必要としているもの、これから必要とされると思うものに柔軟に目を向けたい」小池徹平さん

―時代の流れに身を任せながら、必要とされるものを届けていきたいと。

「そうなんです。結局、“仲間”のみなさんが喜んでくれるものを届けることができるという状態が、僕にとっての幸せなんです。自分を通して作品を知ってもらったり、新たな魅力を知ってもらうきっかけにもなるような、そんな活動をしていくことが今、とても大切なのかなと思っています」

舞台『キンキ―ブーツ』10月1日より再々上演中!

ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』 英国の田舎町ノーサンプトンにある老舗靴工場の4代目として生まれたチャーリー。フィアンセとロンドンで生活しようとしていた矢先に父が急死し、家業を継ぐことになった彼は、工場が倒産寸前であることを知り……。

脚本/ハーヴェイ・ファイアスタイン 音楽・作詞/シンディ・ローパー 演出・振付/ジェリー・ミッチェル 
日本版演出協力・上演台本/岸谷五朗 訳詞/森雪之丞 
出演/小池徹平、城田優、ソニン、玉置成実、勝矢、ひのあらた ほか 
10月1日~11月3日/東京・東急シアターオーブ 11月10日~20日/大阪・オリックス劇場

『キンキ―ブーツ』公式サイト

PHOTO :
トヨダリョウ
STYLIST :
松下洋介
HAIR MAKE :
加藤ゆい
WRITING :
谷畑まゆみ