大人のおしゃれはかくありたい!「黒ハンドバッグ」に宿る、静謐な美学|シンプルな佇まいが放つ圧倒的な存在感が手にする女性の真価を語る
強い主張があるわけではないのに、絶対的な美しさを漂わせる、黒のハンドバッグ。賑やかなトレンドが話題の今だからこそ、この稀有な存在価値について、振り返ってみたいものです。
この特集から今回は「モラビト」の名品バッグ『トラヴィアータ』をご紹介します。
「モラビト」ブランドの代表モデル『トラヴィアータ』
オペラ歌手マリア・カラスのオーダーで製作された、ブランドの代表モデル『トラヴィアータ』が誕生したのは1961年のこと。
彼女の代表作『椿姫』から、その名が付いた。少し湾曲した特徴的なハンドルは、竪琴がモチーフに。クロコダイルのシンメトリーな斑が、よりいっそう気品を与えて。
いつの時代も女性のおしゃれはバッグと共に歩んできました
女性にとって、バッグは特別な存在です。まだ20代くらいの頃、本格的におしゃれに目覚めて、最初に手に入れたのはブランドのバッグだったという人も多いのではないでしょうか。上質なバッグを手にすることで、やっと大人の仲間入りを果たしたような。そんな気持ちになったことを覚えていませんか。
いつかは“一生もののバッグ”と出合いたいと願ったり、シーズンごとの“イットバッグ”を、誰もが持つ時代もありました。店頭から次々と消えていく人気のバッグを、どう手に入れるか。あらゆるネットワークを駆使して探したり、旅行先で見つけたり、私たちはこれまで、たくさんの新作バッグに心ときめき、おしゃれを謳歌したものです。バッグはおしゃれの登竜門であり、時代性を表現するもの。今はさらに選択肢も増え、常にコーディネートの要として、大きな役割を果たしているのではないでしょうか。
しかしその傍らで、“いかにもな”つまり“イット”ではないのに心が揺り動かされる、圧倒的に美しいバッグというものも存在しています。そのひとつとして、今回お話ししたいのが、シンプルを極めた黒ハンドバッグです。
特にクラシックなトップハンドルの黒ハンドバッグは、トレンドが大きく変化する今においてもなお、愛され続けています。かつてはジャクリーン・オナシス・ケネディがツイードのセットアップに合わせていたり、オードリー・ヘプバーンがリトルブラックドレスにコーディネートしていたりと、往年のセレブリティの装いに欠かせない象徴的なアイテムのひとつでした。上記の「モラビト」の『トラヴィアータ』も、オペラ歌手であったマリア・カラスのオーダーで製作されたもの。決して主張が強くはないものの、静かな美しさで、世界が注目する女性の着こなしを、陰で支えてきたのです。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
問い合わせ先
- PHOTO :
- 小池紀行(CASK)
- STYLIST :
- 望月律子(KIND)
- EDIT&WRITING :
- 湯口かおり、古里典子(Precious)