極上の湯に浸かり体はポカポカ温まりながら、目の前に広がる白銀の世界に見惚れる。このコントラストこそ冬の温泉旅の醍醐味ではないでしょうか。1年のうちの限られた時期、雪深い土地でしか叶えられない非日常体験は、日頃の心身の疲れをきっと癒してくれるはずです。
そこで、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、日本全国に数ある温泉旅館のなかから、冬ならではの絶景に感動する湯宿をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、青森県十和田市にある「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」です。
公式サイト
ツアー参加者のみが享受できる雪国の幻想的な光景
「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」は、日本屈指の景勝地である奥入瀬渓流の畔に立つ唯一のリゾートホテル。渓流に注ぎ込む14の滝や苔むす岩が織りなす自然美は、四季折々に見る人を魅了しますが、なかでも冬景色は圧巻。あたり一面銀世界となり、氷瀑の絶景を堪能することができます。
「奥入瀬渓流ホテルでは季節ごとのアクティビティが充実しており、冬の氷瀑ライトアップツアーは特に人気。氷瀑とは、滝などが厳しい寒さで氷結したものをいい、夜間にマイクロバスで氷瀑を見に行くツアーが毎年12月頃から開催されます。
国立公園特別保護地区である奥入瀬渓流では、自然保護の観点から照明を常設することができません。このツアー中だけ、LED照明を積んだ車がマイクロバスに帯同し、行く先々で数分間だけ光を照らしてくれるのです。つまり、氷瀑ライトアップの鑑賞は、ツアー参加者のみ叶えられる激レア体験。
暗闇のなか、氷瀑や雪の積もった岩などがブルーのライトで浮かび上がる光景は実に幻想的で荘厳です。写真で見るだけでも美しいのですが、実際に現地で見ると臨場感が違います。期間限定のアミューズメントは一見の価値ありです」(植竹さん)
露天風呂でも氷瀑をじっくり鑑賞
氷瀑ライトアップツアーに参加したあとのお楽しみは、やはり温泉。
「冬限定の露天風呂『氷瀑の湯』では、目の前にそびえる氷瀑が迫力満点。ここまで間近に氷瀑を眺めながら湯浴みできるスポットは私の知る限りなかなかありません。露天風呂に入る直前まではさすがにひやっと外気の寒さはありますが、いざ湯に浸かってしまえばポカポカに。極寒の環境下、強ばった筋肉や身体が湯の温かさでじんわりほどけていくような感覚があり、ほっこりした気持ちにさせられます。
ここは日中の水墨画のような眺めも絵になるのですが、個人的には夜のほうがより感動的。青いライトアップによってつららの輪郭がくっきりと浮かびあがる神秘的な光景が忘れられません」(植竹さん)
個性的なアートやご当地グルメも満喫
「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」では、ほかにも宿泊者の五感を刺激する仕掛けが満載。まず、東館のロビーには、岡本太郎氏によるブロンズ製の巨大な暖炉「森の神話」が。灯がともり、見た目的にも体感的にも暖かい空間を演出してくれます。西館ラウンジの大暖炉「河神(かしん)」は、岡本太郎氏の遺作とのこと。渓流をイメージしたというオブジェは躍動感にあふれ、思わず足を止めて見入ってしまうほど。
複数ある食事処のうち、特にご当地の魅力を感じさせるのは「青森りんごキッチン」。りんごをモチーフにしたインテリアが特徴のビュッフェレストランです。ライブキッチンで提供されるローストビーフや焼きたてのアップルパイ、青森の郷土料理のせんべい汁、まぐろやいくらなど新鮮な魚介を使ったメニュー、三種の飲み比べができるりんごジュースなどで心もお腹も満たされます。
※時期により、提供内容、食材の産地が異なる場合があります。
以上、「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」をご紹介しました。氷瀑ライトアップツアーや「氷瀑の湯」など、冬しかできない体験で心身をリフレッシュしたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか?
※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。
問い合わせ先
- 星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル
- 住所/青森県十和田市大字奥瀬字栃久保231
- 客室数/全187室
- 料金/1名 ¥22,000~(税込)
- TEL:0570-073-022
- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生