僕自身が何をどうするかではなく、いただいた役に対して、どう取り組むかが大切
―インタビュー2回目では、カルチャー少年だったと伺いました。また、間宮さんのインタビューで映画『ツィゴイネルワイゼン』(1980年)が好きだと語っていました。カルチャーに興味を持ったきっかけを教えてください。
それは、環境が大きかったと思います。というのも、小学校高学年の時に、学習塾に通っていたのですが、そのビルの1階にレンタルショップがあったんです。そのときに、邦画・洋画を問わず、気になった作品を片っ端からレンタルして観ていました。そこで、普通に日常生活を送っているだけでは、触れる機会がないものの中に、これだけ面白いものがあるという感覚を得たんです。
音楽も好きだったので、チバユウスケさんやMr.Childrenさんなど、聴いていました。自分がいいと思った曲を聞くので、そのときのヒットチャートの曲などは、全く知らないんです。音楽といえば、宮藤官九郎さんが監督をしたミュージカル映画『少年メリケンサック』も劇場で観ました。あの映像も音楽も、世界観もとても好きでした。
―間宮さんは役の幅が広いことでも知られています。その背景には様々な世界に触れていることもあると感じました。今、役作りのためにしていることはありますか?
それが特にないんです。僕自身が何をどうするかではなく、いただいた役に対して、どう取り組むかが大切です。
役者として仕事を深めるためにやっていることは特になく、いつも自然体で取り組んでいます。現場ごとに、台本、演出、出演者は異なり、その場の空気感やスタッフが作る雰囲気、呼吸も異なりますので、そこに委ねている部分は大きいです。
―今回の舞台でも、吉田羊さん、江口のりこさんなど年上の女性と共演されます。ところで、プライベートの間宮さんが、年上の女性に魅力を感じるときは、どんな瞬間でしょうか。
なんでしょうね…やはり、花や草の名前がパッと出てくるなどでしょうか。
都会に生活をしていて、草花や虫など自然に触れることが少なくなり、自然につながる知識がサッと出てくるところに魅力を感じますし、そういうものを愛でている姿に「いいな」と思います。
―間宮さんのInstagramを拝見していると、釣りや、湖畔に佇む姿など自然の中にいる姿を拝見します。最近、印象に残っている旅先も知りたいです。
時間ができたら、自然がある方へと体が向いています。休みの日まで都会にいたくないんですよ。仕事は仕事としてやり切って、仕事以外の時間は、好きなことに集中しています。人生の時間は限られているのに、好きでもないもののために時間を使いたくないんです。
最近印象に残っている旅先は、自然と一体化するような森の中のサウナです。ここを運営している方は僕と同じ年。同年代の人の活躍は、気になります。
―最近、ほかに気になっていること、興味があることはありますか?
やはり音楽で、ジャンルはジャズです。僕の祖父が若い頃にジャズバンドでトランペットを吹いていたので、幼いころからジャズに親しんでいたんです。ただ、先日、自然の中でジャズを聴いて鳥肌が立つ経験をしました。衝撃を受けたこともあり、改めて聞き直しています。先日、『ブルーノート・ストーリー』というドキュメンタリー映画を観て、さらにジャズの奥深さを知りました。あまりにも広く、深いので全容をつかめないかもしれないし、時間がかかると思いますが、ゆっくり知っていきたいと思っています。
―伝説的クラリネット奏者のベニー・グッドマンも、天才的サックス奏者のチャーリー・パーカーも、『ツダマンの世界』の登場人物と同じ時代を生きています。あの時代の人々の魅力は何でしょうか。
資料や伝記などから想像するしかありませんが、人にパワーがあったような気がします。人の活力だったり、胆力が強いような印象を受けます。『ツダマンの世界』はそんな時代の中で、狂気を抱えて交差する人々の物語です。ぜひお楽しみください。
■COCOON PRODUCTION 2022『ツダマンの世界』@Bunkamura シアターコクーン
■日程:2022年11月23日(水・祝)~12月18日(日)※他、京都公演あり
■作・演出:松尾スズキ
出演:阿部サダヲ、間宮祥太朗、江口のりこ、村杉蝉之介、笠松はる、見上愛、町田水城、井上尚、青山祥子、中井千聖、八木光太郎、橋本隆佑、河井克夫、皆川猿時、吉田羊
■作・演出を務めるのは、シアターコクーン芸術監督・松尾スズキ。2 年ぶりとなる期待の新作『ツダマンの世界』では、日本の昭和初期から戦後を舞台に、主人公「ツダマン」を取り巻く人々の濃密な愛憎劇を描く。津田万治(阿部サダヲ)を取り巻く縁ある人々からの視点で振り返る、津田万治=ツダマンの半生。それは昭和初期から戦後にかけての物語。生まれてすぐ母と離れ離れになり、義母に育てられた万治。十歳で父が他界すると、育ての母からいびられて何かと反省文を書かされたことが彼ののちの文章力につながっていく。万治の小説家人生はそこから始まった…。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- トヨダリョウ
- STYLIST :
- 津野真吾(impiger)
- HAIR MAKE :
- 三宅 茜
- WRITING :
- 前川亜紀