俳優の中谷美紀さんにインタビュー!2023年の「挑戦とワーク・ライフ・バランス」
主演を務める『連続ドラマW ギバーテイカー』(WOWOW)をはじめ、2023年もドラマや映画、舞台…で話題作が続く中谷美紀さん。女優として、ひとりの女性として輝きを深める中谷さんがいま、大切にしたいこととは。
白シャツにブラックのパンツ、ローファーという端正な着こなしも、中谷さんの柔らかでマチュアな美しさが加わると、エレガンスが香り立つよう。ミッツァスカーフで遊び心を効かせて。
凛とした気品と、みずみずしい透明感の漂う素敵な人――そんなイメージそのままの佇まいで、中谷美紀さんは撮影現場に現れた。ハンサムな美しさも、上品でいて艶と憂いのある表情も…。年を重ねるごとにさらに輝き、美しさを深めている人だ。
その中谷さんが主演を務める本格クライムサスペンス『連続ドラマW ギバーテイカー』(WOWOW)が、1月からスタートする。演じるのは、愛する娘を殺され、絶望に苛まれながらも小学校教師から刑事に転身した倉澤樹。娘を殺した、無邪気な狂気をまとう美しき猟奇殺人犯と対峙し、追い詰め、そして自身が抱える過去と向き合っていく。
画面からも怒りや悲しみ、苦しみが伝わってくるような倉澤樹は「演じるのが困難な、ハードルが高い役」だったと言う。
「けれど、娘を奪った犯人に復讐をするのでもなく、絶望して自らの命を絶つのでもなく、立ち上がろうとする人間の生きる様を演じてみたいと思いました。今は生きていくのが難しい時代。人生のどん底すれすれを味わっても、再生し、どうにか立ち上がることができる、という思いがこの作品には込められています。傷は完全に癒えることはなく、その苦しみと共に…だとは思うのですが、それでも生きることができるというメッセージと共に、正解のない問いも投げかけています」
スリリングな展開にぐいぐい引き寄せられる骨太なサスペンスドラマは、娘を失った女性が、暗闇から立ち上がっていく物語でもあるのだ。
自らの欲を捨て、同じような苦しみを味わう人を少しでも減らしたいという信念だけを追求する倉澤を、「修道女のような気持ちで演じていました」と言う。刑事という仕事に強い意志をもって誠実に向き合う、凛とした倉澤の姿は、女優として多彩な役をひとつひとつ真摯に、全力で演じてきた中谷さんにどこか重なっても見えるよう。
今は、新たな挑戦を続けながらも生きることも、日々の暮らしも大切にしたい(中谷美紀さん)
’22年は「公私共にいろいろなことが動き始めた年」だったと言う。’23年3月にはニューヨークでのミハイル・バリシニコフと共演の舞台『猟銃』も控え、仕事での挑戦が続く。けれど仕事にだけ没頭する一年ではなく、「ワーク・ライフ・バランスは常に大切にしたいと思います」と、中谷さん。
「この数年は、仕事をするために生きているのではない、生きるために仕事をしているのだ、ということを改めて考え直した日々でした。若い時分にけっこう働いたので(笑)…。今は生きることも、日々の暮らしも大切にしたい」
夫との出会いがあり、オーストリアで年の半分を暮らすようになって約6年。大切にしたいという日々の暮らしの多彩な時間は、中谷さんの奥深いところに豊かさを宿しているのだろう。清潔感のある美しさにゆとりもチャーミングさも加わって…中谷さんの美しさはますます深まっていきそうだ。
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- PHOTO :
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- ヘア&メイク/下田英里、ネイリスト/川村倫子(ネイルハウス安气子)
- EDIT&WRITING :
- 川村有布子、池永裕子(Precious)