Ketty York is back! ファッション賢者が実名&匿名で告白「おしゃれの沼」にはまってみたら

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それは私のスタイルの「軸」であり、自己投資の賜でもある――だから、「またそれを買うの?」と言わないでください…! あなたにもそんな「沼」、ありますよね!? さまざまなおしゃれの経験を積み重ねてきたプレシャス世代。わかっているのに決して抗えないのが深くて、恐ろしい「おしゃれの沼」…。いえいえ、この投資こそが、今のあなたを輝かせるセンスの源! 

おなじみスタイリストの押田比呂美さん、『Precious』編集長・守屋、そしてN.Y.在住の辛口ファッション・エディター、ケティ・ヨーク氏も参戦。おしゃれ談義が始まります。

ヒョウ柄は特別なアイコン。品よく着てこそ成熟の証

ケティ:みなさん、お久しぶり。コロナのせいで3年ぶりの日本。気のせいか、地味になった気がするけれど、Preciousの編集部だけは、相変わらず華やかで、エレガントね。

守屋:ありがとうございます。常にラグジュアリーを目指しているので!

ケティ:ハーイ、ヒロミ。遠くからでも、すぐにあなたってわかったわ。こんなに素敵にヒョウ柄を着こなしている日本人って、そうはいないもの。

押田:あなたに言われると嬉しいわ。

「私のクローゼットは、ヒョウ柄アイテムのサンクチュアリ! 今では不思議とヒョウ柄のほうから私に近寄ってくるのよ」(スタイリスト/押田比呂美さん)

スタイリスト・押田比呂美さん
スタイリスト・押田比呂美さん

イタリア女優と見紛うさすがの迫力パンテール!

ヒョウ柄のほかに、”プッチ” の熱烈なファンとしても知られている押田さん。そのマニアっぷりは、歴史が違う。本日はイタリア映画の女優を彷彿させる、”ドルチェ&ガッバーナ” のコートに華奢なパンプスで美脚を強調。襟元にパールをプラスして、ヒョウ柄スタイルを上品に見せるのが「押田ルール」。


ケティ:何年か前に、ミラノで会ったときも、イタリアンマダム顔負けのヒョウ柄コートをまとっていたわね。あら、あのときのコートとは違うのね?

押田:コートだけでも7、8着あるから、どれだったかしら? 私のクローゼットは、まずはフロントにヒョウ柄アイテムがずらりと。そしてその横に黒のアイテムが並んでいるの。

守屋:“ヒョウ柄の森” 圧巻ですね。

ケティ:黒を隣に置いて、コーディネートしやすく整理しているところは、さすがスタイリストね。

押田:私の “ヒョウ柄愛” は、今に始まったことじゃないの。20代の後半かな、L.A.へ仕事に行ったときに、伝説のセレクトショップに立ち寄って、そこで出合ったの! ヴィンテージのケープだったけど、試着したら驚くほど自分の顔の感じに合っていて……。そこから、はまったわね!

ケティ:沼にも、歴史があるのね。

守屋:迫力がありすぎてヒョウ柄って難しいのに、押田さんが着こなすと、とても上品ですね。

押田:そりゃどんなものでもいいってわけじゃない。長い経験からいうと、“ドルチェ&ガッバーナ” と “サンローラン” が、私のなかの最高峰かしら!

守屋:確かにこの2ブランドのヒョウは、柄行きも配色も計算され尽くしている。素材も仕立ても抜群ですね。

ケティ:そうそう、“ドルチェ&ガッバーナ” は、ヒョウ柄の裏地があまりにも美しくて、スーツを裏返しにして撮影したこともあったわね。

「憧れの『ケリー』でもう卒業と思っていたけれど、目の前の誘惑に負けて、最新バッグをつい購入。王道も最旬バッグも両方とも手にしないと私の沼は満足しない…」(NY在住ファッション・エディター/ケティ・ヨークさん)

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NY在住ファッション・エディター/ケティ・ヨークさん

最旬バッグで古い人に見せないさりげないシンプルスタイル

無理がない…それでもあの人は誰? と思わせる貫禄のおしゃれ道を極めるケティ・ヨークさん。こなれたオーバーサイズのトレンチコートからチラ見えするブーツは、彼女ご自慢の「ボッテガ・ヴェネタ」のバッグと同系色。久々の来日に、高揚しながらも、落ち着いた雰囲気はさすが!


新バッグが登場するたびにそれを持った自分を妄想

押田:ところで、ケティは会うたびに違うバッグを持っているわね。

守屋:“ボッテガ・ヴェネタ”の『カセット』ですね。横長フォルムが新鮮!

ケティ:あっ、気が付いた? ここ数年N.Y.では、『カセット』が大流行。服は普通なのにこのバッグだけで、『この人センスいい』みたいな。

守屋:そういう、ITバッグの威力って重要ですよね。気持ちが高揚する。

押田:私はタイムレスな名品バッグを大切に持ち続けたいな。若い頃、それこそ清水の舞台から飛び降りる気持ちで買った『バーキン』やクロコダイルの『アマソナ』は私の宝ですもの。

ケティ:私も憧れ続けてやっと『ケリー』を手に入れたけど、根っからの “バッグ好きの沼” を封印することはできなかったわ。気が付くと、つい最新のバッグを持った自分を妄想してしまう。そして…また購入!(笑)

押田:手にするだけで気持ちも高揚する、ジュエリー的な感覚かしら。

ケティ:どのバッグも愛おしいから、ネットオークションとかで、処分することもできない! 場所をとるから、実はどうすべきか困っているの。

押田:これは、大変な沼ね(笑)。

「つい最近は、見た瞬間にエリザベスカラーに沼落ち! ひとクセデザインで首を覆う、これが私をいちばん美しく魅せてくれると信じているから!」(『Precious』編集長/守屋美穂)

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『Precious』編集長・守屋美穂

お気に入りのフリルカラーでジャケットスタイルも自分らしく

「私のトップスはすべて襟が立っている!」と言いきる守屋の本日のコーディネートは、フリルカラーのブラウス×テーラードジャケットといった甘辛バランスの組み合わせ。全体をネイビーのワントーンでまとめつつ、手元はゴールドジュエリーで華やかに。この後、食事会に出席予定だとか。


似合うデザインは自分がいちばん知っている!

押田:私は流行に関係なく、鎖骨が見えるVゾーンの開いているトップスを着るようにしている。そのほうが、デコルテがすっきりするし、ネックレスやチョーカーが似合うでしょう?

守屋:ジュエリーありきの襟元選び、さすが、押田さんです。私は子供の頃からタートルネック一辺倒なんです。トップスはすべて襟が立っていて、首が隠れるものばかり。これ以外は嫌。

ケティ:強い意志があるのね!

守屋:自分らしくいられるし、ほめられることも多い。それっていちばん私に似合っていることだと勝手に分析。

押田:ほんと、今日も似合っているわ。

守屋:タートルニットは、もう数えきれないくらい。フリルカラーやスタンドカラーなど襟が立っていて、しかも、ひとクセあるようなデザインを見ると、私のためのデザインだって!(笑)

ケティ:その場合、ジュエリーは?

守屋:襟元にはつけられないから、私はもっぱら、リングやバングルなど手元のジュエリーにはまっています!

ケティ:手元だと、自分でも常に眺められるから、さらに愛着が湧くものね。

押田:重ねづけもしたくなる……こうして、おしゃれの沼は永遠に続くのよ。

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ILLUSTRATION :
齊藤木綿子
EDIT&WRITING :
兼信実加子、喜多容子(Precious)