ヴェネツィアに生まれ、レッジョ・エミリアやミラノで活動した写真家マッシミリアーノ・カメリーニ。今回、イタリア文化会館と駐日イタリア大使館の協力によってカメリーニの写真展「Al di là dell'acqua (アル ディ ラ デッラックア)」が、日本で初めて開催されます。

カメリーニの計算された世界観が表現された写真たち

今回の展覧会で展示される写真は、2012年から2016年にかけて撮影された、モノクロ写真15点。展示される写真は、カメリーニ特有のスタイルで緻密に計算された世界観を表現しており、「旅は限りない発見への欲求である」というテーマが込められています。

『The Gym』
『The Gym』(C)Massimiliano Camellini
『Passports』
『Passports』(C)Massimiliano Camellini

カメリーニは実存主義を第一に考え、旅の比喩的なスタイルとして貨物船に乗り込み、船上で繰り広げられる生活を描きました。カメリーニの写真が見つめるのは、舷窓から見える海のはるか遠く、単に地理的な意味だけではない目的地です。

『View』
『View』(C)Massimiliano Camellini
『Over any Water』
『Over any Water』(C)Massimiliano Camellini

この二面性は、アレッサンドロ・バリッコの文学作品『ノヴェチェント』(後にジュゼッペ・トルナトーレ監督の映画『海の上のピアニストの伝説』として改題)に通ずるものがあります。主人公は、陸上よりも船上の生活を好み、常にどんな時でも、発見という無限の夢に向かって突き動かされてます。

写真には、双眼鏡、廊下の時計、洗濯機、体操器具、舵、制御盤、電子機器などが写り込んでいます。日常的に使用するものが写り込むことで、被写体と場所や空間が物理的にも精神的にも密接に結びついていることが浮き彫りになります。

船内は、新しい乗組員のための空間であると同時に、同じ航海を共にする様々な文化や民族の象徴を表す普遍的な場所でもあるのです。

『Map desk』
『Map desk』(C)Massimiliano Camellini
『Officials table』
『Officials table』(C)Massimiliano Camellini

今回の展覧会「Al di là dell'acqua」は、パルマやジェノバ、ローマでの公開を経て、日本での記念すべき初公開となります。この機会にぜひカメリーニの世界観を鑑賞してみてください。

写真展詳細

マッシミリアーノ・カメリーニ 写真展「AL DI LÀ DELLʼACQUA」
キュレーター:マヌエラ・デ・レオナルディス
会期:2023年4月17日(月)~23日(日)
会場︓Place M
住所:東京都新宿区新宿1-2-11 近代ビル3F

PHOTO :
(C)Massimiliano Camellini
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