女性なら誰しも、いくつになっても綺麗でいたいと思うもの。では、年齢を重ねても常に美しくあるためには、私たちは何をしたらいいのでしょうか?

そのヒントが、ポージングディレクター・中井信之さんの著書『魅力を引き出す しぐさのレッスン』にありました。本書によると、なんと自分の容姿に自信がなくても、ファッションにそこまでお金をかけられなくても、しぐさで人は美しく変われるというのです。

しぐさというものは、日常のふとしたときに出るもので、その人自身を表すもの。中井さんは「体に馴染んでいるクセを、“しぐさ”として見直すと、自分を演出できるようになります」と言います。

とくに、30代から40代は、女性らしさが微妙にずれてゆく世代。今回は、そんな微妙な違いを、気持ちの微差が出やすい“指先のしぐさ”にフォーカスしてご紹介しましょう。

■それぞれの世代を象徴する「女性のしぐさ」がある!

女性のしぐさは世代ごとに印象的なものが異なる
女性のしぐさは世代ごとに印象的なものが異なる

なんとなく、「綺麗だな」と印象に残る人は、ただ見た目が美しいだけというわけではありません。年齢に合った自分の魅せ方を心得ている人です。

それは、「年齢ごとに客観的に望まれることと、自ら、それを少しずらして演じる魅せ方を知っている人」だと中井さんは言います。少女だと思っていたら、ふと見せた表情がまるで大人の女性のようだった……というような、年相応の期待を少し裏切るようなことは人の印象に残りますよね。

このように自分の世代に合ったしぐさ+αを意識すると、より印象的な女性になれるそうです。まずは、中井さんが定義する各世代を象徴するしぐさを見ていきましょう。

ジュニア(4~10歳)~ティーン(11~15歳)世代のしぐさ

ジュニア(4~10歳)~ティーン(11~15歳)世代のしぐさの特徴は、「まっすぐ率直」であること。花の成長でいうと、蕾がまだ固く閉じているような状態。なので、この蕾はどんな花を咲かせるんだろう、と少し先を想像させると魅力的に見えます。背中越しに、いきなり顔をひねり振り返って見つめるようなしぐさで、ドキッとさせます。

ヤング(16~20歳)~ヤングアダルト(21~30歳)世代のしぐさ

ヤング(16~20歳)~ヤングアダルト(21~30歳)世代のしぐさの特徴は、「可憐」であること。花の成長でいうと、華やかに開花していくとき。少女から女性へと急成長を遂げる時期です。少女のようにはつらつとしていたかと思うと、前方や後方に重心が傾くことで、大人の女性のような憂いが見えると印象的です。

ヤングファミリー(31~40歳)~アダルト(41~60歳)~シニア(61歳~)世代のしぐさ

ヤングファミリー(31~40歳)~アダルト(41~60歳)~シニア(61歳~)世代のしぐさの特徴は、「たおやか」であること。花の成長でいうと、花びらが外側に傾き、散って、次の世代の実につながる時期です。

たおやかを意識して
たおやかを意識して

女性は、優しく円熟に向かうのが理想です。人との関わりや持っているモノも何かと増えていきますが、それらを束ねるようにまとまっていく落ち着きがあると、いいようです。

■ヤングファミリー世代(31歳~40歳)の女性を魅力的に見せるしぐさ

ヤングファミリーはたおやか+色気のしぐさを
ヤングファミリーはたおやか+色気のしぐさを

本書では31歳~40歳をヤングファミリー、41~60歳をアダルトと定義していますが、具体的に、この2つの世代ではどんなしぐさを取り入れていくと、印象的なのでしょうか。まず、ヤングファミリー世代に求められるのは、結婚しているのかいないのか、子どもがいるのかいないのかにかかわらず「どこか家庭的な雰囲気がある」こと。

ここでのファミリーとは、実際に家庭があるという意味ではなく、「家庭がある人は独身のように格好よくきれいなママ」「独身の人は、家庭に入ったら、やさしそうな奥様やママになりそう」なイメージがあると理想、という意図での命名だそう。

そこで取り入れたい+αのイメージは「色気」です。この世代にぜひ取り入れてほしい、意識してほしいしぐさを中井さんに伺いました。

「たとえば家庭と仕事との両立で忙しい女性。はじめてのママ体験は気合いも入ります。だからこそ一人の時間は、鏡を見ながら、ゆっくり髪をとかすなど、やわらかさをとりもどすような、フワっとした女性らしいしぐさを大切にしてください。

フワっと、とは、殻を取ったゆで卵を持つような、やわらかいものを触る感覚です。洗濯ものをたたむときも、素材のやわらかいものは丁寧にまとめて、ゆっくりたたんでもよいかもしれません。そんな手つきから自分の女性性を大切にしましょう。

仕事では、職種にもよりますが、触り心地のソフトな文房具を使ってみるのもよいかもしれません。固い素材はきつくにぎりしめなければなりませんが、やわらかいものは、指先も自然となだらかなカーブを描きます」

■アダルト世代(41~60歳)の女性を魅力的に見せるしぐさ

アダルトはたおやか+キリッとしたかっこよさを
アダルトはたおやか+キリッとしたかっこよさを

アダルト世代に求められるのは、「安定感のあるリッチな雰囲気」。家庭があれば、だんだんと子供は時間の管理ができるようになり、親の手を離れていきます。やがて、それを見守るというスタンスが大事になります。自分が一歩引き、適度な距離をとります。

この世代の理想は、対象との距離の取り方が、経験からわかっていること。あわてない、成熟した美しさが求められます。取り入れたい+αのイメージは、「キリッとしたかっこよさ」です。

「リッチな落ち着いたしぐさに何かプラスするなら、キリッとした動きを意識してみるのが大切です。たとえば、祭日などは、なかなか手をつけられなかった厚めのハードカバー本などを、家でじっくり読んでみてはいかがでしょう。

そんな気分のときは、テーブルの上に肘をつき、キリッとげんこつを握ってアゴを支えているほうが、似合います。仕事では、オーセンティックなダークスーツを着る立場や、場面が増える年齢です。

こんなときは、キリッとした態度で、トータルな信頼感をつくる、腕ぐみが似合います。かるく握ったげんこつが体の前で交差して、知的な印象をつくります。30代では生意気に見えた姿勢が、40代では余裕に見えるのです」

キリッとしたかっこよさを!
キリッとしたかっこよさを!

ヤングファミリーとアダルト、両方の世代に共通する意識は、そのあと続くシニアに向かって、ずっと若々しくいたいということ。中井さんは、「細かいしぐさを個々に考えるというより、“若々しくいられる自分の本質って何だろう?”と考えることが大切」と言います。

「見た目を若くすることで、若い気持ちでいることが得意な女性もいます。いっぽう、見た目を気にするよりも、好きなことをやれることで、活き活きと自分を若く感じる女性もいます。どちらが正しいというのではなく、自分流はどうだろうと常に考えることが、今の自分の美しさを発見する手段です」

ヤングファミリー世代である30代~40代は、自分の魅せ方のスタイルを確立したいとき。アダルト世代である40代~60代は、たおやかできりっとした自分を確立したいとき。今回ご紹介したしぐさも意識しつつ、自分なりの「求められるイメージ+α」を見つけて魅力的に輝いてくださいね。

※本記事は『魅力を引き出す しぐさのレッスン』の内容を一部抜粋しています。

中井信之さん
ポージングディレクター・俳優・モデル・イメージコンサルタント
(なかい のぶゆき)学生時代に劇団『夢の遊眠社』に所属。退団後、モデルを経験。“言葉で感情を伝える俳優の技術”と“装いとポーズでイメージを伝えるモデルの技術”を組み合わせたポージングのメソッド=HKKメソッドを開発。ワタナベエンターテイメントカレッジ等、専門学校で5000人以上のタレント候補生に指導。国際イメージコンサルタントの資格をアメリカで取得後、独立。タレントからエグゼクティブビジネスマンまで「表情・話し方・動作」で個性のブランディングを指導している。
『魅力を引き出す しぐさのレッスン』中井信之・著 大和書房刊
この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
ILLUSTRATION :
多田景子
WRITING :
Mami Azuma
TAGS: