器選びといえば、柄や形にばかり目が行きがちですが、ときには、その素材にこだわってみてもいいのでは?

陶磁器だけでなく、例えば、錫(すず)やガラス。同じ形でも、素材が変われば味わいや手触りに違いが。食は五感で愉しむもの。目はもちろん、器を手で持ち上げたときの手触りや重さも、おいしさへとつながる実感になります。

cadoのデザイナーが作った新ブランド「双円」の器たち

そうした素材から、私たちの感性にすっとなじむデザインによるものづくりを始めたのが「双円(そうえん)」。家電をはじめ多岐に渡るプロダクトデザインを手掛けるデザイナー鈴木 健氏による新ブランドです。

デザイナーの鈴木 健氏

そのコンセプトや第一弾プロジェクトについて、日常の器の使い方などをブランド担当者の方に伺いました。

「かたち」という共通コードを軸にした異業種・異素材によるものづくり

双円の器

「双円のコンセプトは、既存のブランドの枠を超えた、新たなものづくりの『プラットフォーム』として愉しさや美しさを提案していくこと。“かたち”というひとつの共通コードを軸に、異業種・異素材で“もの”をつくります」

第一弾のプロダクトとしては、同じ形状の器を、錫、ガラス、陶磁器の3つの素材でつくりあげています。

「双円の『双』はふたつ、『円』はまるの意で、『ふたつのまるが重なったブランドを象徴するかたち』を表現しています。交わることで新たなご縁を創る『創縁』。ふたつが重なり和音となって円を奏でる『奏円』など、soとenに、ブランドコンセプト同様、ひとつの解釈にとどまらない広がりや連なりの意味を込めました」

「シェア」により、それぞれがものづくりに専念

そしてそのブランドコンセプトには、次のような特徴があるといいます。

「双円では、“ものをつくる”だけではなく、“かたち”を軸にした新しいプラットフォームで、商品、販促ツール、販路をシェアし、一貫したブランディングも行っていくところに特徴があります。例えばクリエイティブはデザインを専門とするアエテが担当し、ものづくりはメーカーが担当。そしてブランドを伝えるツールは、デザインから注文管理までアエテで一括管理。さらに、互いのメーカーが販路をシェアし、『双円』というブランドを軸に互いの商品を販売します。現代においてはすでにスタンダードになりつつあるシェアという感覚、あり方を、ものづくりの世界にも展開したといえるかもしれません」

ものづくりの工程をそれぞれに「シェア」することにより、次のようなメリットが生まれるといいます。

「ものづくりを手がけるメーカーは、真の意味での良いもの、価値の高いものをつくることに専念できます。各社が得意とすること、専念したほうがいいことに特化しながら、効率的になることや可能性が広がることはシェアしたほうが、双円を手にするお客様により良いもの、より価値の高いものを提供できると思っています」

第一弾は、錫・ガラス・陶磁器の「器」

ひとつの解釈にとどまらない広がりや連なりを、ものづくりのプロたちがシェアして価値の高いものをつくりあげていく。そう聞いてますます気になってくるのが、実際のプロダクト。第一弾では、錫、ガラス、陶磁器という3つの異なる素材で「器」をつくりあげています。

第一弾は、錫、ガラス、陶磁器という3つの異なる素材でつくる「器」

「まる」がふたつ重なったおちょこやタンブラー、ビアカップ、片口、豆皿・小皿・平皿、深皿、おわんなど。どこか愛らしさがありつつも、シンプルで洗練された印象のある器たち。今すぐ食卓や食器棚に並べたくなるのはなぜでしょうか。

その秘密は、「日本人の心の心象風景にフィットする」オリジナルデザインに隠されていたようです。

「これらのデザインは、長年プロダクトデザインに携わってきた鈴木が、誰かに頼まれたわけではなく、デザイナーとして素直な心で『シンプルだけど美しく、愛らしく、記憶に残るかたち』を目指し、ラインを引いた末に生まれたものです。例えば丸が重なる、連なっている様子は、日本では古くからなじみのある自然な形。そうした素直な感性から生み出されたものです」

ひとつの「かたち」が3つの異素材で広がる楽しみ方

ひとつの“かたち”が3つの異なる素材でつくられた器たち。日常で楽しむアイディアは大きく広がります。

「おすすめは、同じ食卓の中で、自由に素材とサイズを組み合わせて使っていただくこと。双円の器は和食器、洋食器の両面の特徴を持っているためです。和食器には自分専用のお箸やお茶碗があり、料理に合わせた形や大きさの器がある一方、洋食器は自分専用というより、おそろいの食器やカトラリーを使うことが、おもてなしやコース料理では基本になります。そのどちらの使い方にも対応できます」

自由に素材とサイズを組み合わせて

●和食器として:自分専用の素材を決めて各人が楽しむ
「『私はガラス』『僕は錫』と、同じおちょこやタンブラーを、素材ごとに自分専用にして、同じ食卓・同じ食事で楽しむことができます」

●洋食器として:一式を同じ素材でそろえてコース料理風に
「洋食のコース料理のように、食器一式を同じ素材でそろえることもできます。特に『錫』はマトリョーシカのように、一番大きな平皿(大)の上に、平皿(中)、平皿(小)、小皿、豆皿と重ねていくと大変美しく、リュクスなテーブルを演出できるので、おもてなしのシーンにもおすすめです」

そして収納時の、インテリアとしての用途も欠かせません。

「同素材はもちろん、異素材同士のスタッキングも可能なので、収納にも便利かつ、食器棚からの見栄えも美しいかと思います」

同じ形でも、その素材や器の種類の組み合わせ、そして楽しみ方は、無限大。
早速、双円という新しい風を食卓に、パーティーのテーブルに、取り入れてみたくなりますね。

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この記事の執筆者
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WRITING :
石原亜香利
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