旅の行き先ランキングで1、2を争う人気の北海道。本州とはスケールの異なる雄大な自然や、ご当地グルメなどさまざまな魅力に溢れますが、実は日本で一番、温泉地が多いスポットでもあるのをご存知でしょうか。旅行の際は、北の大地から湧き出た湯のよさもたっぷり堪能したいところです。

そこで、本連載では温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、北海道の名温泉宿をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、岩内郡岩内町にある「いわない温泉 高島旅館」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

雲丹と鮑を豪快に!北海道ならではの海鮮づくしに感動

積丹(しゃこたん)半島の付け根あたりに位置する岩内町は、札幌中心部から車で2時間余り。海と山に囲まれた自然豊かなこの地に全国からのリピーター客が後を絶たない名温泉宿があります。それが今回ご紹介する「いわない温泉 高島旅館」です。オンライン予約はできず基本的に電話受付のみ。予約困難な宿の人気ぶりについて、植竹さんはこう語ります。

高島旅館のロビー
高島旅館のロビー。全13室のこぢんまりした湯宿は心静かに寛ぐのにもってこい。

「高島旅館では、毎年1月1日の午前0時、年明けと同時に電話受付をスタートし、またたく間に1年分の予約が埋まってしまいます。元旦に予約がとれなければ、あとはキャンセルが出るのを祈るのみ。ごく稀に、宿のSNSでキャンセル情報の告知がありますが、それもすかさず満室になるほどの人気宿です。

私の場合、コロナ禍の2021年の梅雨ごろ、もしかしたら…とわずかな望みをかけて電話したら、なんと奇跡的に1室だけキャンセルの空きが! 念願叶って訪れた宿は期待を裏切らない満足度の高さでした」(植竹さん)

海の幸が盛りだくさん。素材のよさを生かすため、砂糖や油などの使用は極力控えているとのこと。
海の幸が盛りだくさん。素材のよさを生かすため、砂糖や油などの使用は極力控えているとのこと。

「宿の人気の秘訣は、何と言っても海の幸。北海道といえば海鮮グルメのイメージですが、そのなかでも高島旅館のボリュームは衝撃的です。私が訪れたのは夏だったので、おまかせコースで雲丹と鮑をこれでもかというくらい堪能しました。ムラサキとバフン、紅白の雲丹の食べ比べができたほか、鮑は鍋、刺身、焼きで味わえるというまさに海鮮尽くし。ヒラメの活け造りも、通常のお店ではこれがメイン料理じゃないかというくらいの存在感で、感動しきりです」(植竹さん)

紅白の雲丹の食べ比べ!
紅白の雲丹の食べ比べ!
過去に実施された鮑フェアのメニューの一部。これだけの鮑を確保できるのは仕入れ先との信頼関係があってこそ。
過去に実施された鮑フェアのメニューの一部。これだけの鮑を確保できるのは仕入れ先との信頼関係があってこそ。

「海鮮のコース料理というと、旬の素材をちょっとずつ…というイメージですが、高島旅館ではひとつひとつの料理が『これが本当に一人前?』とびっくりするくらい豪快。噂には聞いていたので、お昼は抜いて訪問したのですが、それでもギブアップ寸前…。『新鮮な魚介をとことん味わってほしい』というお宿の心意気をひしひしと感じました」(植竹さん)

ふわふわのホッケをはじめ朝食も絶品
ふわふわのホッケをはじめ朝食も絶品
天然酵母を使用した焼きたてパンも好評
天然酵母を使用した焼きたてパンも好評

源泉かけ流しの美人の湯を森の中の露天風呂で満喫

森の中の露天風呂
森の中の露天風呂

「高島旅館は美食の宿として有名ですが、実は温泉も源泉かけ流し。しかも源泉と浴槽の距離が近く湯の鮮度も抜群です。泉質は、いわゆる美人の湯のひとつである炭酸水素塩泉。炭酸水素塩泉はクレンジング効果が期待される湯ですが、こちらの宿の湯は塩化物泉の成分や天然保湿成分のメタケイ酸も豊富に含むため、ただ汚れを落とすだけでなく、しっとり感も得られました」(植竹さん)

冬場はもちろん雪見風呂!
冬場はもちろん雪見風呂!
一面ガラス張りの内湯からも新録がまぶしい
一面ガラス張りの内湯からも新録がまぶしい

「内湯と露天風呂があり、露天風呂はまるで森の中のような雰囲気。新録に包まれて至福の湯浴み時間を過ごせます。そして、個人的にこれはたまらない!…と心が躍ったのは、ロビーにクラフトビールのサーバーがあること。湯上りにまったりとビールで寛ぐことができ、ここはまさしく楽園かと。また、居心地のいいテラス席もあり、そこで飲むコーヒーは格別においしく感じられます。食事もさることながら温泉もホスピタリティも極上で、人気なのも納得です。予約は困難だけれど、絶対に再訪したいと心に固く誓いました!」(植竹さん)

風呂上がりのクラフトビールは至福の味わい
風呂上がりのクラフトビールは至福の味わい
開放感あるテラス席
開放感あるテラス席で心地いい風に癒される

以上、「いわない温泉 高島旅館」をご紹介しました。北海道ならではの海鮮づくしに舌鼓を打ち、森の中の露天風呂で美肌も目指すという贅沢なバケーションを過ごしたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

※高島旅館の【高】は「はしごだか」が正式表記です。

※外出時には新型コロナウィルスの感染対策を十分に講じ、最新情報は公式HPなどでご確認ください。

問い合わせ先

WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生