「しか勝たん」という言葉をご存じですか? 「しか勝たん」はもともとアイドルファンの「推し活用語」でしたが、現在では「○○が最高だ」「○○がいちばんだ」といった意味で、「特定の分野で自分が最高と思うもの」を賞賛する言葉として使われています。今回はその由来や使い方について解説します!
【目次】
【SNSで見かける「しか勝たん」って?まずは「基礎知識」から】
■意味
「しか勝たん」は「○○(人やものの名前)しか勝たん」のように使われ、「〇〇しか勝たない」、つまり「○○がいちばんだ、○○が最高だ、○○しかない、○○に勝るものはない」という意味の言葉です。
■いつから使われるようになった?
「しか勝たん」はSNSなどで自分の「推し」を賞賛する表現として使われています。オタク用語としての「推し」は、1998年からつんく♂さんの総合プロデュースで始まった「ハロー! プロジェクト」が発生元といわれています。「モーニング娘。」などアイドルを応援するファンが、自分の好きなメンバー(推しメン)を指して「推し」という言葉を使いはじめました。
「しか勝たん」については、2000年代後半から「推しメン」や「推し活(推しの応援活動)」といった言葉とともに、「推ししか勝たん」という表現がサブカルチャーの分野や若者世代に広まったのが語源とされています。現在では、アイドルに関係なく、俳優やアニメキャラ、飲食物やコスメなど、特定の分野で自分が「最高!」と思うものに対して使われています。また、動画投稿サイトやSNSなどでは「#○○しか勝たん」という風に、ハッシュタグとしても使われますよ。
■「古語」なの?
「しか勝たん」の「勝たん」は、「勝たない」を関西や九州などの方言にしたもののようです。つまり、古語ではありません。
【使い方がわかる「例文」5選】
■1:「〇〇(推しの名前)しか勝たん」
■2:「いろいろ迷ったけど、結局このクッションファンデしか勝たん」
■3:「仕事終わりはビールしか勝たん」
■4:「彼女しか勝たん」
■5:「一緒に住むなら犬しか勝たん」
【「気持ち悪い」「嫌い」と言われる理由は?】
「勝たん」はもともと「勝たぬ」つまり、「勝たない」という言葉です。そのため「~しか勝たん」という表現を直訳すると、「~だけが勝たない」となるような気がしますよね。しかし、実際には「~だけが勝つ」という意味で使われている――そのため、「しか勝たん」という表現に「意味が通らず気持ち悪い」「もやもやする」という人もいるようです。しかし、「〇〇しか××ない」の用法は「あるものごとを取り上げて、それ以外をすべて否定する」もの。例えば「本しか売らん」なら「本しか売らない」となります。つまり、用法としては、正解なのです。
一方、「ふざけている気がする」「ノリが苦手」といった、感覚的、気分的に「嫌い」という声も聞こえます。これは、インパクトの強い言葉の宿命なのかもしれませんね。
【「類語」「言い換え」表現】
■「○○は正義」
例えば、「可愛いは正義」のように使われます。意味としては「可愛いのは最高だ」で、「しか勝たん」と共通していますが、「~は正義」には「絶対的に正しい」という強いニュアンスが含まれています。つまり「可愛いは正義」なら、「可愛いければ、ほかは(多少欠点があろうとも)すべて許される」という意味合いで使われます。
■「○○がいちばんだ」
■「○○が最高だ」
■「○○しかない」
■「○○に勝るものはない」
■「○○に限る」
***
「しか勝たん」は、SNSなどネット用語として、自分が「最高!」と思うものを絶賛する意味合いで使われています。勝利宣言のように力強い語感が、「推し活」の楽しさを表しているようですね。あなたには、毎日にハリと潤いを与えてくれる「推し」はいますか?
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料: 『現代用語の基礎知識』(自由国民社) :