『Precious』本誌をはじめ、テレビや広告など幅広く活躍する人気スタイリストの犬走比佐乃さんに、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。今回は、着こなしの鮮度を一気に加速させる「綺麗色」の取り入れ方にフォーカス! 華やぎとインパクトを添えながら、洗練を印象づけるアイテムのセレクトと着こなしのポイントを伝授していただきましょう。

犬走比佐乃さん
スタイリスト
(いぬばしり ひさの)本誌をはじめ数々の女性誌や女優のスタイリングを手がけ、「マダム犬走」の愛称で多くのファンをもつ。30年以上を誇るキャリアと卓越した審美眼でセレクト&スタイリングする自身の着こなしも注目を集める。

この夏こそ臆せず取り入れたい! 大人の女性の「綺麗色」コーデ

こう暑い日が続くと、おしゃれ心もついしぼんでしまいがちになりますが、今年の夏は1度きり! オンもオフもコーディネートを楽しみながら、太陽の季節を謳歌したいもの。ご自身の最愛カラーであるネイビーを中心に、ベーシックカラーをスタイリッシュに着こなす ――そんなイメージが強い犬走さんですが、そこはやはりファッションのプロ。ビタミンカラーやパステルカラーをサラリと取り入れたコーディネートもお得意です。

「みなさんもご存知と思いますが、2023年春夏のトレンドカラーは、ピンク、ブルー、イエローといった鮮やかな色。私は、実はそこまでトレンドを意識してはいないのですが、不思議なものでシーズン前から自然と綺麗色に惹かれ購入していました」(犬走さん)

では、犬走さんがこの夏取り入れている綺麗色アイテムとは? その着こなしの極意を3バリエーションご紹介します。

■1:シンプルなシャツなら甘くなり過ぎない、大人バランスのピンク

大人コーデ_1,夏コーデ_1,シャツ_1,パンツ_1
程よいハリ感がある涼やかな着心地の「イエナ」のシャツは、リネンとレーヨンの混合素材。

犬走さんが、「本当に久しぶりに着たくなった」というのがピンク。 実際にこれまで、ピンクのイメージがなかった犬走さんの私服コーディネートだけにとっても新鮮です!

「ピンクは甘くなり過ぎることを恐れて躊躇している人が多いと思いますが、こういうシンプルなシャツなら取り入れやすいし着こなしも難しくありません」(犬走さん)

犬走さんはシンプルなネイビーのパンツに合わせ、シャツの裾をあえてインせずリラクシーなスタイルに。

「大切なのはピンクの色味。あまりビビッド過ぎると逆に顔がくすんで見えてしまう可能性が高く、かといって淡過ぎる色味でも老けて見えてしまいます。大人の女性には、こんな感じの紫がかったピンクが、顔映りもよく失敗せずに着こなせるのではないでしょうか」(犬走さん)

■2:ターコイズブルーのパンツで、ドラマティックに着映えて

大人コーデ_2,夏コーデ_2,パンツ_2,ブラウス_1
鮮やかなターコイズブルーのパンツは、今年購入した「トゥモローランド」のもの。デザインの聞いたブラックのトップスと合わせて、クールなサマーカジュアルを完成!

いかにも夏らしいターコイズブルーの色彩に目を奪われるドラマティックなパンツスタイルは、「マダム犬走」の真骨頂!

「昨年はグリーンの気分だったのですが、今年は断然、ブルー! この色に限らず、今の私にとってカラーパンツは、ホワイトのパンツの代わりなんですよね」(犬走さん)

これまでステディアイテムだったホワイトパンツの登板機会がグッと減っているという犬走さん。

「確かにホワイトパンツは合わせやすくて便利ですが、ボトムスに色を入れると、それだけで印象がガラリと変わって旬の雰囲気が加速します」(犬走さん)

だけどカラーパンツ初心者にとっては、「太って見えそう」、「コーディネートが難しそう」と少しハードルが高いアイテム。選び方のコツは何でしょう?

「色については、お好きな色や似合う色を選ばれたらいいと思いますが、肝心なのは素材とシルエット! 私はストレッチが効いた素材や薄過ぎるものは、ボディラインを拾い過ぎてしまうから避けています。程よく余裕があるシルエットで、適度な厚みとハリがある素材、そして何より自分の体型に合う形を吟味することが重要です」(犬走さん)

■3:差し色小物でベーシックカラーコーデを上手に刺激!

大人コーデ_3,夏コーデ_3,バッグ_1
ビビットなカラーと涙型フォルムが印象的なボディバッグは、アメリカ発のブランド「ヘルシーバックバッグ」。

最後は小物で取り入れる綺麗色! 最近、旅行などで大活躍しているという「ヘルシーバックバッグ」のボディバッグ、犬走さんが選んだのはSサイズの「インカゴールド」というカラーです。

「このバッグは以前、ドラマのお仕事でスタイリングしたときに“便利そうだな”と気になっていたもの。すごくカラーバリエーションが豊富で、ドラマでは確かレッドを使ったのですが、自分ではこの色が合わせやすいかなと思って」(犬走さん)

バッグなどの小物で差し色にするのが、いちばんハードルが低い綺麗色の取り入れ方。ハイブランドのものではなく、カジュアルなアイテムなら今すぐにでも挑戦できそうです。

「色の話からはちょっとそれてしまいますが、このバッグは人間工学から生まれたものだそうで、とても使い勝手がいいんです! 旅行はもちろん、大人の休日カジュアルの変化球アイテムとしてもおすすめです」(犬走さん)


4年ぶりの、行動制限のない夏。いつものベーシックカラーに綺麗色を上手に取り入れて、おしゃれのポテンシャルと気分をアップ! サマーコーディネートの可能性を広げてみませんか?

※私物に関しての各ブランドへのお問い合わせはご遠慮ください。

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PHOTO :
田中麻衣(小学館)
WRITING :
岡村佳代
EDIT :
谷 花生