今。美食家の注目を集めているのは、必ずしもアクセスが便利ではない「奥の地」。滋味溢れる素材に惹かれた料理人たちが紡ぎ出す料理は、心にもカラダにも深く染み入って、感動と幸福を呼びます。

「もうあのお店行った?」と交わされる美食家たちの囁きは、つい数年前まで東京や京都など都会の店が話題の中心でした。ところが今、その多くは北陸や軽井沢、そして南は九州まで、「奥の地」へと拡がっています。贅沢な食体験とはキャビアやフォアグラなどの高級食材だけではなく、その地でしか味わえない新鮮な旬の食材と、その地に根ざす料理人との出合いに尽きると、多くの人が気付き始めているのでしょう。

『Precious』8月号の特集「スモール&ラグジュアリーな14の美食宿」では、味わい、そしてそのまま泊まれる美食宿から14軒を厳選。

今回は、東京都立川市の美食宿「オーベルジュ ときと」をご紹介します。

立川を美食のデスティネーションに「オーベルジュ ときと」

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シビ鮪をフォンドボーソースでいただく「Surf & Turf No.1」。

【NEW and NEIGHBORS】こんな近くに!?話題のニューオープン

手入れの行き届いた庭と石畳の風情にここが東京だということを忘れてしまいそう。以前は料亭だったという約3700平方もの広大な敷地に、アフタヌーンティーを楽しめる茶房、食事をいただける食房、すべて100平方を超える4つの客室を擁する宿房からなる「ときと」。

「日本が誇る美しい食を立川から世界へ」と、ロンドンの日本食料理店で初めてミシュラン2つ星を獲得した石井義典さんを中心に、一流の和食店で経験を積んだ料理人たちが集結しています。12皿前後からなるディナーは器も石井さんが自ら焼き、プロデュースする力の入れよう。

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生ハムだしに自家製醤油麹のスープ、さらに全粒粉の自家製麺とこだわり抜いたラーメン。

正統派懐石かと思いきや、ラーメンが登場する変化球も楽しく、フーディの耳目を集めています。

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美しい切子の皿には平目の刺身を塩と昆布のジュレで。
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古代米やもち麦、蕎麦、ハスの実を入れた粥は朝食に。漬け物やドライフルーツなどで味変しながら、最後にクロテッドクリームを加えると劇的にリッチに!
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料亭「無門庵」だったという敷地。JR「西国立」駅から徒歩1分という好立地。
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宿泊客優先のカウンターで石井さん

全室にスパトリートメントルームと地下1300mからくみ上げた温泉をかけ流している露天風呂を完備。温泉につかりながら樹々を眺めれば、ここが東京だなんて信じられません。意外にも身近にあった “奥のニッポン” の楽しさに気付かされる一夜です。

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4つの客室は和洋2タイプ
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4つの客室は和洋2タイプ

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PHOTO :
長谷川 潤
EDIT&WRITING :
秋山 都、安村 徹(Precious)