エルメスのスカーフは、まるでキャンバスのような創作の舞台でもあり、物語が無限に広がっています。今季、注目を集めているカレ「千と一のウサギ」は、日本人アーティストの河原シンスケ氏によるデザイン。
河原氏は、80年代初頭よりパリを拠点に活動を開始し、ファッションやインテリアなどのコラボレーションも積極的に取り組んでいます。ウサギは河原氏のデザインで重要な役割を持ち続けている、アイコンでもあります。
2023年は卯年ということもあり、ウサギが愛らしく跳ねる一枚が、ポジティブなパワーをもたらしてくれます。
「千と一のウサギ」シリーズから、定番のカレ90をはじめ、ツイリーやツイリーアップまでのラインナップをご紹介します。
河原シンスケ氏が手掛ける「千と一のウサギ」は、花鳥風月がテーマに!
定番のカレ90は、モノトーンでシックな印象
月と共に過ごすウサギや、馬と戯れるウサギなど、たくさんのウサギが描かれた新作カレ90「千と一のウサギ」。デザインを手がけた河原氏にとって、ウサギは特別な存在。パリを初めて訪れた際に、空港の滑走路でうさぎの大群が走っている風景を目にして以来、「パリに初めて来た頃にウェルカムしてくれた動物」として、河原氏の作品にたびたび登場する、アイコニックなモチーフになっています。
カレ90「千と一のウサギ」の絵柄は、実寸大の紙に筆で描いて制作されたもの。やわらかな筆のタッチを味わえる、モノトーンの一枚を選べば、鳥獣戯画や水墨画のような風情も漂います。
カレのデザインは、日本文化のエッセンスも感じられるものに。過去、現在、未来へと繋がる、美しい自然への崇拝や花鳥風月への礼賛が込められています。能楽師・世阿弥が書き残した花鳥の風流、自然を愛でる象徴としての風月は、河原氏がクリエイションする上でテーマとしているものでもあります。
カレのストーリーは、たくさんの陽気なウサギたちが、自然風景に無秩序に転がり、障害馬術試験を控えて静かに過ごしたかった馬たちは大混乱…。ウサギと馬の豊かな表情も魅力のひとつです。
多彩なアレンジが楽しめるツイリーも、ウサギが主人公!
バッグのハンドルに巻いたり、ヘアアレンジを楽しんだりと、無限の可能性を秘めたツイリーにも「千と一のウサギ」のシリーズが登場。日本の古典などにも精通する河原氏によるデザインが、異彩を放ちます。フランス語のタイトル「Mille et un lapins」の、「Mille et un〜」は”たくさん”を表現する言い回しで、まさに、個性豊かなたくさんのウサギが主人公として描かれています。
華やかなツイルアップは、淡いピンクが覗くデザイン
ワイド幅のツイルアップは、襟元にひと巻きするだけで華やかな印象に仕上がります。上質なシルク素材だからこそ、繊細なピンクの色味が引き立ちます。
デザインを手がけたアーティストの河原シンスケ氏は、2023年4〜5月にかけて、「大阪中之島美術館」で開催された、「エルメスのpetit h ―プティ アッシュ」の会場セノグラフィも担当しており、遊び心溢れるデザインが話題を呼びました。
夢物語が広がるカレの世界は奥深く、デザインにまつわるエピソードを知るほどに愛着も深まります。河原シンスケ氏がデザインした、新作の「千と一のウサギ」シリーズは、日本文化の繊細な魅力と、プレイフルな感性が融合しています。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
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- PHOTO :
- 大原敏政(aosora)
- WRITING :
- 川口夏希(NTK CREATIONS)