「もう一度、“整くん”を演じられるということが楽しみだった」

俳優・菅田将暉さん
ジャケット¥199,000・パンツ¥161,000・カーディガン¥76,000(エドストローム オフィス〈LEMAIRE〉)
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菅田将暉さん
俳優
すだ・まさき 1993年生まれ、大阪府出身。2009年『仮面ライダーW』でデビュー。『共喰い』で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞、『あゝ、荒野』で第41回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞などを受賞。2017年からは音楽活動を開始。その後の主な出演作は、映画『花束みたいな恋をした』『キネマの神様』『銀河鉄道の父』『君たちはどう生きるか』、ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』など。2022年に放送されたドラマ『ミステリと言う勿れ』の映画版が、9月15日より公開中。原作コミックのなかでも人気の高い、通称「広島編」が展開される。

――累計発行部数1800万部を突破している田村由美先生による大人気漫画を原作とし、2022年1月期のフジテレビ月曜9時枠にて放送された連続ドラマ「ミステリと言う勿れ」ですが、劇場版で再び出演することがきまったときの心境を教えてください。

「いいものにしたい、シンプルにそう思いました。この作品はドラマのときからありがたい反響をたくさんいただいて、肌感覚でも世の中の盛り上がりを感じることができました。さらにフジテレビ開局65周年記念ということで…実は最近そうだと知ったんですけど(笑)、みなさんの記憶に残るものになると嬉しいです。あとは、単純に、もう一度、久能 整(くのう・ととのう)くんを演じられるということが楽しみでした」

――今回、原作ファンにも『いちばん好き』と言われることの多い、通称『広島編』の映画化ということですが、見どころは?

「家族の因習とか、地方のドロドロとした昔話とか、ストーリー自体の展開もダイナミックなので、映画にはぴったりのエピソードだな、と。そして、実はドラマではあまり他人と関わってこなかった整くんなんですが、本作では人と関わる中でどんどん感情が生まれてくるんです。演じていて、ドラマの時には感じなかった違和感が今回はあったんですけど、なにが違ったって、“みんなで”推理をしなくちゃいけないんです。いままでは整が一人でやっていたから、スムーズなんですよ。頭の中の考えを口にすればよかったんだけど、今回は周囲のみんなと『どうしようか』って相談しつつ、状況を周りに説明したり、逆に情報を引き出したりしなくてはいけない。そこに四苦八苦する彼の様子が、僕は面白かったですね」

俳優・菅田将暉さん
周りとのコミュニケーションに四苦八苦する整の様子が僕は面白かった(菅田さん)

「さらに細かく場面をあげると、お風呂に入るシーンだとか、パンツのくだりとか…。この映画で彼の、人間的な部分が垣間見えるんです。そこが、僕もこの『広島編』が好きな理由かもしれない。今回、映画の尺に収めるために、かなり脚本をブラッシュアップしていくなかで、僕からはこういうシーンを削らないでほしいってお願いしたんです。正直、なくてもストーリーは成立するんですが、でもないと緊迫するシーンが続いていて、辛い。いいアクセントにもなったんじゃないかと思います 」

――原作も映像も、大変ヒットしている作品だと思いますが、この作品が愛される理由ってなんだと思いますか?

「そこははやり、整くん、ひいては田村先生の言葉の面白さなんだと思います。整くんの目線って、すごく中間というかなんですよね。田村先生が、徹底しておっしゃっていたのが、『感情のない議論ってものが大事なんじゃないか』ということ。喜怒哀楽で議論をするのではなく、 感情を一度抑えた上で、お互いにいい方向に向かうためにはどうしたらいいんだろうって考える。そのスタンスってやっぱり現代社会ですごく大事だなって思いますし、SNS上などでも相手をとにかく論破するための発言が様子が散見されるなか、あくまでも冷静に腰を据えて喋る、整くんっていう存在が今、逆に新鮮なのかなと思います」

俳優・菅田将暉さん
『感情のない議論ってものが大事なんじゃないか』(菅田さん)

「女性や子どもという、弱い、もしくは弱いとされてきた立場の人に寄り添う言葉が多いのも、世の中の流れにマッチしていると思います。友人から、意外と子どもも好きで見ているよ、なんて言ってもらうことも。 結構ディープな内容もありますが、整くんのある意味”ドライ”なところが、人を心地よく説得してくれるのかもしれないですね」


■映画『ミステリと言う勿れ』大ヒット公開中

天然パーマがトレードマークで友達も彼女もいない、カレーをこよなく愛する大学生の久能整。広島を訪れた久能が狩集家の一族の遺産相続の謎に巻き込まれる。「僕は常々思うんですがー」という言葉から始まり、膨大な知識と独自の価値観による持論を淡々と述べるだけで事件の謎が解かれていく新感覚ミステリー。

■原作:田村由美「ミステリと言う勿れ」(小学館「月刊フラワーズ」連載中)
■監督:松山博昭
■脚本:相沢友子
■音楽:Ken Arai
■出演:    
菅田将暉
松下洸平  町田啓太  原菜乃華  萩原利久
鈴木保奈美  滝藤賢一  でんでん  野間口徹
松坂慶子  松嶋菜々子
伊藤沙莉  尾上松也 ・ 筒井道隆  永山瑛太
角野卓造  段田安則  柴咲コウ
(C)田村由美/小学館  (C)2023 フジテレビジョン 小学館 TopCoat 東宝 FNS27 社

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