映画『おしゃれ泥棒』(1966年)でオードリー・ヘプバーンがクルマを運転していたシーン、覚えていますか? ミニ丈の白いスーツで運転する小さなクルマは、イタリアのアウトビアンキというブランドの「ビアンキーナ カブリオレ」。そして、ピンクの短丈コートをさらりとはおって運転するのは、英国ジャガーの「Eタイプ ロードスター」。登場したのは、いずれも快活なニコル(オードリーの役名)を印象付ける、魅力的なオープンスポーツカーでした。
華やかでエレガントなジバンシィの衣装と完ぺきに調和したオープンスポーツカーは、同じモデルこそもうつくられていませんが、最新の快適装備とイージーな操作性を備えたクルマがいくつか販売されています。今回ご紹介するのはドイツのスポーツカーブランド、ポルシェの2人乗りオープンスポーツカー「718ボクスター」。それも美しいカラーをまとう、大人の女性にぴったりの一台です。
ポルシェの魅力を凝縮したオープンスポーツカー
ポルシェはブランドのアイコンである「911」を筆頭に、スポーツカーとしての圧倒的な高性能と日常における実用性を兼ね備えたモデルラインアップで知られています。技術的なトピックは膨大ですが、そのひとつに「PDK」というトランスミッションがあります。速さが持ち味のスポーツカーは、変速時の時間やエネルギーの損失を極力抑えることが求められます。これを可能にしたのが、人の手で操作するよりも素早く変速する「PDK」です。詳しい説明は省きますが、ポルシェは現在主流の、AT限定免許で運転できる高性能スポーツカーの先駆者でもあるのです(1980年代からレースでPDKをテストしていたそう)。
2人乗りのオープンスポーツカー「718ケイマン」にも「PDK」は設定されていて、これがもう本当に気持ちよく、特別な操作なしにサクサクと瞬時に変速して、意図どおりにスピードを増していきます。スポーツカーだからといって身構えることなく運転できるのが、このクルマの大きな魅力といえるでしょう。
前に大きな荷室が付いて便利!
そんな「718ケイマン」に昨年新設定されたのが、「スタイルエディション」というモデル。一番の特徴が、専用色「ルビースターネオ」をまとうスタイリングです。呼称にあるように、ルビーを思わせる鮮やかな発色が実に刺激的。クルマは目立つ存在なので、シックな色を選んだほうがTPOに合わせやすいですが、スポーツカーは別。快活なキャラクターには強めの色が似合います。
屋根が開くオープンボディなら、見られることも意識してスタイリングしたいところ。ドレス、カジュアル問わず、常に愛車のカラーリングを意識したコーディネートを考えるのが楽しいと思えるようになれば、もうあなたは立派な「スポーツカー乗り」です!
ちなみに「718ボクスター」は、一般的に前に搭載されるエンジンが乗車空間の後ろにあり、車体前方のボンネットの下はまるまる荷室になっています。さらに車体後端にも荷室が。乗車空間の荷物置き場は限られますが、かさばる秋冬アウターやメインのバッグ、履き替え用の靴(スポーツカーにかぎらずヒール付きの靴は運転操作に支障をきたすためNGです)などの収納に困ることはありません。
名画の主役になった気分で旅へ!
冒頭で触れたように、ポルシェがつくるスポーツカーは高い走行性能と実用性を兼ね備えており、「718ボクスター」も同様です。走行性能においてはパワフルなエンジンの吹け上がりをアクセルペダルの微妙な動きで調節ができ、前述の「PDK」がスピードに応じたエンジン回転域を適切に制御してくれます。
乗り心地は過剰な硬さを感じることがなく、それでいて芯の通った頼もしいフィーリング。だから長時間運転しても疲れにくく、高速道路では抜群の安定感を誇ります。荷物もしっかり収納できるので旅にも行けるし、むしろ遠出すればするほど、ポルシェの硬質で頼もしい走行フィーリングに心を癒されます。
また、車体が小さいことで取り回しに優れ、周囲を見渡しやすいというメリットも。特に幌を開ければ全方位よく見えて、街中のパーキングに駐車するときも安心。幌を開けることで得られる悦びは、走行中に風を感じられることだけではないのです。天候や気温が安定しているときは、常に幌を開けておきたいくらいです。
クルマは自分だけの空間であり、外界から隔てられ、見られていないことに安心するという感覚は確かにあります。けれども、時として周囲から見られることをごく当たり前のように感じ、自然に振る舞うことができれば、心をもっと開き、ポジティブになれるのではないでしょうか。名画の主役になった気分で、「人馬一体」のファッションを楽しみましょう。
【Porsche 718 Boxster Style Edition 】
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,379×1,801×1,281mm
車両本体価格:¥9,910,000(ベース価格)
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- TEXT :
- 櫻井 香さん ライフスタイルエディター