おしゃれの春支度のなかに、メイクも含まれていますか?ファッションとメイクの時差問題について考えます「トレンド服×旬メイク」のバランス学
ファッションの流行には敏感で、洋服や小物の春支度は万全。でもメイクは愛用品があるからと、アップデートを後回しにしていませんか? 油断していると着こなしは最旬なのに、顔だけ置き去りに。装いの完成度を台無しにするファッションとメイクの時差が生じてしまいます。
そこで、美容エキスパートのマダム・プティがパリから緊急帰国。ファッションの流行と旬メイクについて、守屋美穂編集長と本音でトーク! 「トレンド服×旬メイク」のバランス学に基づいた、旬顔のつくり方と注目アイテムを伝授します!
春のトレンド服×旬メイクの関係をふたりのエキスパートが本音でトーク!
マダム:こんにちは、美穂。座談会でお会いするのは、初めてね。
守屋:こんにちは。今日は、友人であり、私の美容の先生でもあるマダムと、ファッション×メイクについてお話ししたくて、お呼びしました。
マダム:美穂からのご指名なんて光栄よ。楽しい時間にしましょうね。
守屋:大人になると洋服の流行は上手に見極めて取り入れているけれど、メイクは保守的。気付けば顔だけ時代遅れでは? そんな不安を解消することが今日のテーマです。いつもどおり本音で語りましょう(笑)
「洋服やバッグを買ったら、その足で化粧品売り場にも行ってほしいわ」
マダム:自分の顔を熟知していても、3年前の顔と変わっていることに無頓着な人が多いわね。コスメは買い替えているのかしら…? ともあれ洋服とメイクの時差を埋めるために、まずはPreciousの春の注目ルックを知りたいわ!
守屋:ランウェイではワントーンのルックが印象的。秋のイメージが強かったディープなアースカラーや、シアーな質感でメリハリをつけたパステルカラーのルックなど、ワントーンの着こなしの幅が広がりました。シンプルなルックにベルトでウエストマークしたり、肌の見せ方で遊んだり、親しみやすいのに新鮮な着こなしにも惹かれましたね。
【プラダ】透明感溢れるパステルブルーのドレスが、澄んだモード感を放つ。
【エルメス】深いアースカラーのワントーンが新鮮。
【ボッテガ・ヴェネタ】知的なモード感を放つジレ+パンツのミニマルスタイルが大人好み。
【フェンディ】クリーンなニットアンサンブルをセンシュアルに着崩したルックは注目の的。
【マックスマーラ】シアーなスカートがモノトーンを優雅に刷新。
【ジバンシィ】細ベルトをアクセントにした黒のニットドレスは、日常の着こなしの参考に。
マダム:カラーコスメも色自体はベーシックでも発色はシアー。洋服とコスメに共通するトレンドね。
守屋:ワントーンの着こなしを日常で取り入れた場合、メイクをどうするのか、自分でも悩むところ。顔が寂しく見えないように、アクセントや引き締め方を知りたいわ。上品さとマチュアな個性を、洋服×メイクでうまく調和させるのが理想です。
マダム:確かに、ワントーンの着こなしに合わせるメイクは、メリハリがないと肌も印象も沈むわね。
守屋:華やかなメリハリを出そうと不用意にラメやパールに頼ると肌のキメに入り込んでうまく光ってくれない事件が起こる(笑)
マダム:大人あるあるね(笑)。でも、メイクはコンプレックス解消だけでなく、流行を理解することも大切。洋服やバッグを買ったら、化粧品コーナーにも足を運んでほしいわ。
守屋:私も赤リップに苦手意識があったけれど、今日つけた新色は、エアリーマットな発色で素肌までいきいき見えることに驚いて。自分の新しい顔を見つけた思いです。
マダム:ファッションと同じくメイクも透け感は外せないわ。春コスメの買い足しが旬顔を叶える近道よ。
シアーな発色と繊細な煌めきが春映えコスメのキーワード!
春の注目コスメは、透け感と表情豊かな煌めきが印象的。大人のシックトーンメイクをドラマティックに進化させる。
1.エルメス オンブル ドゥ エルメス パレット クワテュール 01:温かみのあるシックカラーにシルバーの組み合わせがモダンナチュラルな目元を演出。
2.エルメス ルージュ エルメス ルージュ ア レーヴル マット 41:スモーキーなベージュローズ。
3.シャネル レ キャトル オンブル 388:シックな色とメタリックな輝きが新しいスモーキーアイを表現。
4.パルファン・クリスチャン・ディオール ヴェルニ トップコート 001:パープルとピンクのラメが煌めくトップコート。
5.NARS クワッド アイシャドー 03730:マットで温かみのあるベージュ、トープ、アプリコットにシルバーの煌めきを放つライトシャンパンゴールドが今の気分。
6.パルファム ジバンシイ プリズム・リーブル・ハイライター(フェイス&ボディ カラー) 13:ヘルシーな血色感とゴールドパールの輝きで日差しに映える旬顔に。
「化粧品の広告ビジュアルは、旬顔になるヒントの宝庫」
守屋:そう考えると、ファッションとメイクの時差問題って、化粧品をアップデートすることで、すっきり解消される場合もあるんですね。
マダム:目まぐるしく登場する新作コスメ情報についていけないと思う人もいるかもしれないけれど、アイシャドウでもリップでも、チークでもひとつ取り入れるだけでいいの。
守屋:メイクを総取り換えしなくてもいいのね。それはよかった!
マダム:化粧品の広告ビジュアルのエッセンスを上手に読み取って。この春も、大人の女性に似合う魅力的なメイクの例がたくさんあるわ。
守屋:ナチュラルとモードの両立が、仕事用メイクの参考になりますね。
マダム:特にテラコッタのように血色感のあるアイカラーがおすすめよ。肌のくすみと絶妙になじんで、ヘルシーな陰影が出るの。
守屋:都会的なアースカラーが、今の気分! なにより悩みのたねである目元の影がいい味付けになるなんて、うれしいわ。
Check!「DIOR」
ふんわりエアリーに発色する、肌なじみのいいローズ系チークが、エレガンスと多幸感を兼ね備えたメイクを叶えてくれる。大人好みのシックトーンの目元にさりげなく季節感と洗練された色香を授ける効果も必見。
Check!「CHANEL」
シャープな艶ブラックのアイライナーは、軽やかな春の着こなしにはトゥーマッチ。ニュアンスカラーのアイライナーで、華やかさを秘めた陰影のある目元を演出するのが今の気分! シンプルな着こなしをモードに導く旬メイクとして要注目。
Check!「エルメス」
ナチュラルさのなかに力強い生命力を感じさせるのが、旬メイクのキーワード。大地の色を思わせる赤みベージュの陰影を湛えた目元とカラーを抑えたリップのバランスが、ふっと肩の力が抜けた大人の女性像を演出。
Check!「PRADA」
エアリーマットな華やぎリップと艶やかで透明感のある目元、メリハリの効いた組み合わせがモダンな印象。カジュアルだけれどスタイリッシュな雰囲気が、これからのデイリーメイクの本命に!
「バランスは、メイクからファッションまで俯瞰して考えるのが正解よ」
マダム:洋服と同じように、メイクでもシアーな質感は旬のキーワード。チークでもリップでも、肌になじみながら自然な血色感や穏やかなメリハリを表現できるわ。さらに、アイラインで目の際を締めると凛とした雰囲気も表現できて、完璧ね!
守屋:黒いアイライナーは、使い方しだいでは昔っぽくなりがち。ワントーンメイクにはどう効かせればいいのかしら?
マダム:テカリが悪目立ちする黒リキッドでの、はねあげアイラインは、まずは封印(笑)。黒のペンシルでまつげの間を埋めるだけに使って。目の幅を自然に広く見せるなら、シアーなグレーや煌めきカラーのアイラインを、目尻から少し長めに引いてみて。たるみまぶたが自然にキュッと上がって目そのものが大きくなったように見えるのよ。
守屋:なるほど! 主張する発色よりも溶け込むような質感が旬メイクのポイントなのね。
「顔は塗り絵じゃないわ、隙間なくきれいに塗り込んではだめ」
マダム:そう、それともうひとつ、いいかしら。
守屋:ぜひ、聞きたいわ!
マダム:日本の女性ってメイクに対してとてもまじめ。それはいいことだけれど、隙間なく塗り込むと化粧くずれが目立つし、重苦しい印象よ。洋服同様、メイクも抜け感が大切。もともとプレシャス世代はスキンケアをきちんとしているから、多少のエイジングマークがあったとしても肌がきれい。ベースメイクを薄くする自信をもってほしいし、それだけで今らしい抜け感が出せるの。今日の美穂も、素肌感のあるベースメイクと赤リップの組み合わせが素敵! カジュアルでもエレガントでもないモード感のあるシアーな赤リップも、旬顔メイクに欠かせないアイテムよ。
「自分の定番メイクにこだわりすぎると、顔の時代がストップするわ」
守屋:実は私は、洋服感覚でアイカラーを遊びたい気持ちも強くて。この春はグリーンが気になっているの。でも、目元だけ派手になるのは恥ずかしい…。今の話を聞いて、引き算した肌に軽やかな発色のアイシャドウでクリアできる気がします。
マダム:カラーマスカラもおすすめ。上まつげの目尻側や下まつげにだけ効かせると、シックカラーの着こなしにさりげなく個性を演出できるわ。
守屋:着こなしにもメイクも抜け感のあるスパイスを意識することで、今らしい統一感が出るんですね。
マダム:洋服とメイクの質感を揃えることで、統一感を出す。このセオリーを知っておくと、どんなトレンドにも応用できるの。例えばプラチナヘアになったら髪色を含めたトータルなおしゃれを楽しめる。メイクをつなぎ役にして、全体のバランスを整えることができるのよ。
守屋:20年先のプラチナヘアを楽しみに、メイクの更新をどんどん誌面でも発信していきたいわ!
マダム:ファッションにもコスメにも永遠の定番はないかもしれないけれど、好きなものは変わらないでしょう? それを中心に新色や新アイテムを楽しんで。個性を無視した暴走はエレガントじゃないけれど(笑)、冒険はどんどんしてほしいわ。
「洋服とメイクの質感をリンクさせる。それだけでトータルな完成度に差がつくの」― マダム・プティ
きれいなパステルブルーは、この春のトレンドのひとつ。シアー、シャイニー、マット…質感の違うアイテムを重ねて、透明感のあるラグジュアリーを表現するのが今の流儀。繊細なモード感が大人の美意識にマッチ。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
問い合わせ先
- エルメスジャポン TEL:03-3569-3300
- シャネル カスタマーケア TEL:0120-525-519
- パルファン・クリスチャン・ディオール TEL:03-3239-0618
- NARS JAPAN TEL:0120-356-686
- パルファム ジバンシイ〔LVMHフレグランスブランズ〕 TEL:03-3264-3941
- プラダ ビューティ TEL:03-6911-8440
- PHOTO :
- 小池紀行(CASK)
- ILLUSTRATION :
- 土門 佳
- EDIT&WRITING :
- 岡本治子、五十嵐享子(Precious)