『Precious』は2024年4月号で、創刊20周年を迎えました。
日本の雑誌界に「ラグジュアリー」という新しいジャンルを生み出した画期的な月刊女性誌は、名実共に、ほかには類を見ない特別な存在に。
記念すべき創刊20周年記念号では、「人気コンテンツからひも解くPrecious20年間の軌跡」と題し、20年間の本誌人気コンテンツを、ページのつくり手たちと振り返りながら「Preciousらしさ」とは何か？ブレないエレガンスの本質は何か？を探りました。
今回は［ファッション編］。毎日のおしゃれのお手本になるエレガントな女性像を求めながら、永遠のエレガンス精神を紐解きます。
上質かつベーシックなファッション提案は、唯一無二！｜毎日のおしゃれのお手本になる、エレガントな女性像を求めて…
着こなしにおいても常に理想の「女性像」を追求してきた本誌。時代と共に多様化したけれど、貫くエレガンスの精神は永遠です。
2.ジャッキーをお手本にしたスタイルは、今に続く人気企画に。Precious 2012年2月号 撮影／水田 学
3.プレシャス世代のキーワードとなった「清潔感」を、美しい写真と言葉で綴って。Precious 2011年3月号 撮影／浅井佳代子
4.白シャツ×パールの美人効果に、開眼。Precious 2007年10月号 撮影／浅井佳代子
5.藤井敦子さん演じるトップキャリアのワードローブ紹介は、創刊から演出にもリアリティを求めて。Precious 2004年4月号 撮影／浅井佳代子
「自分たちに寄り添う雑誌が見当たらない」。20年前、仕事もキャリアも経験値の高い女性たちから発せられた切実な声をもとに、本誌は誕生しました。当時は「シンプルベーシック」が大全盛。働く女性のファッションは「着回し重視」に偏り、とはいえ既成の「エレガンス」はどこかコンサバな印象！ 目の肥えた大人の女性たちを満足させるにはいたっていませんでした。
「コンサバでもなく、モードでもなく、今までになかった新しい『エレガンス』をつくろう、と試行錯誤しながら、しかも気概をもってスタイリングに臨みました」と当時を語るのは、創刊号から本誌を手掛けるスタイリストの押田比呂美さん。「エレガンスとは、女性を美しく見せること。例えば白シャツひとつにしても、襟の立て方から、最後に授けるジュエリーの煌めきにいたるまで、美しく見える角度、フォルム、仕草にまで徹底的にこだわりました。センシュアルな部分と品格を両立させた華のあるスタイリングは、今も変わらずに守り続けています」。
そんななかから生まれた「清潔感」や「丁寧なおしゃれ」などのキーワードを掲げた特集は、こうありたいと思う「女性像」を体現し、唯一無二の「Preciousらしさ」を確立しました。
7.ポジティブな気分を誘う配色センスは、読者投票の上位に。Precious 2022年1月号 撮影／生田昌士（hannah）
8.ベージュが主役の仕事スタイルは、本誌の真骨頂。 Precious 2019年4月号 撮影／浅井佳代子
9.カジュアル化傾向が強まる仕事服の問題点を、キレのあるモノトーンスタイルで解決。Precious2015年10月号 撮影／浅井佳代子
10.高橋里奈さんを主役に、辛口エレガントな夏の肌見せスタイルを指南。Precious 2013年6月号 撮影／浅井佳代子
「外国人モデルが着用するモード誌とは違って、Preciousは、日本人モデルがリアリティをもってラグジュアリーを着こなすことが求められる、唯一の雑誌。それは意外に難しい！」と指摘するのは、ファッション編集者の藤田由美さん。「高価なものだけに、服に着られるのではなく、さりげなく自分のものにしなければならない。そんな一本筋の通ったブレない女性像を表現してきた歴代のPreciousのモデルたちは、やはり特別な存在だと思います」
コロナ禍を経て、軽やかな時代の気分を反映したのが、’21年の「Ｔシャツ×ハイジュエリー」の企画です。
「ジュエリーはそれだけで十分な迫力。でもそれ以上に気負いのなさや心地よさを伝えたくて、メイクはそばかすが透けるくらいに軽く、気持ちよく晴れた日に自然光だけで撮影しました」と語るのは当時担当編集だった古里典子さん（現・和樂編集部）。
カジュアルなＴシャツが「ラグジュアリー」、という魔法にかけられるファンタジーは、Preciousだからこそ可能なのです。
- PHOTO ：
- 戸田嘉昭（パイルドライバー）
- EDIT&WRITING ：
- 兼信実加子、長瀬裕起子、喜多容子（Precious）
