『Precious』は2024年4月号で、創刊20周年を迎えました。

日本の雑誌界に「ラグジュアリー」という新しいジャンルを生み出した画期的な月刊女性誌は、名実共に、ほかには類を見ない特別な存在に。

記念すべき創刊20周年記念号では、「人気コンテンツからひも解くPrecious20年間の軌跡」と題し、20年間の本誌人気コンテンツを、ページのつくり手たちと振り返りながら、「Preciousらしさ」とは何か?ブレないエレガンスの本質は何か?を探りました。

今回は[ライススタイル編]。カルチャーから、旅、インテリア、そして人生を深く探るインタビュー。誌面から溢れ出る心豊かな読み物ページの感動をたどります。

知的好奇心をくすぐる読み物ページも、読み応え満載|知性こそエレガンスそのもの!すみずみに美意識を散りばめたライフスタイルを提案

ファッションや美容だけでなくPreciousは、ラグジュアリーで知的な「ライフスタイル」をさまざまなコンテンツを通してお届けしてきました。’09年、大きな反響を呼んだのは、各界で活躍するトップキャリア17人に聞いた「心の贅沢とは?」。それは時間だったり、経験だったり、知性だったり…。「贅沢」は決して高価なものだけではない、美しく心を満たすものであるという、私たちが目指すべきラグジュアリーを再確認するものでした。

1.サステイナブルな取り組みは、今の時代に欠かせないテーマ。Precious 2021年4月号 撮影/鈴木泰介、篠原宏明
2.「仕事も人生ももっと楽しく!美しく!」をキャッチフレーズに、世界中の女性たちの働き方にフォーカスした連載は、創刊から本誌の顔に。Precious 2004年4月号※2024年4月号より、「Tomorrow Will Be Precious!」にリニューアル。
3. 先が見えないパンデミックのなか、心に響く名言は多くの女性を勇気づけました。Precious 2020年11月号
4.各界のトップキャリアが語るそれぞれの「心の贅沢」に共感!Precious 2009年10月号 撮影/小西康夫
5.女優の草笛光子さんをはじめ、生涯現役を貫く女性たちの働き方に多くの反響が。Precious 2018年6月号 撮影/浅井佳代子 

憧れのリゾートホテルでの体験や賢者たちが推薦するスパや温泉宿の紹介など、こだわり抜いた上質な旅も、読み物ページの看板でもありました。そんななか、ちょっと変わった本誌ならではの切り口も人気の的に!

例えば、’08年の「2泊旅」。「多忙な日々のなか、限られた時間で自分に刺激を与えることをテーマに、弾丸旅を敢行。当時、超売れっ子だったヘア&メイクアップアーティストの藤原美智子さん(現在ビューティ・ライフスタイルデザイナー)とハワイ島を訪れました。滞在時間はたったの1日! それでも島のムードに溶け込み、大自然と無邪気に戯れる藤原さんのおおらかで、エレガントな姿は忘れられません!」(ライター・本庄真穂さん)

左から/1..ジャクリーン・ケネディ・オナシスのエレガントな生き方を「旅」を通して学びました。Precious 2016年8月号、2.脳科学者の茂木健一郎さんの観点を基に、京都をガイドするという斬新な切り口が、大反響。Precious 2016年5月号、3.大人の知的欲求をくすぐる推薦本、36冊が勢揃い。Precious 2021年5月号 撮影/唐澤光也(RED POINT)、4.人気連載「IE Precious」のスペシャル版では、自然と共に生きる、キャリア女性たちのリアルに潜入。Precious 2022年10月号 撮影/長谷川 潤、5.外国人に伝えたい「ニッポンの素敵」を集めた読み物企画は、今見ても新鮮!Precious 2015年5月号 
6.ジャクリーン・ケネディ・オナシスのエレガントな生き方を「旅」を通して学びました。Precious 2016年8月号
7.脳科学者の茂木健一郎さんの観点を基に、京都をガイドするという斬新な切り口が、大反響。Precious 2016年5月号
8.大人の知的欲求をくすぐる推薦本、36冊が勢揃い。Precious 2021年5月号 撮影/唐澤光也(RED POINT)
9.人気連載「IE Precious」のスペシャル版では、自然と共に生きる、キャリア女性たちのリアルに潜入。Precious 2022年10月号 撮影/長谷川 潤
10.外国人に伝えたい「ニッポンの素敵」を集めた読み物企画は、今見ても新鮮!Precious 2015年5月号 

’21年から始まった「IE Precious」の連載は、インテリアにとどまらず、そこに暮らす人の美意識の高さが毎回丁寧に描かれました。当時担当編集の古里典子さん(現・和樂編集部)が心に残るページと挙げたのは、北海道と東京と2拠点で暮らす女性の家。「彼女が語った『家は人生の舞台』という言葉どおり、おじゃました北海道の家は、これからどう生きたいか、がきちんと設計され、それが彼女の今とぴったりと合って、とても感銘を受けました」

読み物ページのなかで、忘れてはならないものが、「女性の生き方」を深く掘り下げた創刊当初の名シリーズ。

「ジャーナリストの兼高かおるさん、ピアニストの中村絋子さん、画家の堀文子さんなど、揺るぎない信念をもって人生を歩まれた皆さんの言葉は、今でも強く印象に残っています。なかでも、作家の森瑤子さんは、仕事、さまざまな趣味、旅、幅広い交友関係など生き方すべてに、『エレガンス』を感じる方。ご友人の証言や残された愛用品などからもそれが伝わってきました」と、当時の担当編集者・後藤淳美さん(現・和樂編集部)は振り返ります。

そして、働く女性たちに根強いファンをもつのが、創刊号から続く、世界のキャリア女性を紹介する巻頭の連載です。

「毎月4人ずつ、20年でざっと960人の人生と仕事をかいま見てきました。どこの都市でもどんな状況でも背筋を伸ばして生きている女性たちのかっこよさといったら!毎回毎回、感動してばかりでした。初期の頃は、各都市で『女性初の~』と冠されることが多かったのが、20年間という年月を経て、どんどん女性の活躍の場が広がっていくのをリアルタイムで見られたのも刺激に」と熱く語るのは、この連載を創刊から続けているライター、剣持亜弥さん。彼女たちすべてから受けた「生きるって、仕事をするっておもしろい」という前向きなメッセージは、まさに明日へとつながる「エレガンス」の真髄ではないでしょうか。

PHOTO :
戸田嘉昭(パイルドライバー)
EDIT&WRITING :
兼信実加子、長瀬裕起子、喜多容子(Precious)