夏の白の着こなしに、奥行き=ニュアンスを生むのは配色と質感に尽きます。特に今夏はファジーなワントーン配色で着こなす白がおしゃれの鮮度アップにつながる正解アプローチ。

雑誌『Precious』6月号では【大人の日常を彩る「ホワイト・ブレンド」】と題し、曖昧なニュアンスで魅せるワントーンが今季のBESTな着こなしをお届けしました。

今回はその中から、デザイナー・中村三加子さんに「白」についてお伺いしたスペシャルインタビューをご紹介します。

中村三加子さん
「MIKAKO NAKAMURA」デザイナー
山岳画家の中村清太郎を祖父に、東京で生まれる。2004年、目白のサロンにてオートクチュール、セミオーダーを中心に「MIKAKO NAKAMURA」を、2008年にはカジュアルラインの「M・Fil」を発表。2012年には旗艦店の南青山サロンが。

「内に秘めた強さをもつ最も華やかな色が“白”なのかもしれません」

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ブラウス¥187,000(ミカコ ナカムラ 南青山サロン〈MIKAKO NAKAMURA〉)

「約40年間、デザイナーとして仕事を続けていて思うのは、白のアイテムには、色合いと素材感がはっきりと表れるということ。赤や青のような、いわゆる“色”ではないだけに、どんな印象にもなりうる。だからいかにラグジュアリーに見えるか、特に“質”に関しては、どの色よりも厳しくなりますね。決して安易な色ではないなと、気が引き締まります。

白と聞くと、やはり思い浮かぶのはシャツやブラウスです。ブランドをスタートして、いちばん最初につくった白のシャツは、パリッとした綿ブロードのものでした。それは、子供の頃に見た、庭で乾かしていたシーツのイメージ。おひさまにいっぱいあたったシーツで寝ると、すごく気持ちがよかったという記憶が、ずっと頭の中にあって。シャツをつくるなら、そういった感覚で着られるものを、と思ったんです。そういう意味で白に対しては、特別な思い入れがありますね。

 素材でいえば、コレクションで必ず使用しているのが、ミカドシルクです。ハリと光沢のある、ウエディングドレスにも使われる特別な生地なのですが、この素材のもたらす雰囲気がとても好き。エクリュがかった色合いで、派手ではないけれど、着る人を後押しするようなパワーを秘めているんです。白は、決して地味ではありません。『人の印象に残るシンプルさ』というのでしょうか。例えばスーツの男性が多いような、ビジネスパーティのシーン。派手な色を身につけては浮いてしまうけれど、白いブラウスなら、嫌味なく会場を晴れやかに見せる効果をもたらします。そういう意味では、内に秘めた強さのある、最も華やかな色かもしれません。

白は世代を問わず、誰にでも似合います。それだけでなく、着る人の表情をいきいきと輝かせ、個性を際立たせてくれる。自分らしく着られるのが、白の魅力でもあります。だから周りに臆することなく、十人十色で、素敵に着こなしてほしいと思うんです」(中村さん)

今でも白いシャツやブラウスは、毎シーズン10種類ほど展開しているそう。今季のミカドシルクのフリルブラウスは、自身でも愛用している。

「エレガントだけれど、ボトムしだいで、さまざまなシーンに対応してくれるんです」(中村さん)

※掲載商品の価格は、すべて税込みです。

問い合わせ先

ミカコ ナカムラ 南青山サロン

TEL:03-6427-2435

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PHOTO :
宗高聡子
EDIT&WRITING :
湯口かおり、福本絵里香(Precious)